チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#30/アポテオーズ(b)アンリ4世讃歌」

2011年01月03日 22時23分01秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
年末から年始にかけても相変わらず煎餅を焼かねばならなかった。が、
未だに焼いてない。締め切りが刻々と迫ってる。
AXNでやってた"The Tudors"の一挙連続放送を観てて、
寝不足になって昼間寝てただけである。
そんな怠惰なことをしてるから、
新渡戸稲造追う者は樋口一葉も得ず、
になってしまうのである。
ときに、
「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」とは、
イエスの使徒のことではないらしい。まして、
「ね・うし・とら・う・たつ・み・うま・ひつじ・さる・とり・いぬ・い」
と、それぞれに動物をあてはめただけで、漢字と動物には本来、
相互関係はまったくないのだそうである。ちなみに、
「卯」は訓読みでは「う」であるが漢音の音読みでは「ボウ」だという。
マンダリンでは「マ↓↑オ」、マオちゃん、である。ともあれ、
「卯」の字源は「門をこじ開けるさま」なんだそうである。転じて、
「草木が伸びて地面を覆った状態」をいうらしい。おもしろいことに、
西洋でもウサギはヒト以外に一年じゅう発情してる哺乳類であり、
生殖能力が高いとされてるため豊饒の象徴である。ともあれ、
草木が生い茂る時期は「春」である。春だから「東」なのである。そして、
「日の出」なのである。「曙」なのである。
「眠れる森の美女」の話の中でのことバニーすれば、
オロルなのである。

チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」の第30曲「フィナル」は、
1)マズルカ
2)アポテオズ
の2つから構成されてる。その
2)Apotheose(アポテオズ=大詰め)はまた、
a)変ロ長調のファンファーレ
b)ト短調の「アンリ4世讃歌」
から成る。そのb)。

[Andante molto maestoso、2/4拍子、2♭]
ファンファーレが吹奏されたあと、
クラリネット2管+ファゴット2管がそれぞれオクターヴ・ユニゾンで、
****♪ミ(ド)ーーー・ミ(ド)ーミ(ド)ー♪
という3度重ねの序奏を吹くと、
弦楽器群のピッツィカートに裏打ちされて、
オーボエ2管+コルノ・イングレーゼ+クラリネット2管+ファゴット2管、そしてpfが、
****♪ラーーー・ラーラー│>ソーーー・ソー<ドー│
   >シー>ラー・>♯ソー<ラー│>(*)ミーーー・ーーーー│
   <ラー(*)ーー・ラーラー│>ソーーー・ソー<ドー│
   >シー>ラー・>♯ソー<ラー│>(*)ミーーー・ーーーー(*)│
   <ドーーー・>シー>ラー│<シーーー・シー(<ド>)シー│
   >ラーラー>・>♯ソー<ラー│>ミーミ<ファ・<ソーソー│
   >ドーーー・ドードー│<レーレー・<ミーーミ│>ラー♪
((*)間の箇所で、フルート2管+ホルン4管がト短調の属和音に加わる。
 そして、コルネット1管が****♪ミーミミミ・ミーミー│ミー♪という律動を添える)
という"Vive Henri IV(ヴィヴ、アンリ・キャトル=万歳、アンリ4世)"を
ffで奏する。弦群の32分刻みが、
*****♪●●ララ<ドド<ミミ・<ララ<ドド<ミミ<ララ♪
と繋いで、上記主題が再奏される。ただし、この再奏時には、
楽器編成にフルート2管、ホルン2管、コルネット2管が増量され、
pfの打鍵箇所も手が加えられる。ここにも、
チャイコフスキーの絶妙なオーケストレイションの按配が見て取れる。
コントラバスの通常奏に加えて他弦の刻みが、
*****♪ミーミミ<♯ファ♯ファ<♯ソ♯ソ・<ララ<シシ<ドド<ミミ│
    <ララ>ミミ<♯ファ♯ファ<♯ソ♯ソ・<ララ<シシ<ドド<ミミ♪
(最後の1拍はコントラバスから木管群へとバトンタッチされる)
と繋ぐと、fffの全奏で「アンリ4世讃歌」が繰り返される。
両翼vnとヴィオーラは強音の分散和音を刻む。
pfは両手ともに4指使いが連続される。
ティンパニ、トライアングル、小太鼓、大太鼓、スィンバルが次々に繰り出される。
ここにまた、チャイコフスキーの巧妙な打楽器使いが示される。
全奏でも主題が繰り返され、結尾となる。結尾では、
ピッコロ+フルート2管+vnプリーモの刻み+
そのオクターヴ下のコルノ・イングレーゼ+トランペット1管+
そのまたオクターヴ下のコルネット1管、が節を奏する。
****♪(アンリ4世讃歌の終い、ラーーー・ーーーー)│
   <ドーーー・<レーーー│<ミーーー・ーーーー│
   <♯ファーーー・<♯ソーーー│
   <ラー、>ラー・<ドー<レー│
   <ミー、ミー・<♯ファー<♯ソー│
   <ラー、>ラー・<ドー<レー│
   <ミー、ミー・<♯ファー<♯ソー│
   <ラーーー・ーーーー│
   <ドーーー・ーーーー│
   <ミーーー・ーーーー│
   ミーーー・ーーーーー│
   ーー、>>ラー・ラーラー│
   ラーララ・ラーラー│
   ラーーー・ラーーー│
   >>ラーーー・●●●●♪
このように、「フィナル」は
ト短調の主音gのユニゾンで閉じられる。
カラボスの精の動機が嬰イ(ais)で開始された序奏に始まり、
異名同音である、
変ロ長調の主和音bのファンファーレで開始されたアポテオーズに終わる、
長大なバレエ「眠れる森の美女」は、こうして締めくくられる。

