『笛物語』

音楽、フルート、奏法の気付き
    そして
  日々の出来事など

フルート奏者・白川真理

春の着物

2023-05-26 00:00:41 | 着物
なるべく同じ着物に違う帯、というので遊んでいます。

・・手入れもラクだし・・

冬の間は細かい亀甲で模様が織り出された藍結城。
ふっさりと暖かく冬には最高の着物です。

そして、やはり春は大島。
ツルっとして涼し気で、雨にも強い。

ショックだったのは、昔あんなに似合っていた白大島が太ってしまったため、すっかり似合わなくなってしまったこと・・
この春は一度も着ないままでした。

白い着物だと、雪だるまみたいになってしまいます。
あと、あれね。ゴーストバスターズにも登場したミシュランのタイヤのキャラクター。

逆に、昔はちょっとよそよそしく感じていた泥藍の大島が妙に馴染むように。

これは私が小学生の頃、母が着ていたのを覚えているので、もう54年前の着物。
同級生の女の子の家が呉服屋さんで、そこから色々とよく買っていた。
今もあるのかな?遠藤呉服店・・


大島は八掛が破れやすくて、すぐだめになる。
この藍泥は3回洗い張りし仕立て直しているので、しなやかになってとても着やすくなりました。

でも、また裾の八掛がほつれてきてしまい、もう5年くらい着ていなかったのを、冬休みに自分で修理用のテープを内側に縫い留めて補修したところ、さらに愛着が湧き、この春大活躍となりました。

泥染めの蜀江模様のものは、ネットで一目惚れした新古品。
今では貴重な一元(ひともと)という縦横の糸が十字になるようになるとても手間暇のかかる織り方のもので、今では織り手も減っているという貴重なもの。
7マルキで、絣自体は9マルキよりも大きくなるけれど、それがかえって伝統柄の模様の良さと力強さを引き立てているように思う。

そして、あっと驚く安さが嬉しかったです。
小さいサイズなので、時々こうした掘り出し物がある。

白大島は大学生の時に母がますいわ屋から買ったのを覚えているのだけれど、こちらはカタスというTの字になる織り方で、一元よりは簡単(とはいっても、これも大変だと思うけれど)なもの。それでももうざっと46年前となる。


泥藍は一元で絣も細かい9マルキ。
それより少し新しい白は9マルキだけれどカタス。

昔は一元が当たり前だったのかも。

羽織も大活躍の春でした。
若い頃、羽織は太って見えるのが嫌であまり着なかったのですが、しっかり太ると、むしろ縦線効果?で体型カバーになる御助けアイテムということを実感した春となりました。
なんだかほっこりするのも良い。この春は人生初の羽織マイブームでした。

あと、半襟と帯揚げの色を揃えるのを特に意識していた訳ではないのですが、やっていた。
真っ白な半襟も良いのですが、今の年齢には、少し柔らかな色が入っている方が顔馴染みが良い気もしています。



泥藍大島・ベージュにグレーと赤で線描き模様の紬帯・黒帯締・赤サンゴ帯留
白縮緬半襟・グレーとオレンジぼかし帯揚げ・ピンク絞り羽織
(3月の音楽家講座)
大島の花柄の中央にある小さな赤い丸に合わせて赤サンゴのブローチを帯締めに。




泥染め大島・茶色の紬帯・水色の半襟と帯揚げ・こげ茶帯締め
(4月の音楽家講座)
やや暖かい日だったので、羽織なし。




泥染め大島・龍村帯・水色の半襟と帯揚げ・薄緑帯締め・赤茶の縮緬羽織
(4月能楽堂での甲野先生・加藤氏の対談)





単衣縮緬小紋・金泊帯・藤色半襟と帯揚げ・赤紫帯締め
(5月能楽堂・名之會)
暑かったので単衣に。演目「芭蕉」に合わせて木(多分芭蕉?)の模様の帯。





泥藍大島・ブルーグレー傘模様帯・藤色半襟と帯揚げ・黄緑帯締め
(5月音楽家講座)
3月の寒さとなり雨だったので、また袷に。雨に合わせて傘模様の帯。
水色の雨ゴートで。

