ぺんぺんぐいん

ぺんぎん歩きは卒業したよ。

追記

2005-12-27 01:10:04 | 将棋
ここ数日、これまでにないアクセス数が続いています。
読んでいただいたみなさん、ありがとうございました!

王座戦に関してはまだまだ硬軟いろんな内容について書く予定ですので、
少しでも面白いなと思っていただけたらブックマーク・お気に入りへの登録お願いします。笑
んで、気が向いた時にふと覗いてやってくださいませ~

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さらに気が向いた方は、コメントも大歓迎ですのでよろしくお願いします★

ではでは~

大阪にて

2005-12-27 00:17:48 | 将棋
祖父母邸に帰省中。明日横浜へ戻ります。

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すべて、終わりました。

十傑戦も学生女流名人戦も、立命館同士の決勝戦になりました。
禰保君を破った鈴木雄貴君、尾崎さんを破った石内さんがそれぞれ優勝。
鈴木君は初めての個人戦全国優勝。一方で石内さんは四連覇。・・女帝?笑

うちの小林くんは残念ながら3位。
しかし彼も学生名人戦・十傑戦には計3回出場して優勝、準優勝、3位が1回ずつ。
来年は2冠目達成なるか?あるいは3冠?と、老人は期待しております。笑

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十傑戦ではうちの主将はアヒル戦法を使っていました(!)。
後輩のあべくんとの相アヒルでは負けたものの、
7位決定戦では相手の居飛車にアヒル戦法でリードを維持して勝ち。

これをどう見るか?

「ふざけた戦法使って・・」と若干の怒りを感じる人も多かったと思います。
王座戦で優勝したばかりの東大の主将という立場の人間が、
そんなくだらない戦法で個人戦を戦うとはどういう了見だ??と見る向きすらあったかもしれません。

しかし実際その将棋を見ていると、明らかに「作戦勝ち」していました。w

「盗人にも三分の理」とはよく言ったものですが、
変な戦法にも当然ながらメリット・デメリットの両方があります。
そのデメリットを的確に見抜いて咎めないことには、変な戦法でも簡単にまかり通ってしまう。

・・「くだらない戦法」は、ほんとに「くだらない」のだろうか??

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今回の王座戦の初日では、筋違い角、3四金型オリジナル戦法、対角交換中飛車・居飛車4九金型玉頭位取りなど、
大会で指したことはまるでない指し方ばかりしていました。

結果はどれも快調だったんですが、この時発見したことが二つ。
一つ目。「案外、咎められない。」たしかに、初めて見る意味不明な戦法を咎めきるというのはなかなか大変。
二つ目。「序盤で相手がたくさん持ち時間を使ってくれる。」未知の土俵は恐いものです。ましてや大舞台。自然と慎重になります。

これは大きなメリットですよ。笑 相手が考えてる時に自分も考えれば、時間の差は拡がる一方。

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そしてなにより、楽しい!!

ここ10年での将棋の技術における大きな変化として
「序盤戦術のシステム化」、「序盤や終盤の知識の体系化」がよく挙げられますが、
実はその裏でもっと重大な変化が起きていると僕は確信しています。

それは、「思考システムの固定観念化」です。

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我々は、随所で固定観念に縛られていると思うんです。

「桂馬の使い方」「王の囲いかた」「作戦勝ちの仕方」、さらには「定跡の外しかた」すら。
広く出回った情報の中で、暗黙のうちに我々を支配している共通認識というものが、あるような。

「未知の局面」は将棋を指していればいくらでも出くわしますが、
「未知の思考システムが必要な局面」にはまず出くわしません。
つまり、「これまでに得た知識や経験を応用することが利かないような局面」を迎えることはまずないんです。

王座戦で周りの将棋を見ていても、「見たことのない戦型」ってまるでないし、
「もともとどんな戦型だったのかわからない」ような終盤戦も、滅多にない。

体系化された序盤、名前くらいはみんなが知ってる序盤があって、
駒の配置等もそれなりに見慣れた中盤戦・終盤戦がある。
そういう土俵の上では自然と思考システムが硬直し、
その思考システムに通じている人が、「強い人」。その思考システムを体得することが、「強くなること」。

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例えばある時、序盤で駒もぶつかっていないうちに銀損して、しかし意外と「形勢は五分」ということがありました。
その経験は、僕に「銀損すると何故不利になるのか?」ということを改めて考えさせられる契機にもなりました。
駒が減るんだから不利になるに決ってるだろ、って?
ではなぜ駒が減ると不利になるのでしょうか。

思考システムの発展というのは、我々が「当たり前」と思っている事柄に疑いを抱くところから始まります。
将棋に「未知の局面」はいろいろあるけれど、現代では「未知の思考システム」が必要とされるような局面は滅多に出ない。

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アヒル。

最初目にした時は呆気にとられましたが、手を読んでいくとこれがなかなか面白い。

読む範囲に限界がある人間は、手を読むという作業に必ず「形勢判断」がつきまといます。
どこかで読みを打ち切り形勢判断をして、別の変化を読み始めなければならない。

部分的には通常ありえない手順が実は最善だったり、
部分的にはいい形とされているのが実はこの場合は悪形であるということがわかったり、
さまざまな新しい認識を得ることができました。

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既存の類型化にあてはまらない戦法。

これを「くだらない」と切り捨てずに、将棋の新しい側面を見る気持ちで見直してみてはいかがでしょう?
きっと、いろんなことが見えてくることと思います。

まあアヒルを使えとは言いませんが笑

案外、むちゃくちゃな戦法を指すというのは「将棋の楽しみかたの一つ」なのかもしれません。

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思考システムについては2点ほど補足したいことがあるので、それはまた明日にでも。