このとき、ファゴット2管+第3トロンボーン+バスチューバ+チェロ+コントラバスが
オクターヴ・ユニゾンで、
****♪ラーーー・ーー>ソー│
   >♯ファーーー・>Nファーーー│
   >ミーーー・ーー>レー│
   >ドーーー・>シーーー│
   >ラー、<ラ>ソ・>♯ファー>Nファー│
   >ミー、ミ>レ・>ドー>シー│
   >ラー、<ラ>ソ・>♯ファー>Nファー│
   >ミー、ミ>レ・>ドー>シー│
   >ラー、<ラー・>ミー>ドー│
   >ラー、<ラー・>ミー>ドー│
   >ラー、<ラー・>ミー>ドー│
   >ラー、<ラー・>ミー>ドー│
   >ラー、<ラー・ラーラー│
   ラーララ・ラーラー│
   ラーーー・ラーーー│
   >>ラーーー・●●●●♪
のように奏する。このように、
節と反行するバス作りは、チャイコフスキーの
和声・オーケストレイションに特徴的ではあるが、この
ブルボン朝の初代「アンリ4世」を讃える古謡の、
"molto maestoso"には、じつに
効果的である。そして、
既成旋律へのチャイコフスキーのアレンジは
どんなアレンジャーにも優って圧巻である。
チャイコフスキーの音楽は、
ヒトの感情という電子を励起させる光である。

仕出しのフレンチ雑煮を食ったラパンぱんに腹が膨らんでしまい、
苦しくてまた煎餅を焼けなくなってしまった。
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「Vive Henri IV(400年経っても大丈夫!)/アンリ4世の頭部発見記念」

2010年12月30日 23時30分43秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
有馬記念が終わってその足で久々の長旅に出た。
東京大好き野郎な私にとって、一泊以上は長旅である。
しかも、ラップトップを忘れた。携帯を駆使できないオヤジだから、
宿泊先に帰っても、まったくネット環境にになかった。
浦島太郎感覚である。

チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」の第30曲「フィナル」は、
1)マズルカ
2)アポテオズ
の2つから構成されてる。その
2)Apotheose(アポテオズ=大詰め)はまた、
a)変ロ長調のファンファーレ
b)ト短調の「アンリ4世讃歌」
から成る。そのb)にチャイコフスキーが引用したのが、

