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2019年1月 Cプログラム プログラム&曲目解説
アルベール・ルーセル(1869~1937)の 《バレエ「バッカスとアリアーヌ」》 がパリのオペラ座で初演された1931年5月、国際的な植民地博覧会が、同じパリで開幕した。
19世紀から20世紀にかけてのフランスは 万国博覧会開催や植民地拡大の時代。
異国や未知の世界への憧(あこが)れは、作曲家たちの想像力を刺激し、管弦楽の色彩の幅を広げていく。
今回のプログラムは、彼らが当時夢見た世界の音楽的パノラマだ。(安川智子)
1月定期公演の聴きどころ
Cプロはステファヌ・ドゥネーヴが2015年に続いて再登場。
カラフルなオーケストレーションに彩られた作品が並ぶ。
フランスのスター奏者、ゴーティエ・カプソンは サン・サーンスの《チェロ協奏曲第1番》でソロを担う。
レスピーギの《交響詩「ローマの松」》では、輝かしくパワフルなブラス・セクションが壮大なクライマックスを築く。(飯尾洋一)
本公演の指揮者、ヘンゲルブロック氏の希望により
ヨーロッパのクリスマスでの演奏習慣に従い
バッハ「マニフィカット」演奏終了後、
バッハ/クリスマス・オラトリオ BWV248から第59曲
コラール「われらはここ馬槽のかたえ 汝がみ側に立つ」を演奏いたします。
本日のアンコール
15世紀フランス(ヒッレルード編)
久しく待ちにし主よとく来りて
合唱:バルタザール・ノイマン合唱団
12月定期公演の聴きどころ
ヨハン・セバスティアン・バッハ(1685~1750)の作品のみで定期公演が構成されるのは、近年ではめずらしい。
しかもプログラムは、冒頭に管弦楽曲、つづいてオルガン曲、最後に管弦楽伴奏による声楽曲が置かれ、バッハの全貌が聴かれる意欲的なものだ。
「20世紀のバッハ」ともいわれたアルノルト・シェーンベルク(1874~1951)によるオーケストラ編曲の冴(さ)えも楽しみたい。(樋口隆一)
11月定期公演の聴きどころ
2人の名匠が贈るアメリカとロシア音楽の粋
11月の定期公演で指揮台に立つのは、広上淳一と ジャナンドレア・ノセダの2人のマエストロ。
ノセダが指揮するCプロでは、ドイツと日本にルーツを持つアリス・紗良・オットが ラヴェル《ピアノ協奏曲》を披露する。新世代のフレッシュな感性に期待したい。
プロコフィエフ《ロメオとジュリエット》は、ストーリー性を重視したノセダ独自の抜粋によって演奏される。鮮烈かつ精彩に富んだプロコフィエフを堪能できるだろう。 [飯尾洋一/音楽ジャーナリスト]
10月定期公演の聴きどころ
ブロムシュテットが作り出す2つの交響曲のハーモニー
10月の定期公演は桂冠名誉指揮者のヘルベルト・ブロムシュテットが3つのプログラムを指揮する。
いずれのプログラムでも、2つの交響曲が組み合わされている。
Cプロではハイドンの最後の交響曲である《交響曲第104番「ロンドン」》と、マーラーの最初の交響曲である《交響曲第1番「巨人」》が並べられる。
ハイドンにおける完成された様式美と、新時代への扉を開くマーラーの野心作。
2つの作品が鮮やかなコントラストを描く。[飯尾洋一/音楽ジャーナリスト]
プログラム&曲目解説
フィンランドを代表する作曲家ジャン・シベリウス(1865~1957)の初期時代の大作《クレルヴォ》と情熱的な《フィンランディア》(男声合唱付き)は、いずれもフィンランド語の合唱を伴う壮大な作品である。
また本日の公演では、シベリウス作品の中でも演奏される機会が少ない《レンミンケイネンの歌》と《サンデルス》も取り上げられる。