・・迷惑そうなピピと。



冬の着物

2023-03-19 10:16:07 | 着物
最近は益々、何時何を着たかも忘れていて、写真を見ながら思い出しているのですが、今年のお正月から2月までの着物の記録。
なるべく今まで合わせたことのない組み合わせで、というのを心がけましたが、やはりそれはベストではなかったり、ちょっと「昭和」になってしまったりとあるけれど、でもやはり帯や帯締め一本でガラっと表情が変化するのは着物の楽しみの一つです。


・黄色の色大島と緑の織りの名古屋帯でお正月の中華街。(1月1日・日)
年末年始の緩み切っている心身では、余計太ってみえて、夫からも大不評。
急いで着たので、襦袢のえり抜きが上手くいかなかったのも敗因要因。
心のゆるみがそのまま着付けにでたな、という感じ。
でも、好きな着物です。
帯も小豆色の塩瀬にすれば、もっと締まった感じになったかな?と。





一つの着物を帯の変化で楽しんでみようという趣旨で。
一番好きな着物の着回し。

・藍の結城紬に、南部絞り茜染めの帯で、音楽家講座。(1月23日・月)
王道定番ではあるけれど、ちょっと古臭い感じとなってしまいました。
赤い帯って便利だけど難しい。




・同じ着物に塩瀬の小豆色とピンクの染め帯で岩城先生の講演会。(2月5日・日)
初めての組み合わせでしたが、意外に合った。
紫には青が含まれているので馴染むってことかな。
若草色の帯揚げが見えなくなってしまって残念とも思ったけれど、むしろ良かったかも。今度着る時は、濃い緑か、グレーの帯揚げで馴染ませてみようと思います。




・同じ着物に龍村・天平段文の名古屋帯で、餡餅雑煮の会。(2月11日・土)


この日の着付けは一番上手く行きました。
帯揚げが出すぎではあるけれど・・
やはり時間にゆとりをもって丁寧にやらないと。
えり抜き大事!
ほっこりした感じの結城にツルっとした感じの織りの帯はどうか?と思いましたが、むしろ結城をスキっと洗練させてくれる役割が。
紺と茶というのもイタリアっぽい配色で今風に。
この帯は色無地や小紋にばかり合わせていて、この組み合わせも初めてですが、今後の定番になりそうです。



・ピンクの無地結城紬に生紬の織りの更紗柄名古屋帯で音楽家講座。(2月20日・月)
これも初めての組み合わせですが、中々春らしい感じに。
母は縮緬の単衣の小紋に合わせていた帯ですが、袷にも使っちゃえ。


20年前、銀座のエスニック屋さんで3000円くらいで見つけて、ずっと着物用にしているモモンガコート。




夏の着物と秋単衣

2022-10-13 23:47:50 | 着物
今年の夏は猛暑でしたが、音楽家講座は毎回着物で。

8月は麻に化繊も混ざった紺色の単衣を浴衣風に着て、白い博多織の半幅帯。

この着物はザブっと洗濯機で洗って、干して置けば、ノーアイロンでもシャキっと着られる、便利なものです。

所謂「洗える着物」というのは、好みではないけれど、混ざっているのは、まあいいか、と。

半襟付けて、絽綴れの帯などにすれば、銀座もOK,という便利な着物です。

せっかくの帯締めが下にずれていたのに気付かなかったのは迂闊でしたが・・






9月は秋にしか着ない単衣。
なので、本当に久々、15年ぶり?くらいに袖を通した金茶の単衣。

紬なのですが、金茶で光沢があるので、帯も光沢のある紺にいぶし銀のものを初めて合わせてみました。

張りのある生地なので、芭蕉布混ざりの麻の着物の次にブワっとしてしまって着るのが難しいのですが、好きな色合い。




10月となり、肌寒い日も増えて、いよいよ袷の季節です。

音楽家講座、コンサート、会食などなど、この秋は何を着ようかな?と

去年に比べて、少しずつ増えてきた予定を手帳に書きながら、

手持ちの着物と帯、帯揚げ、帯締め、半襟で、やったことのない組み合わせを毎回考えるのも楽しいものです。


夏の着物

2022-07-14 00:31:41 | 着物
どちらも、とても暑い日でしたが、ここまで暑ければ、もう何を着て出かけても一緒!?

