PARK'S PARK

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姜尚中『オモニ』を読んで

2010年07月17日 | 本のレビュー

●母が体調を崩し、通院、そして今は入院している。
待ち時間に姜尚中さんの『母(オモニ)』を読んだ。

初めての自伝的小説は姜尚中のお母さんが亡くなる所から始まる。
オモニは当時日本の植民地であった韓国で生まれ、16才の時に日本に渡ってくる。
第二次世界大戦、朝鮮戦争と時代の波に翻弄され、差別され、不当な権力から虐められ、悲惨な一生を送ってきた。


 【”母”と言う字は、お母さんの顔に似ているね】

■作者の母への想いが非常に上品な文体で淡々と書かれている。
自分の母への想いと重なり、涙を誘う。
作品には、戦前から今日までの在日一世の悲惨な苦労話が切々と書かれている。

◆オモニが苦しい時に、♪なんだ坂、こんな坂、シュッポ シュッポ♪と頑張った場面に泣かされる。
在日一世は、本当に苦労してきた。
字が読めない。一般教養が無い。
差別される。お金が無い。
無い無いづくしなのです。

★在日2世、3世たちも苦労している。
今でも就職差別、結婚差別が歴然としてある。
一部で誤解のある“在日の特別な権利”などと言うものの恩恵に与ったことなど一度も無い!
税金を払っても、選挙権は無い、公務員にはなれない。
医者か弁護士になれる頭があればいいんだけど、ダメなら焼肉屋かパチンコか廃品回収業。
一昔前なら儲かったけど、今はどの業界も厳しいからね。

一世の苦労を考えると帰化はできる訳は無いし“頑張らなければ”と思う。