4曲とも男声合唱が重要な役割を担うため、世界屈指のレベルを誇る合唱大国エストニアの名門、エストニア国立男声合唱団の洗練された歌声と深遠なハーモニーが大いに期待されよう。
ソリストを務めるルサネン姉弟の歌唱も楽しみだ。
この革新的なプログラムに、地理的にも、言語的にもフィンランドに近いエストニア出身の指揮者で、明晰(めいせき)な洞察力とバイタリティを合わせ持つパーヴォ・ヤルヴィがどのように挑むのか、きわめて注目される。(神部 智)
6月定期公演の聴きどころ
6月の定期公演は、2004年にN響音楽監督、2007年から桂冠指揮者となったウラディーミル・アシュケナージが2年ぶりに登場して2つのプログラムを指揮する。
ドビュッシーの没後100年を記念したAプロ、
気鋭のソリストを迎えるメンデルスゾーンの協奏曲と東欧の作曲家の作品を組み合わせたCプロ、
どちらもN響の豊麗なサウンドが堪たん能のうできる楽しみな選曲である。
Cプロ 庄司とオラフソンの共演、後半は東欧の作曲家を取り上げる
アシュケナージは、Aプロに続き、Cプロでも珍しい協奏曲を取り上げる。
メンデルスゾーン《ヴァイオリンとピアノのための協奏曲》は、14歳の時の作曲家が、自身と姉の演奏用に作曲した作品。
ソリストには世界で活躍するヴァイオリニストの庄司紗矢香、そしてアイスランド出身のピアニスト、ヴィキンガー・オラフソンが登場する。アシュケナージはN響定期公演では毎回、新進の若手ソリストを起用するが、オラフソンは、クラシックの枠にはまらずクロスオーバーのジャンルでも活動を続けるピアニスト。庄司とも共演歴があり、息の合った掛け合いが期待される。
ソリストたちの潑はつ剌らつとした演奏とメンデルスゾーンの瑞みず々みずしい音楽が楽しみな一曲である。
アシュケナージは、N響でも定期的に東欧の作曲家を取り上げているが、後半では、コダーイとヤナーチェクの作品を組み合わせる。
コダーイ《組曲「ハーリ・ヤーノシュ」》は、ハンガリーでは誰もが知る、主人公ハーリの冒険物語が生き生きと描かれる。オーケストラにハンガリーの民俗楽器ツィンバロンが入り、親しみやすい旋律と賑にぎやかな音楽が楽しい。
チェコの作曲家ヤナーチェクの《タラス・ブーリバ》は、ゴーゴリの小説をもとに書かれた。
N響弦楽器陣の精せい緻ちなアンサンブル、好調の金管・打楽器セクションの迫力と豊かな音色をここでは堪能したい。 [柴辻純子/音楽評論家]
5月定期公演の聴きどころ
5月の定期公演では首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィがすべてのプログラムを指揮する。
プログラムからは、有名曲ばかりではなく、演奏機会の比較的少ない作品にもチャレンジしようという意欲的な姿勢がにじみ出ている。
これまで幅広いレパートリーでN響との共演を重ねてきたパーヴォだが、オーケストラとの信頼関係を築きあげた今だからこそ取りあげるべき作品が並んでいるといえる。進化し続けるパーヴォとN響コンビの現在形を堪たん能のうしたい。
Cプロは、パーヴォの母国エストニアの作曲家、トルミスの作品でスタート。
ユーモアにあふれ、独特の苦い舌触りをも湛たたえたショスタコーヴィチの《ピアノ協奏曲第2番》では、旧ソ連からアメリカに本拠を移したアレクサンドル・トラーゼの含蓄に富んだソロにも期待したい。
後半のブルックナーの《交響曲第1番》では、指揮者とオーケストラの絶妙なコンビネーションが発揮されることだろう。
多彩でありながら力強い曲目が並ぶCプロ
Cプロはバラエティに富んだ作品が並ぶ。
パーヴォの母国エストニアのトルミスは、昨年世を去ったばかりの同国を代表する作曲家。
その《序曲第2番》には民謡由来の根源的な力強さがあふれている。
