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いい日旅立ち

日常のふとした気づき、温かいエピソードの紹介に努めます。

北原白秋の歌~その5~

2018-12-10 22:10:52 | 文学


童謡作家のといわれる
北原白秋。
短歌

童謡。

ひっくるめて、
「童謡の作家」
である、という評価が高い。

‥‥‥

かやの木山の かやの実は
いつかこぼれて ひろわれて
山家のお婆さは いろり端
粗朶たき 柴たき 燈つけ
かやの実 かやの実
それ 爆ぜた
今夜も雨だろ もう寝よよ
お猿が啼くだで 早よお眠よ

寂しき夕の歌~百田宗治の詩~

2018-12-10 21:46:30 | 文学


大正期
民衆派の詩は、
心を打つものが多い。
貧しい民衆の
境遇をいとおしみつつ
文学に救いを求めた作家たち。

今回は、百田宗治の詩
「寂しき夕の歌」
を取り上げる。

‥‥‥

子よなんぢの生まれ来るのは貧しき家にて、
なんぢのこの世にいづる前の日まで、
父は汝をこの世の寒き風にあたらざらしめんための
衣買ふ金に心を労するなるべし。

なんぢの産着は木綿にて、
まづしきなかより小切れなど買ひ集め、
くらき夜のともしびのもとに
汝の母の縫ひ
しものなり。
いかなる人を父と呼び、
いかなる人を母と呼ぶかを
なんぢはいまだ知らぬなり。
子よいみじくも神のみ膝に、
遊び暮らしていまはあらん生まれ来る子よ。
人の世は侘しくさびしきところなれども、
おのれ自らその日の糧を得ざるべからざるところなれども、
ちゝはゝはむなしく二つの心をあはせて、
ひたすらに汝のこの世に来る日を待つなり。

とぼしくくらき燈火の下に、
額を合わせ
あはれけふもさびしき夕とはなりつ。









「一つの列車とハンケチ」福田正夫

2018-12-10 16:41:03 | 文学


大正期の
「民衆派」の
文学作品は、
搾取や戦争といったテーマを
自由主義的な観点から歌った。
福田正夫も
その流れに属する。
シベリア出兵のため、
出発する若者たちに
捧げられた詩を
次に
示す。

‥‥‥

一つの列車が、
わっと魂ぎるやうに万歳をわめきながら、
シベリア出征の兵士をのせて、
通過していく疑問ーー。

窓から争ふやうにふるハンケチ、
沿道の人々は呆然として見送る、
ひとりの老いた車夫だけが、
万歳と叫んだ、帽子を振った。

私の魂はまず驚く、
何といふ悲壮だ、
まるでやけのやうに呼ばるる彼らの叫喚、

死ににいくのだ、死にに行くのだ、
なんといふ国民的の悲劇だ。

私は自ら流れてくる感激に、
思はずも壮然として粟立ち、
ついで来たものは満眼の涙であった。
ああ卿等よ、私は万歳を叫ぶにはあまりに凡てを知りすぎてゐる。
許せ、私は涙をもって卿等を送る。











半世紀を経た「蒼ざめた馬を見よ」

2018-12-09 22:06:31 | 文学


思い立って、
五木寛之著
「蒼ざめた馬を見よ」を
読んだ。
半世紀近く前の小説である。
作者のシビアな経験を
明らかにしつつ、
ハードボイルド調に仕上げた本である。
ある本の出版に当たり、
国際的な陰謀が展開される。

まだ、
資本主義か
社会主義か
という問題がホットであり、
それを超えた
「社会的共通資本」
といった考え方が浸透していなかった時代の産物である。

当時、
この書を勧めた男は、
愛媛県をアピールする会社の社長となり、
薦められた男は、
老書生として、
読書三昧の生活を楽しんでいる。

民衆派の詩人白鳥省吾の詩

2018-12-03 18:51:06 | 文学


民衆派とは、
1916年頃から
大正末年にかけて
栄えた、
社会性を帯びた
口語自由詩運動の一派。

その、民衆派の詩人
白鳥省吾の作品。

貧しいものを
苦しめた
財閥への怒りを
下敷きにしている。

‥‥‥

女工の母    白鳥省吾作

工場主から2円の前借をして
女工の母は
皺くちゃの煤け顔で
冬の夕方工場の門を出た。

左手には棒の先に
古びた五合入りの石油缶を下げ
右手には黒いぼろぼろの毛布を抱へ
街の方に買い物に行くらしい。
後姿を寂しく見てゐると
ふと振りかへる皺くちゃの顔が
笑ったか泣いたかわからぬが
閃くやうに暗い感じが私を襲った。

