「マガンは警戒心が強くて、あまり近づくと逃げて行ってしまう」ということでしたので、100~200mぐらいも離れたところから双眼鏡やフィールドスコープで観察しました。
そのため、我がデジカメはほとんど役に立ちませんでしたが、マイクロバスで帰る途中、道路脇の田んぼで餌を啄ばんでいるマガンの群を見つけて写真を撮ることができました。
マガン(真雁)カモ目/カモ科/マガン属 Anser albifrons
マガン(真雁)については、「その6:蕪栗沼マガン越冬地」で紹介した[マガンについての基礎知識]や[こども版かぶくり沼ホームページ・宮城のマガン]、[マガンの謎]などに詳しく記載されていますが、日本にやって来るマガンの総数・およそ7~9万羽の9割近くが宮城県に集まって来るそうです。
従って、東北地方南部より南の太平洋側では稀にしか見られないようです。先日、「里山を歩こう」というメルマガに、広島市に住んでいる人が撮ったマガンの素晴らしい画像が掲載されていましたが、例年「稀(まれ)にしか見られない」そうです。
マガンは、繁殖地のシベリアから主にカムチャッカ半島を経由して北海道北部の「宮島沼」や「ウトナイ湖」、秋田県の「八郎潟」や「小友沼」などの中継点に渡来し、徐々に「越冬地」である宮城県や新潟県などに南下して来るそうです。
海上では、千島列島やサハリンなど、日本の北にある島々を点々と渡って来るものと考えられていましたが、人工衛星で追跡してみた結果、北海道の宮島沼から、カムチャッカ半島の東まで、一気に飛び続けることがわかったそうです。2000kmもの距離を20時間かけて一気に飛ぶことができる、凄い鳥なのですね!
越冬地では、キツネ(狐)などのマガンなどを狙う天敵たちから比較的身を守り易い湖沼などの湿地(水辺の浅い場所)をねぐらとするそうです。夕方から早朝にかけては、この「ねぐら」で休息して、未だ薄暗い早朝に「群れ」で飛び立ち、ねぐらから採食場の水田に飛んで行き、主に稲科の植物(落ち穂など)を採食するそうです。
「マガンはときに数万羽もの大きな群をつくる」そうです。「マガンは1羽ではとても弱い鳥で、これといった武器もなく、それほど早く飛べるわけでもないので、生きるための最良の方法が、群をつるくること」なのだそうです。「敵が近づくと、一斉に頸をあげて警戒します。数が多ければ、それだけ危険を発見できることが多くなり、逃げるときもいろいろな方向へ逃げることで敵を惑わすことができる」からということです。
マガン(真雁)の体長は70cmぐらいあり、アヒルなどよりもずっと大きく、翼を広げると150cmにもなるそうです。それなのに体重は2~3kgほどしかないということで、翼がいかに大きいかがわかります。シベリアのツンドラ地帯から日本まで、実に約4000kmもの空の旅をして来られるわけです。
マガンはガン類中最もふつうに見られ、昔は全国に広く分布したが、現在では数が減り、大規模に見られる地域としては伊豆沼、琵琶湖、宍道湖などになってしまったということです。国の天然記念物に指定され、準絶滅危惧種にも指定されています。
体の色が茶色で雌雄同色なので、カモの仲間と間違われるそうですが、カモよりもハクチョウに近い鳥とのこと。長い頸は多くの頚椎からなり、水中や地面、地上どこでも自由に動かして食物を採ることができ、水面に浮いているときには体の大部分が水面上に出ている。褐色系のガン類の羽色は似ているが、マガンは嘴のつけ根に白い羽毛があることと、腹に黒褐色の横斑があることで識別できるそうです。英語ではWhite-fronted gooseと呼ばれているそうです。
成鳥の上面は灰褐色で、尾羽に近づくにつれて黒味が増す。腹には不規則な黒い横斑がある。嘴は橙色味のあるピンク色。嘴基部の羽毛は白く額にかかる。翼下面は全体に黒褐色で、風切の外弁は淡色。腹は白っぽく、黒い横斑が目立つ。翼上面の初列雨覆と小翼羽部は青灰色。他は黒褐色。風切外弁と大雨覆の先は白っぽい。
若鳥は成鳥に似ているが、嘴基部に接する白色が小さい。腹には黒い横斑が出始めている。幼鳥は若鳥に似ているが、嘴基部に白色羽がない。
「キュユユ」「クワワワ」と大きな声で、飛び立つときや飛翔中によく鳴く。地上や水上では互いに頸を水平にのばして挨拶をするが、そのとき「グァァァァ」と低い声を出す。
なお、 マガン(真雁)などについては、下記のWebサイトに記載されている情報が役に立つと思いますのでアクセスしてみてください。
http://www7.ocn.ne.jp/%7Eizunuma/
[宮城県伊豆沼・内沼サンクチュアリセンター]
http://homepage3.nifty.com/tohokutankentai/spot/spotmiyagi/kuri/izunuma01/izunuma01.htm
[まだ見ぬ風景を探して・伊豆沼の渡り鳥/日の出と共に/マガンの休憩/珍客のコクチョウ]などの素晴らしい画像が掲載されています。