ショスタコーヴィチの《ピアノ協奏曲第2番》は、19歳になる息子マキシムの誕生日のために書かれた作品。
祝いの場にふさわしく、ショスタコーヴィチ作品としては例外的なほどに愉快で、コミカルなテイストに貫かれている。
独奏を務めるのは アレクサンドル・トラーゼ。
かつてNHKの「スーパーピアノレッスン」に講師として出演したトラーゼのダイナミックなソロを期待したい。
メイン・プログラムはブルックナーの《交響曲第1番》。長大な作品で知られるブルックナーだが、《第1番》は50分前後と比較的コンパクトな作りになっている(といっても十分に大作ではあるが)。
ブルックナーの他の多くの交響曲と同様にこの《第1番》にも複数の稿があり、今回パーヴォが指揮するのは1866年リンツ稿。
後に改稿されたウィーン稿も残されているが、より演奏機会の多いのはこちらのリンツ稿だ。
番号は若いものの、すでにブルックナーの特徴ははっきりとあらわれており、ブルックナーが最初期から「音の大だい伽が藍らん」を作りあげていたと教えてくれる。後年の傑作群に勝るとも劣らない深い感動を残してくれるはずである。
これまでに《交響曲第2番》と《第5番》で清新なブルックナー像を築いてきたパーヴォが、また新たな名演を生み出してくれることだろう。
[飯尾洋一/音楽ジャーナリスト]
4月定期公演の聴きどころ
4月の定期公演には、1927年生まれで今年91歳となる指揮者ヘルベルト・ブロムシュテットが登場する。
彼が2015年からN響とバンベルク交響楽団とともに取り組んできたベートーヴェン・チクルスが、いよいよ完結する。
ブロムシュテットが初めてN響の指揮台に立ったのは1981年11月。
以後40年近くにわたり、ベートーヴェンやモーツァルト、そしてバッハなどを取り上げ、その知的なアプローチによる格調高い演奏でファンに親しまれてきた。
1986年、N響の名誉指揮者に、2016年には桂冠名誉指揮者に就任。
N響創立90周年の2016年には年末の《第9》の舞台に立ち、その年齢を感じさせない瑞々しい指揮は印象的だった。
今回の定期公演のB・Cプロはオール・ベートーヴェン・プログラム、そしてAプロはベルリオーズの《幻想交響曲》を中心に据えた選曲になっている。
【N響へ26年ぶりに登場するピレシュがベートーヴェンの名作を弾く】
N響ならではの選りすぐりのソリストたちはまさに定期公演の「華」だが、
Cプロではマリア・ジョアン・ピレシュがベートーヴェンの《ピアノ協奏曲第4番》で独奏を披露する。
ポルトガル出身の名手ピレシュがN響に登場するのは、実に26年ぶりになるという。
ソロはもちろん、室内楽などでもすぐれた演奏で知られるピレシュ。美しく端正な音色、隅々まで神経のゆき届いた繊細な表現力などが魅力の奏者である。
《第4番》のピアノ協奏曲は冒頭、ピアノのソロがひそやかなパッセージを弾くことで始まる。
ピレシュのピアニズムがベートーヴェンの名作をどのように導いていくか、注目したい。
さらに後半では《交響曲第4番》が選曲された。
《第3番「英雄」》に続く《第4番》は、やや小規模な編成で、より古典的、室内楽的ともいえる魅力にあふれた1曲。
近年ますます磨きがかかってきたN響のアンサンブルの粋を味わうことができるだろう。
[伊藤制子/音楽評論家]
2月定期公演の聴きどころ
2月の定期公演を振るのは、首席指揮者のパーヴォ・ヤルヴィ。プログラムには興味津々の演目が並んでいる。
まずはマーラーの《交響曲第7番》。シーズン幕開けの9月定期でショスタコーヴィチの《第7番》を壮絶かつ明快に聴かせたパーヴォが続けて取り上げる「大作7番」は、大いに注目される。
また、N響と初めて挑むワーグナー作品は未知の魅力十分。
