ヴァネスのコンサートが跳ねた後、元カレに会った。アイドルも良いが生身の男はまた別の意味で良い。元カレのシュウちゃんは20年以上も前に付き合っていた人だ。三連休前の夜の有楽町近辺はものすごい人出で、昼間のような喧騒だった。こんなに沢山の人がいるのに、私がその夜会いたい人はシュウちゃんたった一人なのだと思うと不思議な気持ちになった。
彼に最後に会ったのは数年前だが、私はしょっちゅう彼に電話している。大抵ひどく落ち込んだ時、凹んだ時、傷ついた時、迷っている時で、アルコールが入っている時だ。私の話は大抵の酔っ払いがそうであるように1→2→3→1と話題がループする。シュウちゃんはそれに嫌な顔をせずひとつひとつ付き合ってくれる数少ない奇特な人なのだ。
その夜はまず普段の私のそのような無礼を詫びつつ、いろんな話をした。シュウちゃんはおそろしく記憶力の良い男で、私がすっかり忘れている昔の「若気の至り」な出来事をいっぱい持ち出してくる。その度に私はすっかり赤面してしまうのだが、彼はそんな私のリアクションを楽しんでいるみたいだ。でも彼の口からこぼれ落ちる昔の私たちは角の取れたコンペイトウみたいに甘くて、切ない。
彼の終電の時間が近づいて来たので2時間ほどで店を後にして、私たち二人は夜の街を歩く。くだらない話を延々としながら恋人同士のようにそぞろ歩く。夜の11時半を過ぎても全くと言っていいほど更けない東京の街を歩く。お互い帰る家があって、夫や妻や子どもがいて、翌日には現実に引き戻されるのをわかっていながら、私の頭の片隅でこの瞬間がいつまでも続けばいいのにと思う。
彼に最後に会ったのは数年前だが、私はしょっちゅう彼に電話している。大抵ひどく落ち込んだ時、凹んだ時、傷ついた時、迷っている時で、アルコールが入っている時だ。私の話は大抵の酔っ払いがそうであるように1→2→3→1と話題がループする。シュウちゃんはそれに嫌な顔をせずひとつひとつ付き合ってくれる数少ない奇特な人なのだ。
その夜はまず普段の私のそのような無礼を詫びつつ、いろんな話をした。シュウちゃんはおそろしく記憶力の良い男で、私がすっかり忘れている昔の「若気の至り」な出来事をいっぱい持ち出してくる。その度に私はすっかり赤面してしまうのだが、彼はそんな私のリアクションを楽しんでいるみたいだ。でも彼の口からこぼれ落ちる昔の私たちは角の取れたコンペイトウみたいに甘くて、切ない。
彼の終電の時間が近づいて来たので2時間ほどで店を後にして、私たち二人は夜の街を歩く。くだらない話を延々としながら恋人同士のようにそぞろ歩く。夜の11時半を過ぎても全くと言っていいほど更けない東京の街を歩く。お互い帰る家があって、夫や妻や子どもがいて、翌日には現実に引き戻されるのをわかっていながら、私の頭の片隅でこの瞬間がいつまでも続けばいいのにと思う。