その婆さんの住んでゐる
まだ灯もつかぬ煤けた夜の農家がめに浮かんだ。
娘の女工は工場で今どうしているか
若い者さへ仕合せでない世の中だ。




北原白秋の歌~その2~

2018-12-03 18:20:47 | 文学


北原白秋の
童謡や
愛唱歌は多い。

白秋が
小田原に住んでいたころ、

妻は、
菊子さんという人だった。
よく尽くし、
小田原時代の白秋には、
すぐれた作品が多い。

1つ紹介。

‥‥‥

ゆりかごの歌  北原白秋作詞

一、ゆりかごの 歌を
 かなりやが うたうよ
 ねんねこ ねんねこ ねんねこよ

二、ゆりかごの 上に
 びわの実が ゆれるよ
 ねんねこ ねんねこ ねんねこよ

三、ゆりかごのつなを
 木ねずみがゆするよ
 ねんねこ ねんねこ ねんねこよ

四、ゆりかごの 夢に
 黄色い月が かかるよ
 ねんねこ ねんねこ ねんねこよ

北原白秋の作品~その1~

2018-12-03 08:53:04 | 文学


北原白秋は、
長く小田原に住んだ。

詩人三好達治は、
「白秋では童謡が一番すぐれている」
という。

年配者なら、
誰でも知っている
歌を
書いてみる。

‥‥‥

この道  北原白秋・作詞

1、この道は いつか来た道
 ああ そうだよ
 あかしやの花が 咲いてる

2、あの丘は いつか見た丘
 ああ そうだよ
 ほら 白い時計台だよ

3、この道は いつか来た道
 ああ そうだよ
 おかあさまと 馬車で行ったよ

4、あの雲は いつか見た雲
 ああ そうだよ
 山査子の枝も 垂れてる

開高健記念館は、ステキな場所

2018-12-01 19:38:48 | 文学


開高健は東京都の
杉並区に住んでいた。

新たに、
茅ヶ崎に仕事場を
設けた。

瀟洒な洋館で、
存分に仕事をした。

作品は、
多岐にわたる。

小説
エッセイ
釣り
ノンフィクション
ベトナム戦争の紀行
‥‥

凄まじいまでの作品群。

今は、
金、土、日
に開いている。

原稿
写真
パンフレット
などなど。

茅ヶ崎市開高健記念館。
入場料200円。

ゆかりの人がいて、
説明してくれる。

茅ヶ崎市東海岸6-6-64

小田原文学散歩~北原白秋を中心に~

2018-12-01 08:01:54 | 文学



去る
12月16日、
茅ヶ崎市立図書館の主催する
「小田原文学散歩」

行われた。
事前に講義を2コマ聞かねば
参加できない、
と、
ちょっとした壁もあったが。
無料。

講師は、島津先生。

当日は
10名の参加があった。

北原白秋や、
小田原ゆかりの
作家たちをしのんで、
長い距離を歩いた。
(その人と作品たちは、このブログで紹介予定)

満足のいく内容で、
みんな仲良くなった。

快晴に恵まれ、
楽しい1日だった。

再度いうが、無料。

日本の昔話、こわい話

2018-11-29 12:58:02 | 文学


日本には、
楽しい昔話、
こわい話

たくさんある。
あまり有名でなくても、
周知されていなくても、
映画や
DVD
でも
観ることができる。
地域によると、
図書館で借りられることもある。

写真の
「百目のあずきどき」

その一つである。

一見の価値がある。

茅ヶ崎の名所~開高健記念館~

2018-11-26 19:50:20 | 文学


茅ヶ崎には、
名所が多い。
作家、開高健も
住んでいた。

今、
開高健記念館が
金、土、日に
開館されている。

かれは、
小説だけでなく、
ルポルタージュや
釣りでも、有名である。

訪れる人も多い。


海岸の近くにある。

歌に私は泣くだろう~1000首の相聞歌~

2018-09-30 11:18:59 | 文学
前回、「家族の歌」(河野裕子、永田和宏、永田淳、永田紅著)
のことを書いた。
河野裕子の死の直前344日の記録である。