多彩な共演者が揃うフランス音楽プログラムも実に楽しみだ。
いずれもパーヴォが海外オーケストラとの来日公演では取り上げていない演目であり、首席指揮者として3シーズン目を迎えたN響でより踏み込んだ音楽作りを企図した、「当コンビでこそ」のプログラムばかり。
国際派日本人ヴァイオリニストの代表格、諏訪内晶子と樫本大進が相次いで登場する点も相まって、見逃せない公演が続く。
【Cプロはパーヴォの経験を活かしたフランス音楽特集】
Cプログラムは、パーヴォのパリ管弦楽団音楽監督の経験を活かした「フランス音楽特集」。
デュリュフレの《3つの舞曲》は、演奏機会が少ないだけに、珍しい生演奏自体が聴きものとなる。
耳馴染みの良い音楽が並んだ佳品で、特に第3曲はリズミカルで胸が踊る。
サン・サーンスの《ヴァイオリン協奏曲第3番》は、フランスの当ジャンルを代表する名曲。
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団でコンサートマスターのキャリアを重ね、さらに表現の深化を示す樫本大進の艶美なソロに、2017年6月定期のサン・サーンスのピアノ協奏曲で魅せたパーヴォ&N響の当意即妙なバックが彩りを添える。
そしてフォーレの《レクイエム》は、天上的な美しさが横溢した、あらゆるレクイエムのなかでも1、2を争う人気作であり、パーヴォにとっては、パリ管弦楽団との録音第2弾にも選んだ自信の1曲。
清澄な歌声を持つ実力派ソプラノ・市原愛(第4曲〈ああイエスよ〉は最大の聴きどころ)、同曲でラトル指揮ベルリン・フィルとも共演したバリトンのアンドレ・シュエン、精度の高いコーラスを武器とする東京混声合唱団と共に、至福の世界へと導いてくれるだろう。
[柴田克彦/音楽評論家]
1月定期公演の聴きどころ
新しい年の幕開けを飾るコンサート。若いとびきりの才能とNHK交響楽団との初共演が実現する。
Bプロでは、まだ30歳代半ばのマエストロ、ダーヴィト・アフカムがN響の指揮台に上がり、
Cプロでは、幼い頃から注目され、今や人気・実力ともにトップクラスのヴァイオリニストである五嶋龍が登場する。
また、Aプロでは、世界的に話題となったジョン・アダムズの《アブソリュート・ジェスト》( 2011年作曲)が日本初演される。こちらも新年にふさわしい聴き初めとなるだろう。
Cプロではバーンスタイン生誕100周年を祝う
2018年はレナード・バーンスタインの生誕100周年にあたり、Cプロでは、広上淳一が、彼の作品を取り上げてメモリアル・イヤーを祝う。
キリル・コンドラシン国際青年指揮者コンクールで優勝後、アムステルダムで研鑚を積んでいた若き日の広上は、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団へ客演に来ていたバーンスタインのアシスタントを務めて、影響を受けたという。
広上は、これまでにも、N響定期公演( 2012年5月)でバーンスタインの《交響曲第1番「エレミア」》を指揮しているが、今回は、《スラヴァ!》と《セレナード》を取り上げる。
《スラヴァ!》はバーンスタインの盟友ロストロポーヴィチに捧げられた楽しい小品。
《セレナード》は、独奏ヴァイオリンと弦楽合奏、ハープ、打楽器という編成の協奏曲的な作品。
独奏ヴァイオリンは五嶋龍が務める。近年、欧米のメジャー・オーケストラとの共演を重ねる五嶋のN響デビューがとても楽しみである。
後半のショスタコーヴィチの《交響曲第5番》では、ますますコラボレーションを深める広上とN響が息の合った演奏を繰り広げるに違いない。広上がこの名曲でどんな解釈を披露するのかも興味津々である。[山田治生/音楽評論家]
12月定期公演の聴きどころ
