時々雑録

ペース落ちてます。ぼちぼちと更新するので、気が向いたらどうぞ。
いちおう、音声学のことが中心のはず。

ベスト16

2010年06月27日 | サッカー
W杯はトーナメント戦から、という考え方があるそうです。日本がここに残れているというのは幸せなことなのでしょう。全部見られるわけじゃないのですが、少しずつ感想。

■ 韓国 vs ウルグアイ

同点に追いつく粘りはさすが韓国。いつもながら、「負けるならこう散りたい」という戦い方をする。残念ながらまだ日本はその域には達してないのでは。

■ USA vs ガーナ

ガーナ、上手いし洗練もあるけど、見た範囲ではボックス内に殺到する迫力がない。ベスト8くらいで終わりでは。一方、USAは盛り上がったのだろうか。いつもと同様、最後まで頑張る、好感の持てる代表でしたが、ベスト16程度では注目してもらえないか。

■ ドイツ vs イングランド

ランパードのゴールが認められていたら2点ビハインドを追いついた勢いが生じたろうし、後半、前がかりになってカウンターを受ける羽目にならなかったかもしれない。力はドイツが上だったと思うけど、だからといって、その通りドイツが勝っていた、かどうかは分からない。ここまで大きな違いを生む誤審を「これもサッカー」と言うのか? 少なくとも、私は楽しみを台無しにされました。判定が訂正され、得点が認められてゲームが進む方法を考えてほしいものです。

ただ、「今大会、GKの勝負に占めるウェイトは大きい」という予想にばっちり当てはまる試合でもありました。ルーニーもなんと無得点で大会を去る。NikeのCMのように、落ちぶれて数年後モービルホームに住むことになる...ワケはないけど、今回のイングランドも、どう考えても優勝に届くチームではなかった。読書録に取り上げた『Soccernomics』の「イングランド代表は過大評価されている」は今回も証明された、と思います。

■ アルゼンチン vs メキシコ

見られませんでした。テベスのオフサイドは、直後にスタジアムでばっちり再生されちゃったとか。現代の映像技術の威力はもうみんな知っちゃってるわけで、いまさら「再生するな」ってワケにも行かない、サッカーのほうが変わるしかないのでしょう。ただ、あれほど多くの角度から同時に映像を記録できるのは大きな大会だけなワケで、そういうところだけビデオ判定導入ってわけには行かないのでしょう。審判5人制ってのが検討課題になるのでしょうか。これも、先端まで浸透させるには、たいへんな人的資源開発が必要、簡単じゃないですね。

イグアインは大舞台でも点を取れるところを見せてるけど、この先、正念場でどうか。さて、また準々決勝でドイツと当たる。前大会のベストチームだと個人的には思うアルゼンチン、自国開催の有利さもあってかドイツにPK戦で敗退したのがとても残念でした。ぜひ、雪辱を果たしてほしい。

■ オランダ vs スロベニア

オランダ、攻撃に工夫や意外性なく、スピード感もなし。パワーで押し切ったけど、内容的にはちっともよくなってない。優勝に予想したけど、残念ながらそれに値するとは思えませんでした。

■ ブラジル vs チリ

偉大なブラジルを見てしまいました。個々人の技術が本当に高い。フィジカルも強い。足も速い。攻撃が跳ね返されても、高さというオプションがある。隙が見つからない。やっぱり、ブラジル対アルゼンチンで決勝、というのが順当なんでしょう。ところで、結局エラーノはベンチにも戻ってきてない。コートジボワールをチンチンにやっつけた代償は大きかったなと。

■ 日本 vs パラグアイ

実は、PK戦まで行くといいなと思っていました。できるだけたくさんの選手に経験してほしかったので4人で終わりは残念。グループリーグの試合よりホンのちょっとずつだけ、選手の出足が鈍かったように感じました。そのためか、局所戦で競り負けることが目立ち、もう一歩攻め手が続かなかった。想像ですが、グループリーグに合わせたピーキング、違う戦術の元で選んだ23人の中から、新戦術にあわせた布陣をひねり出したせいで選手選択の幅が狭く、スタメン11人の疲労の蓄積が進んだこと、あたりが理由かと。PK戦は、駒野が悪いんでも、選んだ監督が悪いんでもなく、パラグアイより、日本のほうが、チーム全体としてほんのちょっとだけ、キック精度が落ちる、それだけだと。駒野が失敗したのは、その若干高い失敗の確率が、たまたま彼に回ってきただけと認識してます。ともあれ、そういう要素も含めて、日本はここまでが精一杯だったのでしょう。選手は本当によくやったと思います。