とばかりに、夏の着物でコンサートに。

「徹の部屋 第2回」は個人のお宅に隣接した住宅街での昼間のコンサートでしたので、
浴衣を着物風にアレンジ。



このような着方をしたのは初めてでしたが、その快適さに感動。

その上、これは食品を買いに行くスーパーの2階にある呉服屋さんが出店17周年企画ということで、1700円で売られていた浴衣。

でも、綿100%の生地は、パリっとしたコシのあるもので、色もデザインも素敵。
くすんだ大人の水色に、白で大きなアラベスク模様が描かれたもの。
一目惚れでした。

浴衣を着物風に、というのも、そのお店で教えてもらったもの。

今はなんでもアリの時代なのね。

木綿のワンピースと思えば、昼のコンサートであれば失礼にはならないかな、と思いチャレンジ。

パユのソロは夜でしたし、初台オペラシティで、流石に浴衣という訳にはいかないので、久々にちゃんとした夏着物を。

麻と芭蕉布も少し入っているとても涼しい付け下げです。





以前着たのは、もう10年くらい前か?

着るのにエイヤっという気合が必要な着物なので、多分3回くらいしか着ていない。

この透け感のある着物には麻の襦袢じゃないとだめで、その襦袢にアイロンをかけるのが面倒で、ついつい袖を通さなくなってしまった着物です。

半襟も白い麻で、これにもアイロン。

ちゃんとアイロンした麻の襦袢はサラっと気持ちよく、涼しく、着物もそうですが、着物と身体の間を風が抜けていき、中々快適でした。

いずれも、トークのきっかけとなり見知らぬ方とお話したり、知人からは褒めていただいたり、で、自分も元気になれる。

帯と帯締めは両方同じもの。

帯締めは先月、高校同期の「馬場呉服店」の東京での展示会で購入したもので、すっかり気に入ってしまい、定番となりました。

着物

2022-05-14 22:24:12 | 着物
気持と時間に余裕がない時はやはり袖を通せないのですが、昨年末から、5回着物を着ることができました。
着物は自分の調子のバロメーターにもなるので、これからも着ていきたいなと思います。

そもそも、甲野先生とのご縁が繋がったのも、結果、今の奏法に辿り着けたのも、全ては「着物」のお陰。

母の逝去後、毎日、母の着物を着ることで寂しさも癒され、着物という新しい楽しみを知っただけでなく、フルートの音まで良くなっていることに気付いた。
さらには、「美しい着物」という雑誌で「着崩れないナンバ歩き」という記事があり、そこに甲野善紀先生の記事と写真が掲載されていたのがきっかけでした。

写真の先生は本当に素敵で、ふと、「この方がフルートを吹いたらどんな音がするのだろう?」なんてことを考えた。

当時はまだ息子が中学受験の真っ最中だったので、ゆとりがなかったのですが、翌年2003年2月に新宿の朝日カルチャーセンターの講習会にうかがったのが全ての始まりでした。

あれから19年も経ったなんて信じられない。
本当にあっという間。

ということで、着物をないがしろにしていては罰が当たるというものです。

年齢と気力体力を考えると、後、何回着られるのだろう・・?
なんてことも考えてしまいます。

組み合わせを考えるのも楽しいのですが、色々と忘れてしまって同じ組み合わせばかりになってしまうこともあるので、記録も兼ねて、昨年末から先日のものまでをまとめておくことに。

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昨年12月の急遽決まった音楽家講座の折に着たのは黒大島。
銀と朱で花唐草の模様が織り込まれています。
帯はなんにでも合う細かい幾何学模様のくすんだ黄土色の名古屋。
師走の「暮れぼろ」の雰囲気で渋めの取り合わせで。
いつも帰宅後は夫に写真を撮ってもらうのですが、この日はもう寝てしまっていたので、鏡に映して。
自撮りモードだと、顔が大きくなりすぎてあまりにもあんまりなので、これで。



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元旦に家族3人で中華街に出かけた時は亀甲の藍結城紬と黒の塩瀬の名古屋帯。コートはレッスンに行く道すがら偶然見つけたイタリア製のラグラン袖のものを20年前から愛用。熊のぬいぐるみみたいなモヘアの生地で、折り返し部分は艶のあるシルクタフタみたいでお洒落なのですが、実は全て化繊で、とても軽い。セールで確か8,000円くらいだった記憶が。
着物仲間からは、羨ましがられているコートです。