2017年をしめくくる12月定期。毎年この時期は「デュトワの季節」とよんでいいかもしれない。シャルル・デュトワが斬新なプログラムを手に登場するのが最近の恒例だからである。
1996年から常任指揮者、1998年より音楽監督をつとめ、2003年9月から名誉音楽監督に就任してN響と良好な関係を築いているデュトワ。彼がN響にもたらした功績は大きなものだ。
そのプログラミングには毎回趣向が凝らされており、オペラから小品、現代音楽まで、手を変え品を変え私たちを楽しませてくれてきた。
今年も得意とする近現代音楽を中心に、豪華なソリストたちとともにあでやかなオーケストラの饗宴が展開される。
日本でも人気のティボーデを迎えるCプロ
Cプロでは、日本でも人気のピアニストのジャン・イヴ・ティボーデを迎え、ストラヴィンスキー、サン・サーンスというデュトワらしいプログラムが組まれている。
ティボーデは19歳の時、日本国際音楽コンクールで最高位を受賞。以後活躍の場を広げていったという経緯があり、日本に縁のある演奏家だ。
「エジプト風」と題されたサン・サーンスのピアノ協奏曲は、作曲者がエジプトに実際に滞在していた際に書かれており、当地で聴いたとされる旋律を織り込んだ異国情緒も感じさせる。
神童ピアニストとして名を馳せたサン・サーンスならではのリリカルな魅力にあふれており、きらめくような響きをもつティボーデが洗練されたピアノを聞かせてくれることだろう。
N響とデュトワとのコンビでのストラヴィンスキーの演奏では、たとえば2012年の《歌劇「夜鳴きうぐいす」》での秀演も記憶に新しいが、今回は初期作品の《幻想的スケルツォ》が演奏会冒頭で、そして全曲版の《火の鳥》がしめくくりとして演奏される。
実はこの2作はストラヴィンスキーの創作史の中で互いに密接に関連している。
1909年、《幻想的スケルツォ》と《花火》を指揮者アレクサンドル・ジロティの演奏会で聴いたディアギレフがストラヴィンスキーの才能を見込んで、新作バレエ《火の鳥》を委嘱したのだ。
これら2作を聞きながら、当時のディアギレフそして聴衆たちがいかにロシアの新星の才能に驚いたのか、追体験してみたい。[伊藤制子/音楽評論家]
ストラヴィンスキー:火の鳥 あらすじ・ストーリー
舞台は、不死の魔王カスチェイ(カシチュイ)の庭園。魔法の木に成る黄金の果実を目当てに、幸運の象徴とされる火の鳥がやって来る。
そこへ火の鳥を追っていたイワン王子が現れ、忍び寄って火の鳥を取り押さえる。火の鳥は自らの黄金の羽根を差出し、イワンに見逃してもらい飛び去る。
やがて魔王カスチェイ(カシチュイ)の城から、魔法にかけられた13人の王女たちが現れ、黄金の果実でたわむれ始める。そこへ影からイワン王子が突然姿を現すと、王女の一人ツァレヴナと恋に落ちる。
夜が明けると、轟音と共に城門が閉まり始める。王女達は驚いて城内へ走り去り、門は固く閉ざされる。すると魔王カスチェイの番兵の怪物達が現れ、イワン王子を縛り上げてしまう。
不死の魔王カスチェイが城に戻ってくると、イワン王子に魔法をかけようとする。イワン王子はすかさず火の鳥からもらった黄金の羽根を高くかざすと、火の鳥が舞い降り、魔物達を眠らせてしまう。
そして魔法の木の根元を探すようにイワンに命じる火の鳥。するとそこには大きな卵が。それはなんと不死の魔王カスチェイの魂が入った卵だったのだ。
イワンはその卵を地面に叩きつけると、轟音と共にカスチェイの城と魔法は消え去り、魔王カスチェイも滅び去った。魔法から覚めて正気を取り戻した王女や貴族たち。イワン王子はツァレヴナと結婚し、大団円を迎える。
第1部(1944年)