■ スペイン vs ポルトガル

起きられたので後半だけを見ました。トーレスがまだ本調子じゃないけど、それでも試合で使って調子を上げさせたいのでしょう。優勝まで届くとしたらやっぱり彼が不可欠でしょうから。見た範囲ではスペインが内容で圧倒。最小点差だったけどポルトガルに勝ちの目は見えなかった。ロナルドは結局1得点で終戦。これは予想どおり。ちょっと疲れ気味にも見えたけど、そもそも、どうもポルトガルは彼が点を取るチームではないらしいから。それにしても、このチームは敗退するとき必ずといっていいほど退場者を出す。ポルトガルリーグの荒さが原因、と聞いたことがあるけど、この癖、治したほうがいいと思う。

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さてこれで、ベスト8にまだ南米が4チーム。ベスト4全部南米になる可能性もあるわけだけど、そうならないような気がする(スペインが勝つと思うから)。この時点で、驚くことに勝ちあがったチームは予想(希望)とほとんどドンピシャ。いよいよ佳境、ますます楽しくなってきました。写真は日本へ帰る途中、ミネアポリスでの乗り継ぎ時に空港で入ったレストラン。グループリーグ最終戦、同時開催の2試合をそれぞれ流してます。

グループリーグまで 日本にて

2010年06月27日 | サッカー
日本に来ました。その直前、Bloomingtonで4年住んだアパートから市内の別のアパートに引っ越したこともあり、ちがう時間帯に来たこともあり、W杯を見られる頻度はぐっと減りました。だから、印象はずいぶんぼやけたものなんだけど、グループリーグの結果を振り返ってみたい。まあ今日書いている時点で、もうベスト8も4チーム判明した状況ではあるのですが。

■ アフリカ勢

アフリカの大会にはなりませんでした。そもそも、欧州だからって、たとえばスペイン大会でギリシャが有利になるのか、ってのと同様、アフリカ南端の開催国で、アフリカの出場国全部が有利になるワケでもないか。ただ、フランスにトドメを刺した南アはちょっといいところ見せました。いちばん期待したコート・ジボワール、ブラジル戦を見て考えが変わりました。ズタズタにやられてたし、ルイファビの反則ゴールもあって腹が立ったのかもしれないけど、相手が足を出してきたところにスパイクを出すプレーが二つも。エラーノ大丈夫なんでしょうか。「相手にケガをさせても」というプレーは大嫌いなので、もう二度とあそこを応援することはありません。

■ 波乱の大会か?

個人的にはそうでもない、と認識。南半球の大会で、南米が有利というのはありえたし、そもそも南米強いし。波乱の象徴、前大会ファイナリストを例に挙げます。イタリアは、ここ数年のクラブチームでの低迷(インテルはガイジン軍団なので別)をそのまま反映してるのでしょう。以前に比べると選手があまりに小粒(かピークを過ぎてる)。

フランス、監督に戦術がないとか、チームとして戦ってないとか、失敗の原因が探られているようですが、私の見方は、「1998年の自国開催効果がついに切れた」。自国開催が分かった時点(8年前くらい?)から、1998年に選手としてのピークを迎えそうな10代の少年たちはモチベーションを高く保ち、サッカーを捨てなかったろうし、サポートも厚かった。ユーロ2000あたりをピークとした短い時期は確かに実力的にも世界No.1だったと思うけど、その後W杯2002、ユーロ2008と一次リーグ敗退も珍しくない。一流クラブのスターぞろいのチームだ、というけど、その中でどういう機能を担う選手かというと、ほとんどがスピード・パワー勝負の選手、攻めが一本調子で点が取れないのは恒常的な問題でした。その欠如を埋める、ジダンという稀代の天才ももういない。つまり、選手のクオリティからしても、たんなる実力相応の結果だと見ます。