"Vive Henri IV(ヴィヴ、アンリ・キャトル=万歳、アンリ4世)"
[Vive Henri quatre, (ヴィヴ・アンリ・キャトル=万歳、アンリ・4世)
Vive ce roi vaillant, (ヴィヴ・ス・ルワ・ヴァイヤン=万歳、勇敢なる王)
Vive Henri quatre,
Vive ce roi villant!
Ce diable a quatre, (ス・ディヤーブル・ア・キャトル=こいつときたら、そのちんけな四肢に)
A le triple talent, (ア・ル・トリプル・タラン=三つの甲斐性(=飲む打つ買う)、)
De boire et de battre, (ドゥ・ブワル・エ・ドゥ・バトル・タラン=大酒飲みで勝負事が好きで)
Et d'etre vert galant. (エ・デトル・ヴェル・ギャラン=そして女好き)]

という"民謡"である。その、
王をおちょくったような、よく言えば親しみを込めた歌詞からは、
現在日本の常識では想像しがたいかもしれないが、
アンリ4世の生前にすでに流布してた歌だという。そして、
革命までは非公式なフランス国歌のような位置づけだったらしい。
革命で"現在も国歌の"「ラ・マルセイエズ」が国歌になるが、
ナポレオン1世の帝政を経て、王政復古の1814年に、今度は
正式にこの「アンリ4世界讃歌」がフランス国歌となった。

コレはまた、
17世紀から翌世紀にかけて、フランスの作曲家によって
いくつか引用されてるようである。チャイコフスキーが
オペラ「スペイドの女王」で引いたグレトリも、この
「アンリ4世讃歌」を"Le Magnifique(ル・マニフィク)"
(Il Magnifico=イル・マンニーフィコ=(フィレンツェの)偉大なる人物=戦闘の英雄)
という、ボッカッチョの「デカメロン」3日め第5話をモトネタにした
ラ・フォンテヌの詩を脚色したオペラで使ってる。

****♪ラーーー・ラーラー│>ソーーー・ソー<ドー│>シー>ラー・>♯ソー<ラー│>ミーーー・●●●●│
  <ラーーー・ラーラー│>ソーーー・ソー<ドー│>シー>ラー・>♯ソー<ラー│>ミーーー・●●●●│
  <ドーーー・>シー>ラー│<シーーー・シーシー│>ラーラー・>♯ソー<ラー│>ミーミ<ファ・<ソーソー│
  >ドーーー・ドードー│<レーレー・<ミーミー│>ラーーー・ーーーー♪

前半8小節、後半7小節、という、後半が寸足らずな節構成になってる。

AFP(山路徹がこれに紛らわしく似せて作ったAPFとは無関係)が
今月半ばに伝えたところによると、
http://actu.orange.fr/france/authentifier-la-tete-d-henri-iv-une-enquete-digne-d-

une-affaire-criminelle_82562.html
[【流転200年……仏国王アンリ4世の頭部、本物と断定】
パリ市内の退役税務署員宅の屋根裏で見つかった
アンリ4世(1553-1610)のものではないかとされる半ばミイラ状の頭部が、
フランス政府が組織した法医学チームによって本物だと鑑定された]
らしい。
狂信的なカトリック教徒に刺殺されたアンリ4世の遺体は、
革命のさなかにサン・ドニ大聖堂のフランス王家墓所から引きづり出されて
バラバラにされ、どこかに埋められてしまった、とされてた。
そのうち、頭部は転々と所有されてた。このたびは、
サンドニ一度の確率で本物が見つかったということである。
紛失から200年。ナントの勅令は87年しかもたなかったが、
オロル姫らの眠れる森は100年経っても大丈夫だったし、
アンリ4世の頭部は死後400年経っても大丈夫だったのである。
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「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#30/アポテオーズ(a)ファンファーレ」

2010年12月14日 00時01分40秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」の第30曲「フィナル」は、
1)マズルカ
[Allegro brillante(Tempo di mazurka)、3/4拍子、2♯]
→[Presto、2/4拍子]
と、
2)アポテオズ
[Andante molto maestoso、2/4拍子、2♭]
の2つから構成されてる。その
2)Apotheose(アポテオズ=大詰め)はまた、
a)変ロ長調のファンファーレ
b)ト短調の「アンリ4世讃歌」
から成る。そのa)。

