『笛物語』

音楽、フルート、奏法の気付き
    そして
  日々の出来事など

フルート奏者・白川真理

ヴィンテージリネンのウクライナ刺繍ワンピース

2021-06-02 23:21:31 | アンティーク
このところ、古いウクライナワンピースに夢中です。

ヴィンテージのウクライナワンピースは2018年、カプースチンを調べている中で、偶然、知りました。

ネットで見て、可愛いな、とは思ったものの、価格もそれなりで、凝り性の性格なので、マイブームになったら大変大変、と敢えて見て見ぬ振りをしていました。

それに2019年はコンサートで忙しかったし、春にエジプトに行ったので帰国後は、エジプトがマイブームでした。

   ‥ああ・・あんな日々があったのねえ・・とため息。

2020年前半はコロナショックで、お洒落する気にもなれず、後半は「水月・浮雲」、CD[エーテルブルー」の作成作業、諸々で忙しかった。

2021年、楽譜、CDも完成、発売となり、ほっとした心の隙間に忍び込んできたのが、あの封印していた「ウクライナワンピース」。

リリース記念のお祝いだ、と言い訳しつつ、遂に3月、麻で、草木染の糸の刺繍のものを購入してからは、すっかり虜になり、ウクライナワンピースの泥沼にはまってしまいました。・・いわんこっちゃない・・

初めて外に着て行ったのは、4月2日の新宿でのコンサートの日。
恩師・青木明先生とのツーショットで着ているものです。


それまでも、麻のワンピースは好きで、アデュートリステスやサマンサモスモスなどが定番でした。

でも、今は大好きだったはずの、そのワンピース達の魅力も色褪せ、袖を通す気にもならない。

シルエットや色彩は、断然、そちらの方が素敵で、若干太ったスタイルもカバーしてくれているにも関わらず。

ウクライナワンピースはボテっとした丸いシルエットで、夫には

「余計、太って見えるよ」と不評。

実際、そうだなあ、と思う。

でも、それが気にならないくらい、気に入っています。
もう、そういうのはいいの。

とにかく着心地が良く、気分が上がる。

時代を経たリネンは、逞しいけれど優しく、柔らかく肌に馴染む。

独特の風合いです。

100年くらい前のもので、糸は手紡ぎ。そして手織り。

中には、庭に麻の種を撒くところから始まっているものもあるらしい。

もちろん、手縫い、手刺繍。

細かいギャザーも魅力的。

3月頃から着始めて驚いたのは、寒い時には暖かく、暑い時には涼しい。

手紡ぎの空気を含んだ糸,生地が温度や湿度を調整しているのかもしれません。

さらに、ギャザーを駆使したふんわりしたシルエット。
これにより、中に沢山の空気を含むことになるので、それも良いのだと思います。

でも、それだけではない、何か不思議な力もある気がしていました。

それは、母の着物を着た時に感じたのと似ている、

「守られている」

という感覚。


元々が、ウクライナ女性の仕事着だったからなのか、何やら意欲的になって、働き者になれる。
身体が動きやすいし、一日外出していても疲れない。

胸の開きがザクっと大きいのは授乳するのに便利だからだそうで、それも育児しながら日々の仕事に励む逞しい女性像が浮かびます。

縫ってもよいのだけれど、アクセサリーによって開け具合を変えられる方がいいな、と思いつき、一粒真珠のタイタックで止めています。

特筆すべきは、腕が軽くなること。

面白いことに、ウクライナワンピースの刺繍は、殆どが、腕にあります。

それも、二の腕、ムエタイで何か結んでいるあのあたり。

「なんだか、入れ墨している気分だなあ」とも思っていた。

それで、先日の講座の帰途、甲野先生にその話をしたら、

「ああ、それはそうでしょうね。例えば手の甲に何か模様を描いただけでも、身体は大きく変化しますからね。」

と、まさに、我が意を得たり。

きっと入れ墨も、呪術的意味合いや装飾の役目と共に、こうした実際の身体の変化を促し、動きやすい身体となるための知恵という側面もあったのでしょう。

ウクライナワンピースの手刺繍も、魔除けのために一針、一針、施されているそうです。
模様も細かく様々で、これにも色々な意味があるらしい。

衿元は、琥珀や珊瑚のネックレスをし、それが魔除けとなっていたので、刺繍はなかったり、あっても、あっさりしたものばかり。

アクセサリーの効果についても、昔気付いた時は

「重いネックレスをするとフルートが軽くなる!?」

と大騒ぎしていましたが、身に着ける洋服の刺繍まで、とは改めて驚きました。

とにかく、昔、着物熱に罹患した時、メイザーやトリファリのビンテージコスチュームジュエリーに溺れた時と同様に、久々に夢中。

外出時だけでなく、家事の時にも着ているのは、着物の時と同じ。

レッスンなども、多分毎回、同じワンピースで行ったりしている。

まだ汗ばむ季節ではないので、襟ぐりや袖口をベンジンで拭いて休ませて、と着ています。

そして、先ほど、下駄が隠れるくらいのロング丈を発見。

実は本番用に、一着欲しいな、と思っていた。

かなり悩みましたが、この日記を書いて、決意。
・・他で節約しよう・・


通常丈のもので練習もしていますが、フルートの音は、よりふっさりとし、それまでのドレスよりも断然良いです。

何より、身体が、喜んでいるて、より演奏することが楽しくなる。

もちろん、他の共演者、出演者との調和がある時は、普通のロングドレスにするけれど、その必要がないコンサートでは、麻のウクライナワンピースで演奏してみたいです。

幸いなことに、また、青木先生からお誘いいただき、9月1日に新宿・ドルチェ楽器のアーティストサロンでのコンサートに出演します。
服装はまちまちで、前回は普通の恰好の方もいらしたので、絶好のチャンス!?

長くても、何やってもいいよ、と仰っていただけたので、久々にバッハのシャコンヌを吹こうと思います。

ギャザーたっぷりの古いウクライナワンピースやシャツはヨーロッパの古いシャツの原型とも言われていて、むしろ、バッハの時代の洋服にも近いのではないかしら?

麻の素朴さ、そして甲野先生曰く「麻はいいですね」の言葉の通り、麻が持つ何かしらの不思議な力は、きっとバッハに似合うはず。

・・とこうやって、沢山の理由を挙げて・・深夜のポチッを久々に。

ロングの麻のウクライナワンピース、試したいと思っています。

また近くなりましたらご案内いたします。
どうぞお越しくださいませ。