韓国・日本のグループリーグ突破の快挙はこの状況で相対的に有利になった(不利さが消えた)ということでしょうか。

■ 決勝トーナメント予想

ベスト16のふた山のうち、日本の入った8か国がきつい。ここから上がってきそうなのはアルゼンチンか? でも、しり上がりに調子を上げると希望的観測をして、スペインで! 逆の8か国はこれに比べるとゆるい。W杯優勝経験国はブラジルだけ、決勝進出を含めてもオランダ(またウルグアイ意図的に外す)。やっぱりブラジルが強そうだけど、エラーノがもし戻らなかったら痛い。ロッベンも戻り、調子を上げてオランダが勝ち上がると。決勝はオランダvsスペイン。

ということで、最初の予想とまだ変化なし。たんに、新鮮なものが見たいだけ、という気持ちもかなりあります。過去、伝統で予想がついてしまっては面白くないから。また、もう少し大会が進んだら感想を書きたいです。

■ 日本代表

2勝、複数得点(どれも文句なし)、グループリーグ突破。すばらしい。これで得られた希望を考えると、「4年の失敗を反省するためには惨敗でもいい」という以前の発言は反省したいですが、一方「岡チャンごめんネ」発言が出まくっている、という話には、乗れません。これについては代表終戦後、改めて書きたいです。

期待と不安と W杯6日目まで

2010年06月17日 | サッカー
W杯、今日で全チームが一度登場。引越しと帰国準備、(いちおう)研究なんかで忙しいので全部はとても見られませんが、ここまでを振り返りつつ、以前の記事(5/25)に書いた予想とも照らし合わせてみたい。手前味噌ながら、当たったかな、と思ったところを中心に。

■ 気候の影響。
「冬だし、ずいぶん南だから、赤道直下のアフリカ勢が有利、という気もしないし。あえて言えば南米の国?」
と予想しましたが、ここまで、南米のチームはわりとよし。今日なぞ、ウルグアイが開催国の希望を木っ端微塵に。もう一つ、気候の影響かも、と思うのは点数の少なさ。北半球で6月に開催するのと違って、みんなシャープに動けるだろうといわれてましたが、その結果、守備で走りまくっても、最後までもつ、ということかと。点数が少ない大会になってます。日本の「1-0大作戦」にもプラスに働いたのでは。

■ アフリカ勢
「アフリカ勢がベスト4まで達するパターンはちょっと考えにくい。開催国南アフリカはかなり弱そう。インチキぎりぎりのことでもしてもらわない限りグループ敗退では。」
と予想しました。見る限り、極端にアフリカ寄りのジャッジはなさそう。で、アフリカ諸国苦戦。ガーナしか勝ってない。コートジボワール、ブラジルに勝ってくれないかな。

■ 選手離脱の影響
「ドイツ。バラックが抜けたおかげで、シュバインシュタイガー等が遠慮なく力を発揮できて、こっちもむしろプラスと予想」
これは、今のところそんな感じ。日本同様、実はもう世代交代の期は熟してたのでしょう。予想外だったのは、ピルロ出遅れのイタリア。ドサクサにここも世代交代か。でも、今回優勝するにはちょっと経験不足だろうと。

■ 優勝候補の出来ばえ
ファイナリストの予想の一方はオランダ。まだ本領を発揮してない。発揮する前に終わらないといいけど。もう一方のスペイン、予想は、
「マルコス・セナが調子が戻らず間に合わなかったのが最後に(どこかで)響きそう。」
不安的中。初戦からいきなり響いてしまいました。人数をかけて攻めるスペインが、奪われて速攻を出されそうなとき、恐るべき予測能力で危険の芽を未然に摘み取ってたセナほどの仕事、ブスケツ+シャビ・アロンソでは出来るわけもなく。トーレスが本調子に戻ってなかったのも痛い。この試合はずっと見ましたが、インテルにしてやられたバルセロナの再現のよう。ゴール前を固めて速攻を出されたらどうするか、バルセロナにも解答が出てない状態では、スイスにもやられちゃうと。ひじょーにがっかり。森監督が違う戦い方を見つけない限り、早々に終わるでしょう。とほほ。

■ 日本
「「一勝」が身の丈にあった目標でしょう」
してしまいました。上手く戦えばGL突破も充分ある。でも、なんとなく最後はうっちゃられそうな気がします。

■ その他
日本でも話題になってるようですが、チョン・テセは目立ってました。プレーも胸のすく思い切りのよさでした。アン・ヨンハも国歌歌ってました。練習させられるんでしょうか。

