ショパンを弾くなら,ショパンの人生も知ってみたいと思って,本を探していたら,平野啓一郎氏の「葬送」(
詳しくはコチラ)がショパンとドラクロワの交流を描いたお話だと最近知って,読み始めました。そうです、書く文章の半分は漢字で埋まっているの平野啓一郎氏です。かなりの資料にあたって書き上げた作品だそうですから、小説とはいえショパンを知ることができるのではないかと読み始めました。
すると、ショパンは小説家ジョルジュ・サンド夫人の今流行のフェアリー男子だったようですね。
いま,かつての篠原涼子さんの「anego」や「ラストシンデレラ」に引き続き,中谷美紀さんのアラフォードラマが気に入っていて,年下男子君が私の「旬」なので,そうか,ショパンも年下男子だったのね!という感じで読んでおります。
以下、『葬送』のショパンの描写です。
「人々は彼がまるで不安を宥めるような手つきで鍵盤に触れるとき,その光景に何時も恍惚となった。それを眺めると,彼に美しい音楽は,まさしく手に於いて宿り,手に於いて生み出されるのだと感ぜられた」
「喋りながら手を動かすと指の先から音楽が零れ落ちそうであった。冗談のひとつひとつが金の糸で刺繍されているかのように輝いていた。突飛な二つの話題を言葉に変位記号を付してゆきながら巧みな転調の連続によって結びつけ、会話を先導した。その声はまるで毛足の長い絨毯の上に放たれているかのように、音に角が立たず、耳に心地好かった。」
「皆がフレデリック・ショパンといえば,宝石やガラス細工のように美しいけれども生活には何の役にも立たないものを思い浮かべた」
病弱で寒がりでとても線の細い人だったようですね。
ショパンはあまり大きい音が出せなかったとも言われているようで、「支那の竹細工のように、節の膨らんだ細く長い指。肉の薄い甲(中略)謐々たる生命の行き交いが時に葉脈をさえ連想させる血管(中略)和音を押さえる鍵の凹凸さながらに波打つ骨の浮き立ち」なんて描写もありましたから、指も細かったのでしょうね。
そこから、あんな素敵な音楽が奏でられるとしたら、そりゃあ、我がサロンでも演奏会を!ってなるでしょう。私だってお金があれば、スポンサーになりたいところです。
まだ第一部の上巻ですが、そんなショパンがジョルジュサンドと娘の親子問題に巻き込まれてしまったり、娘の婚約者に相談を受けるなんてところは微笑ましい話でした。