その前に、
apotheose(アポテオズ)について。
apotheose、apotheosis(アポテオスィス)とは、
ギリシャ語apotheoun(アポテオウン)がもとである。
apo-は「-離れて」という意味の接頭辞である。
そこからさらに、程度が甚だしいことを表す。
the(o)は「神」である。したがって、
apotheosisは「完璧に神」→「神格化」
あるいは「完パケ(完璧な物)」→「仕上げ」→「大詰め」
ということになる。そして、
このバレエ「眠れる森の美女」においてapotheoseは、
次のような意味を持つ。
ブルボン朝開祖であるアンリ4世が狂信的カトリック教徒によって
刺殺されたあと、妃であるマリ・ドゥ・メディスィスは、
リュクサンブル宮殿に飾る絵をルーベンスに発注した。
"L'Apotheose de Henri IV
et la proclamation de la regence de Marie de Medicis"
(ラポテオズ・ドゥ・アンリ・カトル・
エ・ラ・プロクラマスィヨン・ドゥ・ラ・レジョンス・ドゥ・マリ・ドゥ・メディスィス)
「アンリ4世の神格化と(倅ルイ13世に対する)マリ・ドゥ・メディスィスの摂政宣言」
である。現在はルーヴルに置かれてるその絵の中では、
亡きアンリ4世は天に昇ってく。つまり、
「理想化」「神格化」されてるのである。そして、
この絵を想定してバレエ「眠れる森の美女」のアポテオズは設定された。
Mulholland Driveと日光いろは坂の違いも見分けれない
拙脳なる私でも心得てるこれしきのことすら知らない
「プロ」のバレエ関係者、音楽学者がウヨウヨいるのは驚きである。

[アンダーンテ・モルト・マエストーゾ、2/4、2♭(変ロ長)]
ニ長調のマズルカの強烈なプレストが一時停止すると、
一転して変ロ長調のファンファーレが吹奏される。
コルネット1管+トランペット1管、そのオクターヴ下の
コルネット1管+トランペット1管が、
***♪ドー・ドド│ドー・ーー♪
とffで吹く。この2小節めの裏拍に
弦群が変ロ長調の主和音を重ね、
pfがその分散を鏤める。このpfが
じつに効いてるのである。チャイコフスキーの
図抜けた音楽センスには舌を巻く。ともあれ、3小節めには、
上記のラッパに加え、ホルン2管とトロンボーン2管が混ざり、
変ロ長調の主和音を形成して、
***♪<ミー・ミミ│ミー・ーー♪
と吹奏する。そこにまた、
弦群とpfが合いの手を入れる。そして、
オーボエ2管とホルン2管がさらに加えられて、
***♪<ソー・ソソ│ソー・ーー│ーー・ーー│ー♪
とファンファーレの締めくくりを吹き上げ、
弦群とpfが追い打ちをかける。
pfの分散和音が上下を繰り返し、
続く「アンリ4世讃歌」を準備する。
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「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#30/フィナーレ(7)プレスト部」

2010年12月09日 00時22分26秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
惑星探査機"あかつき"が予定の軌道に入ることができず、
7年前の火星探査機"のぞみ"に続いてまた失敗したと報道されてる。
その主たる原因が逆噴射時の不具合だったという。
元日航のK機長を乗せてればうまくいってたかもしれない。
[有明の、つれなく見えし、別れより、あかつきばかり、憂きものはなし]
古今集の壬生忠岑の歌である(百人一首にも撰ばれてる)。
"aurore"とは"曙"のことである。暁のあとが曙である。

チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」の第30曲「フィナル」の
1)マズルカは、
a)イントロ部[8+2/3小節]→
b)マズルカ本体[A→B→A→C→A→D→A→移行部]→
c)結尾部[プレスト]
という3つの部分から成ってる。