いつかは着物用のヌメッとした上等なカシミアの着物コートを・・
と思いつつ20年経ってしまいましたが、袖をひっかけることもなく、暖かいので、重宝している冬のコートです。
母のものはスワカラ&ミンクの襟で、今の時代にはちょっと・・
80歳くらいになっても元気だったら「だって寒いからね」としゃあしゃあと言って着たいので、保管。




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お正月休みに高校の同窓生の俳句の会で集ったのは六本木ヒルズにある会員制の個室レストラン。
日頃は六本木も会員制も全く縁はないけれど、社会見学気分で参加。
・・六本木ヒルズは外国みたいでした・・



隠し扉みたいな入口はほぼ本棚。でも飾ってあるのは本ではなくて木。



牛首紬の訪問着が既に掟破りなので、もういいや、とさらに掟破りで金糸の洒落名古屋を。訪問着とはいえ、紬に金糸は御法度ですが、こうした場所にはマッチするかな?と。艶がある紬なので、いいような気もするのですが、母が生きていたら、窘められたかもしれません。
でもこうして改めて写真で見ると、やはりちょっと違うかな?
掟には掟なりの美意識や理由があるのだなあ、と反省。
二重の掟破り、もうしません。この帯は江戸小紋に合わせることにしよう・・



この三番叟の刺繍の洒落名古屋は、母から受け継いだものの締める機会がなくて、今回初めて。硬くて締めにくかった。
母もずっと締めていなかったから、多分50年以上ぶりの登板。
着ていない着物や帯には、なんとなく申し訳ない思いもあるので、今回これで少し肩の荷が下りたような気分です。

留袖と色留袖、夫々に合わせた袋帯は機会がなくずっと箪笥で眠っています。息子が結婚する時には絶対!と思っているけれど、果たしていつになることやら・・

お正月だったこともあり俳句の中に、三番叟を詠んだものもあり、季節的にはぴったりでした。


肝心の俳句は絶不調だったので、掲載できず・・

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何月だったか・・
春の音楽家講座。春はやはりピンクが着たいので、ピンクの無地結城紬。
去年は小豆色の塩瀬の帯で引き締めたのを今年は紙布の名古屋であっさりめに。帯ひとつでガラっと雰囲気が変わるのも着物の面白いところで魅力。
(今年)

抱っこが苦手なピピも、着物の時は抱っこされる時間が長い。
猫も着物好き?
後の手入れが大変ではありますが、ついつい。



(去年)


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先日、5月の音楽家講座。
肌寒くなったので雨でしたが着物で。
(当時は)若手の作家の草木染、手織りの紬。
フレッシュな緑が5月にぴったりなので、「5月の着物」なのですが、ずっと5月はいつも暑くて、単衣にしてしまうことが多く、着そびれていましたが、久々に。確か以前着たのは甲野先生と出会って間もない2003年の4月だったと思う。水色の地に様々なパステル調色彩の相良刺繍の帯で。

19年ぶりの今回は半襟を薄い藤色にして、帯も紫の絞りの名古屋に。
本物の紫紺染めでないのが残念ですが、このなんちゃって紫紺染めも、素朴な風合いが気に入っています。

実はこの日は「嘘つきデビュー」。
着物好き以外には?ですが「嘘つき」というのは絹の襦袢ではなく、簡単な着物用肌着。薄い木綿に化繊の絽の襟と袖が付いているもので、初めて着用しましたが、その軽さにびっくり。袖が軽いのは暑い時には嬉しい。
5月は単衣の絹の襦袢をいつも着るのですが、やはり今の5月は単衣といえども、ちょっと暑い。夏用の麻の襦袢は着心地もよく涼しいのですが、アイロンがけが面倒で・・それに絹と麻というのもなんとなく違和感があり。
化繊の絽は、麻よりはしっとりとした感じもあって、思いの他、絹ともよく馴染みました。「嘘つき」は着物好きの生徒さんに教えていただきましたが、本当に優れものです。この「嘘つき」のお陰で5月の着物もより楽しめそうです。



水色の雨ゴートとの色合いもぴったり。
先生へのプレゼントを買った折、若い女性の店員さんが「癒されました!」と褒めてくださり、やはり、嬉しい。
着物を着ると、こうしたコミュニケーションが生まれるのも楽しいものです。
色の半襟は難しく、あまりやらないのですが、今回は、
薄紫、緑、水色と初夏の取り合わせが上手くいきました。
こうした色の組み合わせを考えるのも着物の愉しみの一つです。