1日1話・話題の燃料

これを読めば今日の話題は準備OK。
著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

10月5日・ロバート・ゴダードの苦難

2014-10-05 | 科学
10月5日は、大百科事典『百科全書』の著者・編者のドゥニ・ディドロが生まれた日(1713年)だが、「ロケットの父」ロバート・ゴダードの誕生日でもある。

ロバート・ハッチングズ・ゴダードは、1882年、米国マサチューセッツ州ウースターで生まれた。少年時代にH・G・ウェルズの『宇宙戦争』を読んで、宇宙ロケットへの関心を強めた彼は、クラーク大学、プリンストン大学に入り、スミソニアン協会から資金援助を受けてロケット・モーターの設計に取り組んだ。
37歳で月飛行の可能性について論じ、44歳の年には、マサチューセッツ州内で初の液体燃料ロケットを打ち上げ実験をおこなった。液体燃料で推進力を得る人間の腕くらいの大きさのロケットは、2.5秒で41フィート(約12メートル)の高さまで飛んだ。まだ複葉機の戦闘機が飛んでいた第一次大戦が終わったばかりのころの話である。
その後、実験場をニューメキシコ州ロズウェルに移してロケット研究を続けた。
第二次世界大戦中は、ゴダードは海軍のためにロケット工学の研究を行ったが、海軍は彼の研究の価値がほとんどわからなかったという。ただし、ゴダードのロケット研究は、海軍の艦艇から飛行機を発進させるカタパルト技術に生かされた。これが、現代においてなお、米軍が極秘中の極秘の軍事機密として同盟国にも明かさないカタパルト技術となって受け継がれている。
ゴダードは喉頭ガンのため、第二次大戦が終わる直前の、1945年8月10日に没した。62歳だった。ゴダードが発明した214件の全特許は、彼の死後、合衆国政府が未亡人から買い取った。

ゴダードの頭脳は時代の先を行き過ぎていたために、当時の人々には理解されなかった。彼は真空の宇宙空間でもロケットは推進できると主張したが、科学者やマスメディアから嘲笑された。
また、ロケットの発射実験をした際にも、目標の高度を達成したのにもかかわらず、その後、落下してきたロケットが地面にぶつかって壊れたのを見た新聞記者が、「ロケットは空中分解した」と誤報を書き立て、それがもとで実験中止に追い込まれたこともあった。
ゴダードはしだいに人を信用しなくなり、たったひとりで実験を続けるようになったらしい。
ため息の出る話である。先をゆく人というのは、苦労するものだなあ、とあらためて思う。

ゴダードはこう言っている。
「何が不可能かを言うのはむずかしい。昨日の夢は、今日の希望となり、また、明日の現実となるのだから。(It is difficult to say what is impossible, for the dream of yesterday is the hope of today and the reality of tomorrow.)」(QuotationsPage.com and Michael: Moncurhttp://www.quotationspage.com/)
(2014年10月5日)



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