そのc)結尾部。
[プレスト、2/4拍子、2♯]
マズルカの3拍子の主要主題(A)が2拍子に変えられ、
fffで乱舞となる。
****♪♯ファ<ソ<ラ<シ│<ドー●●・
   >♯ファ<ソ<ラ<♯ラ│<シー●●・
   >ソ<ラ<シ<ド│<レー、>ドー・
   >シー>ソー│<ドー<ミー♪
トライアングル、小太鼓、スィンバル、大太鼓など、
打楽器も総出である。こういう曲想のものを作っても、
チャイコフスキーは絶品である。そして、巧みな打楽器使いである。
中間は、平行調のロ短調となる。
****♪●●●●・♯ソーーー│<ラーーー・<シーーー│<ドーーー・>♯ソーーー│
    <ラーラー・ラー>♯ソー│>ミー●●♪
というスラヴ色濃厚な節が奏される。そこに、
トランペット1管がオッブリガートのように、
****♪●●●●・ミー●●│ミー●●・ミー●●│ミー●●・ミー●●│
   ミー●>レ・>ドー●>シ│>ラー<ドー♪
と吹く。その下で、
****♪●●ミー・ーー<♯ファー│ーー<♯ソー・ーー<ラー│ーー<シー・ーー<ドー│
    ーー<レー・<♯レー<ミー│>ラー♪
というバスが敷かれる。次いで、
マズルカA主題の2拍子版が戻る。そして、
変ホ長調に短期転調してまたニ長調に戻る、
というチャイコフスキーの舞曲の締めくくりに特徴的な
舌を巻くように見事な盛り上げが用意される。さらに、
pfで4指による4オクターヴにわたる属音の8分音符叩き持続が加えられ、
オーボエ1管+コルネット1管+オクターヴ下のホルン1管+トランペット1管による
****♪ドー・>シー<ドー│<レー<ミー・<ファー<♯ファー│
   <ソー>ファー・>ミー>レー│<ミー>レー・ドー>シー│<ドー♪
が高らかに吹奏され、終いは8分音符ごとに、
(ニ長調の)主和音→(ニ長調の)属和音を4小節繰り返し、その最後だけ、
(ニ長調の)主和音→(変ホ長調の)属和音=[b-d-f]
として、全休符(フェルマータ附き)をおいて、
次の変ロ長調のアポテオズへと続くのである。
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「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#30/フィナーレ(6移行部)マズルカ」

2010年12月03日 00時03分21秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
絵本やアニメの類にほとんど興味がないので、
やなせたかしの「アンパンマン」についてもまったく知らない。が、
やなせたかしが三越宣伝部に勤めたことがあって、
現在も使われてる三越の包装紙の
"Mitsukoshi"という「筆記体」のロゴをデザインしたのが
同人だということからピンときたことがある。
銀座三越の目の前が木村屋總本店の銀座本店がある。
木村屋總本店は「あんパン」を考案した店である。ちなみに、私は
しるこでもまんじゅうでもあんパンでも漉し餡が好きである。
みつ漉し餡である。en pin(アン・パン=松屋へ)ではない。

チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」の第30曲「フィナル」の
「マズルカ本体部」は、
[A→B→A→C→A→D→A→B→A→移行部]
という古式ゆかしきロンド形式で構成されてる。
その移行部。
[Allegro brillante(Tempo di mazurka)、3/4拍子、2♯]
この移行部の直前のA部の終いは、fffで、
****♪ソー<ラー<シー│
   シー<ドー<レー・<レー<ミー<ファー・<♯ファ<ソ<ラ<シ│
   <ドーーー・●●●●・>♯ファ<ソ<ラ<♯ラ│<シーーー・●●●●・>ソ<ラ<シ<ド│
   <レーーー・●●●●・>♯ソ<ラ<♭シ<Nシ│<ドーーー・●●●●・>シ<ド<レ<ミ│
   <ファー●>ミ・>レーーー・>ドーーー│>シーーー・>ラーーー・>ソーーー│
   <ミー●>レ・>ドーーー・>シーーー│>ラーーー・>ソーーー・>ファーーー│
   >レーー、>ド・>♯ファーーー、<ドーー、>シ│>(N)ファーーー、<シーー、>ラ・>♯ソーーー、│
   <ミーー、>レ・>♯ソーーー、<レーー、>ド│>ドーーー、<ドーー、>シ・>ラーーー│
   <ラーー、>ソ・>ファーーー、<ラーー、>ソ│>ファーーー、<ラーー、>ソ・>ファーーー、│
   (実質、変ホ長調に短期転じる)
   <ソーー、>ミ・>レーーー、<ソーー、>ミ│>レーーー、<ソーー、>ミ・>レーーー、│
   (ニ長調に戻り、移行部へ)<ドー●●・●●●●♪
となってる。
上記[ターー、タ・ターーー]律動のゼクヴェンツ時に小太鼓がクレッシェンドされて、
移行部になだれこむ。
****♪ド<レ<ミ<ファ│
   <ソー●●・>ド<レ<ミ<ファ・<ラ<シ<♯ド<レ│
   <ミー●●・>ミ<ファ<ソ<♯ソ・<シ<♯ド<レ<ミ│
   <ファー●●・>シ<♯ド<レ<ミ・<ソ<ラ<シ<ド│
   <レー●●・>レ<ミ<ファ<ソ・<ド<レ<ミ<ファ│
   <ソー●●・>ド<レ<ミ<ファ・<ラ<シ<♯ド<レ│
   <ミー●●・>ミ<ファ<ソ<♯ソ・<シ<♯ド<レ<ミ│
   <ファー●●・>シ<♯ド<レ<ミ・<ソ<ラ<シ<ド│
   <レー●●・>シ<♯ド<レ<ミ・<ソ<♯ソ<ラ<シ│
   (実質、変ホ長調に転じて)
   <シーーー・ーーーー、>ラーーー│ーーーー、>ソーーー・ーーーー│
   <ラーーー・ーーーー、<シーーー│ーーーー、<ドーーー、>♯ラーーー、│
   <シーーー・ーーーー、>ラーーー│ーーーー、>ソーーー・ーーーー│
   <ラーーー・ーーーー、<シーーー│ーーーー、<ドーーー、>♯ラーーー、│
   <シーーー、<ドーーー、>♯ラーーー、│<シーーー、<ドーーー、>♯ラーーー、│
   <シーーー、<ドーーー、>♯ラーーー、│<シーーー、<ドーーー、>シーーー、│
   (ニ長調に戻って)
   <ミーーー、>>ドー<レー・<ミー<ソー│<ラー、>ソー・<ラー<シー・<ドー<レー│
   <ミー、<ソー・<ラー<シー・<ドー<ミー│<ソー●●・●●●●(フェルマータ)♪
このゲネラル・パオゼを挟んで、[Presto部]になる。

さて、
この「移行部」で注目すべきは、
2♯のニ長調の曲の、いわばクライマックスになる場面で、
3♭の変ホ長調が顔をのぞかせるということである。
バレエ「眠れる森の美女」において「変ホ長調」は、
第1幕でオーロラ(オロール)姫に求婚する王子たちのパダクションや、
第2幕でデズィレがオーロラ(オロール)の幻影に魅せられて
茨の城に行く決意をする「情景」や
オーロラ(オロール)にくちづけして目覚めさせたときの音楽にも
使われてたことを思い起こす。つまり、「変ホ長調」は
オーロラ(オロール)の「結婚」調、ということである。
第2幕で幕が開くときに「狩りの角笛」が鳴るときも
変ホ長調であり、そのとき登場する王子が
オーロラ(オロール)の結婚相手であることを暗示してたのである。
第3幕で「変ホ長調」は、金の精が踊るヴァルスのヴァリアスィヨンで用いられる。
オーロラ(オロール)とデズィレの結婚が、つまりは
「ブルボン家」すなわち「フランス王家」を意味してるということである。
変ホ長調を表す♭3つは、キリスト教の「3」であり、金色の
"fleur-de-lis(フルル・ド・リス=ユリの紋章=ブルボン家の紋章)"なのである。
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