国歌といえば、長いと途中で切られるらしい。なんかそれは気の毒。とくに、チリなんか長いか? ブラジルも、ちょっと長いだけでしょう。アルゼンチンはホントに長いけど(前奏からして)。敬意を払って最後まで聞いてやればいいのに。

ESPNの解説に、(USA元代表のララ以外に)、英国のマクマナマンと、オランダのフリットが。フリットは髪型がふつうでひげもないので、画面表示が出るまで「この訛りの強い英語をしゃべるでかい人は誰?」と。ブラジルのマイコンのシュートについて試合後、「マイコンのシュートが素晴らしい」(フリット)と「センタリングに山を張ってゴールに近いほうを開けすぎたGKのミス」(マクマナマン)で延々論争。最後はマクマナマンが優勢になり、フリットは「でも、サッカーはミスのスポーツだよ、ミスがなかったらゴールはうまれない。ゴールが見たいだろ、スティーブ」とまぜっかえしたら、マクマナマンの方は「Confucius!」と切り返す。引退すると、ずいぶんよくしゃべるようになるもんだな、と。

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写真は上記と無関係。イラン人のおばあちゃん(ニョーボの英語学校のクラスメート)が作ってくれたもの。インディカ米に玉ねぎ、海老、それから、レンズマメ。おいしい!

大会2日目まで

2010年06月12日 | サッカー
W杯始まって2日。雑多に感想など。

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全体的に、やっぱり緒戦はみんな慎重だなーと。得点も少なめだし、引き分け多いし。印象がよかったのは南アフリカと韓国。南アフリカは走れるし、速攻の連携もけっこう正確だし、日本より強いのでは。

パク・チソンのゴールは圧巻。2002年大会のポルトガル戦のゴールはたいへんな衝撃でした。W杯のような舞台でああいうことが出来るのは、ごく限られた特別な選手だけ、悔しいけど、日本にはそんなの誰もいないと思ったから。それと同じくらいのをまたやってのけた。すごいの一言。

逆に印象が悪かったのは、フランス、イングランド。アルゼンチンも予想通り場当たり的。でも、強豪国はスロースタート傾向なのかも。

USA vs EnglandはABCで放送(他はESPN)。イングランドは、やっぱりGKが穴。イギリスのメディアはどう伝えてるかと思って、GuardianのWebを見てみたら、あのファンブルについて、「gaffe」だの「bungle」だの「howler」だの、こっちが初めて見る単語を繰り出してぐちぐち... 「blunder」は知ってたけど、「へま」を表す単語がこんなにもあれこれあると教わりました。

ただ、USAチームが、いつも通り、最後まで身体を投げ出して頑張ってたとはいえ、4分のゴール以降一点も取れずに終わった、イングランドの攻撃の単調さが引き分けに終わっちゃったホントの原因だろうと。いくらなんでもこれで優勝はありえないと思うけど。

大会公式球、ほんとにぶっ飛ぶらしい。ランパード、メッシでさえホームラン。でも逆に、とんでもない遠い距離からどかーん、ってのが見られるかも。ポルトガルのロナルドか、日本なら本田△か。こうなるとますますGKが鍵を握りそう。

それから、アフリカえこひいきジャッジはなさそう。不明を恥じました。

日本では、夜の試合を見ようと思ったら、午前3時台に起きることになるみたいで大変ですが、こっちは昼の2:30から。今日は土曜日だったし、ふつうに、のんびりと観戦できました。

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今日は暑さで入道雲が出て、日本のような蒸し暑さに。おかげでいよいよホタルが大発生。こちらのは川の近く以外でも生息するらしく、家の周りにも飛び回るし、日本のものよりかなり光が強いから、薄暮でも充分見られる。生まれて初めてこれを見た娘は大喜びでした。

4年経って (W杯開幕を前に)

2010年06月10日 | サッカー
いよいよW杯開幕。前回と同じく、グループリーグのときはアメリカ、後半は日本。アメリカは南アフリカより6時間遅いので、昼の試合は朝7:30から、夜のが、昼2:30から。

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4年前、豪州・日本戦は大学の食堂スペースで観戦。その感想を「第一戦を見て」という記事にしました(2006/6/13)、そこには書かなかったんですが、そのとき、アジア人、おそらく韓国人と思われる顔のおじさんが、落胆の表情を浮かべていたであろう私の顔をニヤリとしながらじっと見ていたことは、今も忘れません。日本代表の試合を見てあれほど落胆したことはありません。

