2010年10月14日(木)、胆沢郡金ケ崎町城内諏訪小路重要伝統的建造物群保存地区に住む妻の知人の家を訪れたとき、黄色い花の食用菊を戴いてきました。早速茹でて食べましたが、シャキッとした歯ざわり、馥郁(ふくいく)とした香り、甘味などがあり、おいしくいただきましたが、この菊は「阿房宮(あぼうきゅう)」という品種だったのではないかと思われます。
(上2つ)金ケ崎の知人から戴いてきた黄色い花の食用菊「阿房宮(あぼうきゅう)」と思われます。
(上6つ)2010年10月14日(木)、胆沢郡金ケ崎町の金ケ崎神社の傍にある畑に植えられていた紅紫色の食用菊「かきのもと」と思われるもの。
(上3つ)2010年10月14日(木)、胆沢郡金ケ崎町の金ケ崎神社の傍にある畑に植えられていた黄色い花の菊。この菊も食用菊と思われます。
朝日新聞社発行 「週刊 朝日百科 植物の世界 104」[トピックス:花食文化 近田文弘(国立科学博物館植物研究部第一研究室長)]より
花を「見る」人がいれば、花を「食べる」人もいる。日本人を含めて、多くの人たちが、それぞれの伝統のなかで花を食べてきた。そこにはどんな文化があるのか。それを民族植物学の新たなテーマとして探る研究者がいて、「花食文化」はいま学問となりつつある。
筆者が育った新潟県の北部では、食用菊がどこの家庭でも、秋の季節を楽しむ料理の一品として食べられている。その多くは「かきのもと」と呼ばれる紫紅色の中輪品種で、頭花の直径が5㎝ほどの管弁(くだべん)のキクである。この花弁(小花)を頭花からはずして、熱湯で30秒ほど茹でて三杯酢で食べる。シャキッとした歯ざわり、馥郁(ふくいく)とした香り、甘味などが賞味される。好きな人は丼一杯ほどもたいらげ、土地の人びとにとっては、量たっぷりと食べるのが「菊びたし」なのである。
「かきのもと」は、120年以上前から栽培されている[延命楽(えんめいらく)]という品種の食用菊である。地方によって幾つもの呼び名があり、山形県の米沢地方では「もってのほか」の名で知られる。町の八百屋の店頭に溢れるほど並ぶ秋野菜のひとつとして、土地の人びとの生活になくてはならないものである。
この食用菊のことを関東や関西の人に話すと、たいてい変な顔をされる。「花なんぞ、食用になるのか」という半ば否定的な反応である。なかには、「刺し身についてくる小さな黄菊のことでしょう。苦いだけのものですね」などという人もいる。刺し身のつま用の黄菊は、青果市場では「小菊」として取引され、食用菊とは別物である。
また最近は、中華料理の皿にデンドロビウムなどランの花が添えられていたり、魚料理に園芸植物のキンギョソウ(ゴマノハグサ科)の花がついていたりする。これらも小菊同様、盛りつけのアクセサリーであり、花を野菜として食べているわけではのいので、食用とは考えない。(中略)
食用菊[阿房宮]花食文化はさらに、花を食べるという行為が、それと関連した特有の社会現象ないしは文化的現象を引き起こしていることにも意義を求める。例として、青森県(名川町、南部町など)で栽培される食用菊の[阿房宮(あぼうきゅう)]を取り上げたい。
[阿房宮]は、晩秋の収穫期に好天が続く青森県南部の気候の特性に支えられた食用菊で、直径7~8㎝の平弁(ひらべん)の黄菊である。約1億円の総売上額をもつ、この地方の重要な秋野菜のひとつだが、「菊びたし」として開花時に食べられるだけでなく、「干し菊」に加工され、各家庭で消費されるほか、北海道や東京の市場へも出荷されている。干し菊は、花弁を蒸した後、乾燥して板状にしたもので、熱湯でもどして食べる。
頭花から花弁をむしる「菊ほかし」の作業には、農家や近隣の婦人たちが動員される。たとえば南部町の相内(あいない)地区では、120軒の農家の約半数が食用菊を栽培しており、各農家が数人の婦人を雇うことになり、地区全体として数百人の婦人が、約20日間、朝7時から夜9時過ぎまで、食事さえも作業場へ運ぶという日々を送ることになる。人工7000人の町にしてみれば、これは晩秋の一大社会的行事といっていい。(以下省略)
http://www.naviu.net/kakinomoto/kakinomoto.htm[新潟 白根 かきのもと もってのほか おもいのほか 菊:新潟どころナビ]
http://www.n-shirone.com/a-kakinimoto.htm[食用菊「かきのもと」の販売]
http://marugoto.exblog.jp/2559736/[まるごと青森:王宮の名をもつ食用菊「阿房宮(あぼうきゅう)」]
http://nipponsyokuiku.net/syokuzai/data/003.html[阿房宮(あぼうきゅう)]
http://tumagoya.eek.jp/aboukyuu1.html[阿房宮(食用菊)の里・南部町・不思議な謎にセマル目からうろっこの物語]
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