16世紀半ば、帝位に就いたイワンはロシアを強力な統一国家にすべく邁進するが、それを快く思わない伯母のエフロシニアは、彼の愛する妃アナスタシアを毒殺してしまう。悲嘆にくれたイワンは退位して田舎に引きこもるが、民衆の熱い要請を受けて、再び帝位に返り咲く。
第2部(1946年)
民衆の熱い要請を受けて再び帝位に返り咲いたイワンであったが、宮廷内では依然としてエフロシニアを中心とする反イワン派の抵抗を受けていた。イワンはこの状況を打開すべく大粛清を決行する。
11月定期公演の聴きどころ
11月の定期公演で指揮台に上るのは名匠マレク・ヤノフスキと、若きカリスマ、トゥガン・ソヒエフのふたり。ともに得意のプログラムを携えて登場する。
ソヒエフは2種類のプログラムでプロコフィエフ作品に取り組む。
日頃あまり耳にする機会のない作品も含まれており、さながらプロコフィエフのミニ音楽祭が開かれるかのよう。プロコフィエフを「ショスタコーヴィチと並ぶ20世紀ロシアの最重要作曲家」と位置付けるソヒエフの意欲が伝わってくる。
深まる秋にふさわしい、ずしりとした聴きごたえを残す本格派のプログラムがそろった
Cプロはソヒエフ渾身のプロコフィエフ《オラトリオ「イワン雷帝」》
Cプロではソヒエフ指揮によるプロコフィエ(スタセヴィチ編)の《オラトリオ「イワン雷帝 」》が演奏される。
このオラトリオは、セルゲイ・エイゼンシテイン監督による映画『イワン雷帝』のための音楽に基づいて、プロコフィエフの没後にアブラム・スタセヴィチが編曲した作品である。
2名の独唱者、混声合唱、児童合唱、ナレーターを要する大作であり、ソヒエフの言葉を借りれば「実に深みのある、質の高い音楽」だという。
今回の公演ではナレーターに歌舞伎俳優の片岡愛之助が起用されるのも話題を呼びそうだ。映画『イワン雷帝』でエイゼンシテイン監督が歌舞伎からの影響をにじませていたことに由来しての人選だという。
日本語でのナレーションはストーリーの理解のために大きな助けとなることだろう。壮大なドラマを堪能したい。 [飯尾洋一/音楽ジャーナリスト]
10月定期公演の聴きどころ
10月の定期公演には、2人の指揮者が登場する。Aプロは、本年1月定期に続いての下野竜也、B・Cプロは、今年77歳となったドイツの巨匠クリストフ・エッシェンバッハが、N響定期の指揮台に初めて立つ。
BプロとCプロは、エッシェンバッハが指揮する。
もともとは、クララ・ハスキル国際ピアノ・コンクール第1位など、輝かしい経歴で国際的に活躍したピアニストで、N響とは、1979年にギュンター・ヴァント指揮の定期公演で、ベートーヴェン《ピアノ協奏曲第1番 》の ソリストとして初共演を果たした。
その一方で、若い頃から指揮者としてキャリアを重ね、欧米のオーケストラで首席指揮者や音楽監督を務めてきた。
1987年の来日でもN響を指揮したが、定期公演は今回が初登場となる。
ブラームス《第2番》《第3番》の貴重な連続演奏
Cプロでは、ブラームスの4曲の交響曲のう ち 、《 第2番》と《第3番》を指揮する。
エッシェンバッハは、アメリカのヒューストン交響楽団音楽監督在任中の1990年代にブラーム
スの交響曲全曲を録音。その後も世界の名門オーケストラとブラームスの交響曲を演奏してきた。
この2曲はともに長調の交響曲だが、独特の味わいがあり、明朗な《第2番 》は「ブラームスの田園」と評され、《第3番 》は 、第3楽章の哀愁を帯びた旋律が映画音楽に用いられたことでも有名である。どちらもドラマチックな表現で、マエストロならではの心揺さぶる音楽を作り出してくれるだろう。
N響はこれまで多くの指揮者とブラームスの交響曲を演奏してきた。
エッシェンバッハの円熟の指揮によるブラームスの連続演奏は貴重な機会であり、このプログラムも聴き逃すことはできない。[柴辻純子/音楽評論家]
