時々雑録

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「切り札は...」

2013年11月02日 | 
たいへん久しぶりに野球を観ました。日本シリーズ第6戦、楽天vs巨人。知ってる選手がまるでいない。見てみたのは、今年とてつもない活躍をしたらしい田中将大投手が気になったから。見始めて「想像したほどでもないな~」と怪訝に思って見ていると、とたんに点を取られ、さっき確認したら、試合にも負けたもよう。今年最後の登板でついに土がついた、と。

結果だけは追っていたこの日本シリーズ、楽天が王手をかけたあとの第6戦の戦略が気になっていました。それは、「ここで田中投手を使うのか」ということ。野球好きだったころ(調べてみると1991年)、広島vs西武の日本シリーズ、広島が王手をかけて迎えた第6戦の試合中、西武の森カントクが「にやり」とこぼれる笑みを隠せなかった場面がありました。ここまでシリーズ2勝と、西武相手にもっとも通用していた川口投手をリリーフに起用した時のこと。森監督はシリーズ後のインタビューでこのときの心境を尋ねられて「(広島が)勝ちに来てくれたのでうれしかった」というようなことを言ってたはず。実際、2日前も投げ、やや疲れのあった川口は打たれ、広島は敗戦。次の試合も救援に出した川口投手が打たれ、西武がシリーズを制しました。

まだ二戦あって一つ負けられる。なのに、どうしてそこまで最も通用していた川口をもう一日休ませて、第7戦の勝負どころに残しておかないのか。勝ちに行く、ということは、それで負けたら余力を残せない、ということなのに、というところだったと記憶しています。あの時のことが今回にダブりました。絶対の大エースがいる、あと一回勝てばいい、ならあと一日休ませて、より勝つ確率が高い状態で使うべきでは、と。

2009年に亡くなった海老沢泰久さんという作家がいます。亡くなったときに記事(こちら)にしました。じつは海老沢さんのスポーツ評論しか知らないのですが、生前書かれたものの一つに、星野仙一氏に関する記事があり、今回それが思い出されました。やや古い記事でいずれWebから消える可能性もあるので、一部引用します。

...それ以上に懸念しているのは、星野氏は前述のように監督として3度優勝しているが、日本シリーズでは一度も勝っていないことだ。

日本シリーズは短期決戦で、だらだらとつづくペナントレースとはまったくちがった戦い方が要求される。そのため、11勝0敗の川上哲治氏、6勝2敗の森祇晶氏、4勝1敗の三原脩氏を例に出すまでもなく、強い監督と弱い監督に明暗がはっきりと分かれる。0勝3敗の星野氏は、もっとも弱い監督の1人だ。日本シリーズに3度以上出場した監督は全部で15人いるが、1度も勝っていない監督は、星野氏のほかには0勝8敗の西本幸雄氏しかいない...

シリーズの結果はどう出るか分かりませんが、これで最高の投手はもう(少なくとも、その最高のパフォーマンスを出せる状態では)使えない。巨人側は「相手の最高の投手を攻略した!」と意気揚がる。いかにも、海老沢さんの懸念するようなところが当てはまるような気がするのです。西武に負けた広島の監督は、海老沢さんの記事でこれも槍玉に上がっている、山本浩二さんでした。

田中投手の偉大な記録に最後にケチがついたのはなんだか、もったいない。さらには、巨人を倒す寸前まで来ながら、戦略ミスでそれを逃してしまうことになるとすれば、じつに残念。先日、俳優の石田太郎さんが亡くなったそうです。思い出すのは、ルパン三世カリオストロの城の伯爵...だけですが。伯爵も言ってました

「切り札は最後まで取っておくものだ」

【追記】楽天は結局、日本シリーズを制しました。しかも、最後を締めたのは田中投手。上記の危惧は的外れ、ということになりそうですが、やっぱり私にはそれは「結果オーライ」に見えます。最終回3-0じゃなかったら、前の日160球も投げた田中を使えば、逆転の目もあったかも。ブログを愛読している巨人ファンのhoriさんも、「負ける理由が出来た」というような決着。田中を真の意味の「切り札」に残して、「どうやっても勝てなかった」という印象を与えて欲しかった、という思いを巨人嫌いの私は捨てられないのでした。

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