ペパキャンのサバイバル日記

円形脱毛症で髪の毛がなくなりました。今はスキンヘッドライフ満喫です。
見た目問題当事者としての情報発信中!

情報を食べる

2013-03-27 11:09:11 | 日記・エッセイ・コラム

少し前に立て続けに深夜グルメ番組を二本見ました。オンエアで見るのではなくて、Huluでね。

「孤独のグルメ」「深夜食堂」です。

放送されたのは深夜食堂の方が早かったらしいのですが、順番逆にHuluでアップされていたので逆で見ました。

孤独のグルメは俳優の松重豊さんが仕事絡みで立ち寄った見知らぬ町や懐かしい場所で、ふらりと入った食堂や飲み屋でひたすら食べるというシンプルな番組です。松重豊さんの心の声がナレーション代わりになっていて、その心の声と豪快な食べっぷりが視聴者の食欲をそそります。松重豊さんて悪役のイメージが強かったのですが、この食べっぷりと絶妙なコメントでだいぶイメージがいい意味で覆されました。

一方、深夜食堂は小林薫さん扮するマスターが新宿の片隅に開いているめしやが舞台。メニューは豚汁定食、ビール、お酒、焼酎のみ。後はお客さんがリクエストしてくれたものはできるものなら大抵は作るよというスタンスのお店。営業時間は深夜12時から朝7時。そこに集ういろいろな客と彼らがリクエストするメニューにまつわるエピソードが深夜番組らしく、静かに、そして少しだけビターなテイストで語られていくという手法です。

まず。

思ったのですけど、この二本の番組に共通していること。

グルメちゃうやん!!!

どこがグルメやねん!!!

松重豊さんがふらりと立ち寄った先で注文するメニューが、懐かしいスパゲティーナポリタンだったり、肉じゃがだったり。深夜食堂で提供されるものもクリームシチューや冷やし中華などいわゆる定番中の定番メニューだらけ。

言い方は悪いかもしれませんが、毎日主婦として台所に立ってそのようなメニューをこしらえている私だったらお金を払ってまで食べたいメニューはひとつもなかったですね。だって全部自分で作れるし、現に毎日のように食べてるし・・・。

それらを食べる松重豊さんや他の役者さんの美味しそうな表情と言ったら!さすが役者さんだー。深夜食堂の方では泣きながら食べながらセリフをいうというなかなか高度な演技が要求される場面も多くて、あれは大変だろうなと思いました。

でもよく考えてみたら、深夜の番組でこれでもか~!というご馳走番組を流しても仕方ないし、そう考えると誰もが一度は口にしたことがあるであろう、定番のメニューが登場するんだろうな。

そしてその定番メニューには誰もが(演じている役者さんだけでなく、視聴者も)何かしらの思い入れやこだわりや思い出が付随していて、見ている私たちはその付随しているエッセンスのようなものを食事として具現化しているだけはないのかと。極端な話、料理は記号と言えるかもしれません。あるいはスイッチとかね。一口、口に含んだ途端、いろいろな情報(まあ、二つの番組の場合はほどんどが昭和の思い出なんだけど)が頭の中をBGM付きで駆け巡るみたいな。

美味しいと評判のラーメン屋さんに行列を作るのは、その評判を確かめたいため。

イソフラボンやコラーゲンを含んだ食材を使った料理を作るのはその効能を食したいがため。

懐かしいポテトサラダやきんぴらごぼうをついつい作ってしまうのは、子どもの頃の母の手料理を思い出して幸せな気分に浸りたいがため。

人は皆、何がしかの形で「情報」を食しているのかもしれません。

その情報は時として視聴者自身のドラマになったり、貴重な思い出を共有する場所になったりするから、こんな番組がヒットするのかな~と考えてみたり。

うーん。なかなか奥が深いね。

でね。

この二本のドラマから何かしら教訓を得るとしたら、あえて言うなら一つだけありました。

人は(この場合はごく普通の男の人と仮定してもいいです)そないにびっくりするようなご馳走なんか作らなくても満足しよる(笑)ってこと。

いやむしろなんとかストロガノフとか、ズワイガニだのキャビアだの、フォアグラなんとかのなんとかソース和えなんてものは一年に一回か二回くらいよそで気取って食べられれば十分で、普段の日は、部屋着で好きなスポーツ番組でも見ながら、カレーライスでも卵焼きでも焼いておけばそれでちゃーんと事足りるってことですよ。一年が365日なら363日は定番料理でいいのです。いや、定番料理の方が断然いいのです。

もし、このブログを読んでいる若い女性(男性でもいいや)、これから結婚して所帯を持つのに料理が苦手かもと思っている人がいたら、貴女、それは全くの杞憂というものです。

ご馳走はすぐに飽きますが、幼い頃から食べつけた手料理(簡単なものでいいです)は飽きが来ません。その辺りを二つの番組はよく表現しているなあと思いました。

かくいう私も最近はひな祭りのちらし寿司のように、昔母が作ってくれた料理を再現するのに余念がないです。懐かしい手料理は作っている最中だって十分幸せ感満載だよー!