そして、あの大会中に考えたこと。日本の10番はあんなに頼りない選手だったのか。チームが苦しいときに「俺に任せろ」というプレーが出来るのが大黒柱じゃないのか。2002年に落選した悔しさを胸に臥薪嘗胆、満を持したのではなかったのか。逆に、彼より技量では(たぶん)劣る7番は、もう効果的なプレーはあまり出来なくなってたけど、270分戦い続けていた。。。 そして思い至ったのは、通常の試合で見られる技量だけでは測れない何か、そんなレベルと程遠い私にはそれが何なのか想像もつきませんが、それがある選手とない選手があり、ことW杯本戦のような、たくさんの人の期待を背負って戦う場面では、その何かを持つ選手だけが、その期待の重さを背負って戦えるらしい、代表ってそういうもんなんだ。この考えは、それからの4年の経緯を見て、さらに強まりました。

今、思うのは、4年前すでに起きつつあったサッカーの変化がすっかり定着した、ということ。プラティニ(だったかな?)が予告したとおり、サッカー選手はどのポジションも、俊敏に動き続けられる能力が必須になってきたようです。チェコ、フランス、コートジボワールとかは4年前もうそんな感じだったけど、ファン・デル・ファールトとかルーニーみたいな選手まで、あんなに走れる選手になるとは。批判にさらされているというブラジル代表の戦略も、その現状を踏まえた必然の解答なのでしょう。それを思うと、日本の世代交代は必然だし、遅すぎました。

ニュースを見ると、どうやらやっと、フィールドに立つ11人が固まったもよう。監督が「当日決める」と言ったのは、質問をかわすための方便でしょう。4年前、ドイツ大会直後になされるべきだった世代交代が、ようやく起きた、という思いです(換言すれば、コンディション云々の問題だとは思いません)。現監督、二年半前の就任時に反対の記事を書いたのですが、ここまでひどくなるとは... 大会後、人選や体制作りについて、じゅうぶんに検討してほしいです。ただ、この土壇場の変化で、何かは起こせそうな気がする。今回の日本代表の戦いぶり、けっこう楽しみではあります。

くどいですが、なぜここまで世代交代に時間がかかるのか、不思議でなりません。いちど固まった体制が変化するのには、時間と、相当な材料の積み重ねがいる、ということでしょうか。でも逆に、もうこれで後戻りすることはないでしょう。

記事を見返すと、4年前は、4.5というアジアの出場枠が減ると予想してました。で、実際にはそのまま。経済発展著しいアジアの枠を縮小しないのは、FIFAにとって当然の戦略なのかもしれませんが、日本にとっていいことなのか、本戦には出場はできるけどそこでの勝負は蚊帳の外、を繰り返さないためには、アジア突破の段階でぎりぎりの勝負になるほうがいいんじゃないか、と思ったりもします。

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強盗事件が発生しはじめたようで、ちょっと心配。アフリカの大会になるとうれしいけど、いくつかの親善試合でのデタラメなジャッジを見ると、不当な勝ち上がりで大会がスポイルされるのでは、という不安もある(多少はしょうがないけど)。4年前は、留学してから初めて日本へ戻るところ。ただただ早く帰りたかった。今回は、あと一年でここもおさらば、最後の夏。いろいろあったはずなんだけど、あっという間だったという気もあります。でもともかく、4年は経って、また始まる。楽しみたいと思います。

読書録4 Soccernomics

2010年06月07日 | サッカー
最近、大学図書館で借りて読んだ本。タイトルが示す通り、サッカーとお金の関係をさまざまな側面から考察。つい去年の出版なので、データ等が新しくて楽しめます。

Simon Kuper and Stefan Szymanski. Soccernomics: Why England loses, why Germany and Brasil win, and...(以下略) New York: Nation Books, 2009.

