京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
夜久野高原で営業再開しました。

時計師の京都時間「京のIWC時間」

2019-10-06 09:33:53 | 時計修理

10月6日日曜日の仏滅時間。
昨日は遺品整理のための修理品が多かった。お彼岸が終わる10月に多い。
遺産分けなのでしょう。
故人が愛用していた時計の場合どうしても私の体調が悪くなることが多い。
気のせいかとも思うがこんなことは時計業界では当たり前の話なのだ。
写真の金無垢時計。常連のお客様がユーザーなので安心して修理に入れます。

事前にそんな事情を伝えてもらえば手を合わせてお悔やみの後に作業に入れる普通修理後になって告げられます。合掌!
こいつは怪しい!とピンとくるときはほとんど故人の遺品の場合が多い。中には血がついたまま持ち込まれることもある。
「この時計を使っている人はお元気ですか?」と聞いてみると大あたりだ。
時計屋さんには名探偵が多い。

 「この時計に悪霊がついている」と返品に来たお客さまもいた。
やんわりお断りして帰っていただいた数日後家族の人が来て「ポックリとお亡くなりになった。無料でいいから引き取ってくれ」という。
仕方なく返品に応じて私が買い取った。
時計は現金仕入れなので返品はできないのだ。自己所有のIWC・ポートフィノはそんないきさつがあるので慶弔時の際に使っています。
結婚式やらコンサートに連れて行くと拍手した際に突然止まったりベルトが外れて落ちるなど厄介なので危ない時計だ。
ただ危険を事前に知らせてくれるアイテムなのだ。

岡山市の店にいた頃、恐怖や信じられないラッキーな事件の思い出がある。
歴史的な土地柄のこともあるのでしょう。赴任早々「あんたのお店は昔岡山藩の首切り場の跡じゃぁ~!」と脅される。
そういうと店舗の屋上には立派なお稲荷さんがあるので仕方なく店長の私が毎日清掃の担当になる。
それが影響したのか不思議とラッキーなことが多かった。
神戸の震災直後、近所で放火事件など火災もしばしば起きた時期でした。
警報で夜間たたき起こされることも多いが私の店舗だけは延焼がない。

そんな中自分だけは生かされていることをふと感じる時がありました。
ヤマハ・セローで疾走中に突然指がブレーキにかかった瞬間前に止まっていたクルマのドアがあく。
何とか事故に遭わないで済んだことが何度か起きたが夜間や休店日に何故か騒音の苦情が来る。
「泥棒が入っているような音がする!」「夜間侵入者アリの警報が鳴った!」などなど。
仕方なく休店日にチェロを持ち込んで練習していたが別な苦情が来た。
「中から悲鳴なような声が聞こえる!」
お化け話など所詮そんなものだ。工房では入口を開けて毎日練習していますのでよろしこ~。
人事異動は「月の裏側」へ行くようなもの、いつも暗く冷たい。
それが数年後には自分の故郷のような土地になってしまいます。

年末に向けて京都では人事異動で地方へ向かう人が増える季節です。
時計は今住んでいるところで修理を終えて新しい気持ちで赴任しましょうね~。











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