河野の10年間の闘病記は、
京都大学名誉教授で歌人の永田和宏が、
「歌に私は泣くだらう」
で公にしている。

2人は、永田20歳、河野21歳の時、
短歌を通じて知り合った。
6年ののち、結婚。
2人の子ども淳、紅も歌人である。
2人の間に交わされた相聞歌(恋文)
は、500首ずつ。
40年間で1000首つくられたことになる。
54歳で、河野裕子乳癌発病。
64歳逝去。
死に至るまで、2人は、一緒にふろに入った。
悲しむ河野を支える永田。
夫の老年をを気遣う裕子。
悲しむ永田は、河野の胸にうずくまって、泣く。
ふたりで抱きしめあう。
河野の諦念。
最期は、自宅で息をひきとった。
壮絶な場面もあったが、最期は静かに逝った。
最期の歌。

手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が

70歳直前にして親友を得る法~そんなのあり?~

2018-09-25 17:07:29 | 文学
年をとってくると、なかなか真の友達はできにくいものだ。

社会的栄達や富に差がでてきて、こどもの頃のように
「すぐ友達になる」ことが、困難になってくる。

かくいうわたしであるが、70歳を前にして、
親友ができるようになった。
少年同士のように。

政府高官だったとか、学界の権威だったとかいうなら、
話は別だろうが、
70歳近くになると、肩書なんかどうでもよくなってくる。
賢い人なら、それを悟り、
過去の仕事とか、カネがあるかどうかとか、を気にするなんてヤボなことはしなくなる。

ただ、同じ趣味をもっているとか、老人会の茶話会で知り合ったとか、
動機は単純なほうが、友人ができやすい。

かくいうわたしは、もう高齢者で70歳目前(70代~100代の人には「まだ若い」と、叱られるのだが)である。
仕事では、たいした実績は残さなかった。

しかし、最近になって、同世代の親友ができるようになった。
おもに、共通の趣味を持つ人である。

過去のことは知らない。
しかし、一緒に遊んだり奉仕をすることによって、
互いの素のままの姿に接する。
地位も富も関係ない。
そんなもの、どうでもよくなるのが、
健全な老人である。
そうして裸の付き合いをするうち、親友ができるようになった。

こうして、わたしは、今、多くの友人に囲まれている。
お互いズケズケ説教したりもするが、
所詮、同じ老人である。
そして、訳知りでもある。

つくろっても仕方がない。

長い間、真の友はできなかったが、
金も地位も教養も関係なくなると、
不思議と友人ができるようになった。

70歳近くになっても、
親友はできる。

そして、70~100代になっても、きっと……。














駅前マックの3階より

2018-09-25 15:39:20 | 文学
駅前マックの3階より

もう、秋。

雨にけむる駅前を行きかうひとびと。
黒、赤、青の傘たち。
すべりやすい足元をあやぶんで
下をむいている。
カッパを着た人。
矢印のある帽子をかぶっている人。
黒、赤、青の長袖たち。

駅舎から出た傘が、
ぱっとひらく。
つられたように
ベビーカーの屋根がひらく。

このポイントを、
今日は何人の人が
行きかうのだろう。

彼岸花も咲いた。

そう、もう秋。

今の自分の仕事

2018-08-11 12:11:02 | 文学
好きな詩です。

武者小路実篤作。

……

今の自分の仕事

今の自分の仕事は
自分を鼓舞することだ。
ややもすると、いじけようとする、
自分を鼓舞することだ。
自分にとって自分ほど大事な人はいない。
自分の仕事をしてくれる人はいない、
その自分を鼓舞することだ。

……