9月定期公演の聴きどころ
首席指揮者として3シーズン目を迎えるパーヴォ・ヤルヴィのもと、2017/18シーズンが9月より開幕する。
◇ 新シーズンの幕開けはロシア音楽とバルトークの音楽
もっとも興味深いのは Cプロだ。ロシア音楽の珍しい作品が3曲並んだ。
グリンカの《幻想的ワルツ》はパーヴォにとって「子供の頃から大好きだった」という思い出深い作品で、ロシア人の感情の機微が見事にとらえられているという。
デニス・コジュヒンとの共演で ラフマニノフの《ピアノ協奏曲第4番》が演奏されるのも貴重な機会だ。
ラフマニノフが故郷ロシアを離れた後に作曲された数少ない作品のひとつ。人気の高い《第2番》や《第3番 》の 陰 に隠れがちではあるが、情感豊かで輝かしい佳品である。
スクリャービンの《交響曲第2番》は、《法悦の詩》や《プロメテウス》以前の作品であり、パーヴォによれば「後期作品にみられる現代性はなく伝統的な交響曲であり、ロシアの感性や香りが全面に出た、心ひかれる作品」。
このプログラムには、知られざるロシア音楽の魅力を伝えようというパーヴォの使命感が滲にじみ出ている。
驚異的に幅広いレパートリーを誇るマエストロならではの多彩なプログラムがそろった。
パーヴォとN響の第3シーズンにはどんな驚きと発見が待っているのだろうか。
6月定期公演の聴きどころ
2016-17シーズンの締めくくりは、首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィ。
彼は、定期公演のなかで、マーラー、ブルックナー、R. シュトラウス、ロシア 音 楽(ショスタコーヴィチ、ラフマニノフ、ムソルグスキー、プロコフィエフ)、北欧音楽(シベリウス 、ニ ル セ ン、ペ ルト、トゥール)などを続けて取り上げ、シーズンの特色を出しているが、6月は、それにフランス音 楽とドイツ・ロマン派が加わる。
パリ管弦楽団の音楽監督を務めたパーヴォにとって、フランス音楽は必須のレパートリーであったし、シューマンやシューベルトなどのドイツ・ロマン派は芸術監督を務めるドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団との 十八番のレパートリーでもある。
パーヴォ・ヤルヴィ&NHK交響楽団の新たな展開を予感させるプログラミングといえよう。
ソリストには、パーヴォらしく、6月も注目の若手演奏家が招聘される。
Cプログラムでは、ヴァイオリンのクリスティアン・テツラフの妹であり、ドイツ・カンマーフィルで首席チェロ奏者を務めるターニャ・テツラフが登場する。
俊敏で新鮮なシューマン
簡潔に引き締まったシューベルトに期待
パーヴォは、ドイツ・カンマーフィルとシューマン交響曲全曲の録音を残すほか、シューマン生誕200周年の2010年には彼らとともに交響曲全曲の演奏を東京で行うなど、シューマンを得意としている。N響とも、2002年に《交響曲第1番「春」》で、2005年に《交響曲第3番「ライン」》で好評を博した。
今回は、《歌劇「ゲノヴェーヴァ」序曲》と《チェロ協奏曲》。
パーヴォは、俊敏で新鮮なシューマン演奏を聴かせてくれるであろう。《チェロ協奏曲》で独奏を務めるターニャ・テツラフとも気心が知れている。
シューベルトは、パーヴォが日本ではあまり取り上げてこなかったレパートリーだけに余計に楽しみだ。
1時間近くを要する曲の長さとスケール感から、「ザ・グレート」と呼ばれる《交響曲第8番 》(かつて第7番とも第9番ともいわれた)だが、パーヴォが冗長な演奏をすることは決してないだろう。むしろ、簡潔に引き締まった演奏が聴けるのではないか。[山田治生/音楽評論家]