ICP-OESというと、硝酸など水ベースでの測定がメインである。
しかし、エンジンオイル中に分散される金属粉(摩耗分)などを見るために、オイルの測定が必要になるケースも存在する。
例えば、オイル中の金属を見ようと思うと、通常はオイルを酸分解(例えば硝酸と過酸化水素を加えて煮る)して、水溶液化してから測定といった手法がある。しかし、可燃物に酸化剤を混ぜるのでちょっと危ないし、希釈されるので感度も低下する。
じゃあ、オイルをそのまま測定しようじゃないか。と思うが、オイルは粘土が高いのでうまくいかない。このため、キシリレンで希釈して粘性を下げてネブライザで霧にし、ICP−OESするが、キシレンが劇物に該当する薬品なのでやりにくい。
最近、ケロシンで希釈してICP-OES測定できるらしいので、色々やっている。問題があるとすると
・プラズマ中の煤によるバックグラウンドの増大(煤が黒体放射で光るので、広い波長でバックグラウンドが上がる)
・有機物由来の煤がインジェクタに堆積して障害となる(伝導体なので、プラズマインピーダンスに影響する)
酸素を導入してみたりするが、煤発生領域をインジェクタの先端から遠ざけるのが良さそうなので、補助ガス流量を増大してみるのが良さそう。
PerkinElmerの英語の資料によると、インジェクタとプラズマは2mm程度離れるくらいの補助ガスが良いと書かれてもいる。