チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「野球はピッチング、守備、3ランホーマー/元オリオールズ監督アール・ウィーヴァーの死」

2013年01月22日 00時08分57秒 | 野球新陰流(上泉偐勢守のホウボウ剣
MLBの殿堂入りの二人、
Stan Musial(スタン・ミューズィアル、1920-2013)が92歳、
Earl Weaver(アール・ウィーヴァー、1930-2013)が82歳で、
ともに1月19日に死んだということである。
セントルイス・カーディナルズで1940年代から50年代にかけて活躍した
ミュージアルは、当然ながら目の当たりにしたこともないし、
映像もそれほどは観てない。ガキの頃に、
日本のベイスボールマガジン社から出てたムックや
"Baseball Digest"などでその偉業を
読み知っただけである。人格者だったらしい。いっぽう、
アール・ウィーヴァーは少なくとも審判への抗議時においては、
口汚く罵って退場させられた、"マナーの悪い"野球人だった。が、
ガキのときにヤンキーズのMickey Mantle(ミッキー・マントル)の大ファンになって、
そのマントルが引退してからは私はいわゆるオリオールズのファンになった。

その時代の監督がウィーヴァーだった。そして、
ウィーヴァーが率いてた約15年のオリオールズは強かったのである。
100勝超えもあたりまえ(1スィーズン162試合)の球団だった。
ウィーヴァーの野球に対する"哲学"も、
私の野球の好みにピッタリだった。
"pitching, defense, and the three-run homer."
実際、ジム・パーマー、デニス・マルティネス、スティーヴ・ストウン、
マイク・フラナガン、スコット・マグレガーという強力な投手陣がいた。
「送りバント」「ヒット・エンド・ラン」「盗塁」など、
昨今は美徳とされるタクティクスな戦法を嫌ったのである。
当時のMLBの打席数、打数、安打数、二塁打数、三塁打数、
本塁打数(何点本塁打かも詳細に)、四死球数などの数字の
統計を数年間分採ったことがある。
一見無思慮に思われるらしいこのウィーヴァーの戦法はじつは、
統計的にも理に適ってたのである。
4分の1の確率で失敗する盗塁は好かない。
みすみす1ダウンを喫する犠打はさらに嫌いである。また、
敬遠の四球でみすみす得点の種を与えてしまうのが
私はもっとも嫌いである。それから、
野球で失点に繋がりやすいのが与四球と失策である。だから、
大事なのが"pitching, defense"なのである。

ウィーヴァーはさらに、
"platooning"あるいは"platoon system"
(日本ではツー・プラトンと呼んでた)という打線を組んだ。
おおざっぱには左打ちは左投手を打てない。だから、
左投手には右打ちを充てる。当然、
そうする手間が省けるスウィッチ・ヒッターがクリーンナップを打ってた。
Ken Singleton(ケン・スィングルトン)、Eddie Murray(エディ・マリー)である。
1950年代ヤンキーズのミッキー・マントルの如しである。実は、
ウィーヴァーはその当時のヤンキーズを率いてたケイスィー・ステンゲルの戦法を
踏襲したのである。こうして
右打線がズラッ、あるいは左打線が続く、
といった相手投手にとって気が抜けない打線を組むことで、
配球がワンパターン化する。クリーンナップのところでつい
甘い球を投げてしまう。
ウィーヴァーが監督だった時代は、
メイジャー・リーグのストライク・ゾウンはおそろしく低かった。
打者の膝からベルドでの高さである。かといって、
胸のあたりに投げた"ボール"を打者が振らないわけではない。
外すはずだった投球が、つい、
おあつらえ向きな球になってしまうのである。
1番2番が塁にでて3番が、もしくは、
1番2番3番のうちの二人が塁に出て4番が3点本塁打を放つ、
といった事象はけっこう起きるのである。そして、
なにより、こうした野球のほうが断然、おもしろいのである。

それにしても、
あのアール・ウィーヴァーが死んでしまうとは。船上であっけなく。
オリオールズの監督としての約2500試合のうち、
100試合近くも退場処分になったウィーヴァーは、ついに、
この世から退場してしまったのだった。
メモーリアル・ステイディアムが懐かしい。
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