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私にとってサッカーの楽しみの一つは、いろんな国に興味をもち、知るための入り口になることです。2002年の日韓大会では、水原(スウォン)で、「毎大会必ず現地に行く」というドイツ人と話す機会があったし、去年はフィンランドでW杯予選を見て、Bloomingtonでは、大騒ぎブラジル人の仲間に入れてもらった、など。この本を手に取ったときの期待も、各国のサッカーの強さ、ファン気質などの背景を知りたい、ということでした。

その期待はいい意味で裏切られました。サッカー文化を挿話的に語るような本ではなく、タイトルそのまま、サッカーを例にした経済学の啓蒙書のよう。著者の一人(Szymanski氏)が数量的分析手法を駆使する経済学者だからでしょう。データ重視、しばしば研究論文(多くが著者本人のもの)の結果を引用して、「1980年代くらいまでは給与面で黒人選手に対する差別があり、90年代ごろに消えた」とか「最もサッカー好きの国民はクロアチア人」「終生一つのチームへの忠誠を保つコアなファンは例外的存在で、ほとんどのサッカーファンの行動パターンは『そのときどきでいい商品を選ぶ』という一般的消費行動で説明できる」などの結論を、重回帰分析とか、その残差分析とか、いかにも経済学(なのかな?)という統計を使って、導き出す。

巻末には学術文献のリストを収録。そこに載っていたEconomic Journalという雑誌には、スポーツ経済の特集号まで。いくつか見てみましたが、偏微分とか、ごっつい数式が出てくる。PK戦を使ったゲーム理論の研究もあり。この分野では、実験室で架空の競合状態を設定して被験者の行動を観察することが多いようですが、PK戦はより現実的な人間の選択行動のデータを観察するのに格好なのだそうで。その他、大真面目にスポーツをデータにしている研究者の一群がいるらしい。その蓄積を背景としてるので、300ページほどのペーパーバックにしては中身が詰まってる。

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この本で展開されるデータに基づく主張には、一定の信頼性があると思います。可能なかぎり信頼性の高いデータに基づいて議論を進めていて、手法も説明し、確認したい人はホンモノの学術論文に遡ることもできる。でも、一般的に人は統計的な考え方が苦手、というか決定論的な見方を好む傾向にあるので、この本のような確率論的なものの考え方には拒否反応を示すんじゃないかと。「平均して...長い目で見ると...これくらいの精度で...こう予測され...」なんて論じても、「この次の勝負の結果は表か裏か」が関心なわけだから。

先日、あるパーティで、サッカー狂の知り合い(米国人)にこの本の話をしました。2章の「イングランドはなぜ勝てないのか、実は、世の中の人たちが『イングランドは本当はもっと強い』と過大評価しがちなだけであり、彼らはほぼ実力相応な(かちょっと上の)結果を得ているのである」という結論を説明したら、真っ向から否定。イングランドは絶対優勝候補だ、ルーニー、ランパード、ジェラードといったスーパースターがいるじゃないか、と。ここにも、強固なイングランド信奉者が... そりゃあ、その辺りはそうだけど、あとは、イングランドの選手だから有名なだけでワールドクラスではない人が多くないか? (でもファーディナンドの離脱は、実はプラスかも)

サッカーファンの好み、考えは、十人十色、たとえ個人のバイアスがたっぷり入った見方でも、それを交換することにサッカーを見る楽しみの一部が間違いなくある。この本のように、データを基にある種の見方が支持されないことを説得力を持って示す本、私にはとても痛快ですが、人によれば楽しみをスポイルされるだけかも。というわけで、誰もが楽しめる、という本ではない気がします。

でも、全巻を通せば、たんなる冷徹なデータ&リクツだけの本じゃない。両著者とも、やっぱりサッカー大好きなんでしょう。これでW杯を見る楽しみがますます増えました。

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この本、早くも日本語訳が出たそうで。もちろん、今回のW杯に間に合わせようということでしょう。でも、「「ジャパン」はなぜ負けるのか」ってタイトルは? そういう章を、日本語版のために書き下ろしたようで、そこは原著にはないから読んでないのですが、上で省略した副題の続きは

Why the U.S., Japan, Australia, Turkey ... are destined to become the kings of the world's most popular sport.

米国、日本などの国はいずれ王者になる、そのワケを教えまっせ、という本のはず。邦訳の題はそれとは真逆。想像するに、いずれ王者になるにしても今は何故まだダメか、どうすればいいかという章を付け加えたのでしょうか。日本人にとって扇情的なタイトルを付けたほうが売れると考えたんだろうけど、だからって、本全体の趣旨が逆転するわけじゃなし、いくらなんでも、インチキというものでは。この本を見た知り合い(米国人)には「がっかりさせたら悪いけど、日本は王者にはならないと思うね」と言われました。

W杯2010の予想2 結果は・・・

2010年06月01日 | サッカー
先日の「勝負を分ける要因」を踏まえて、結果の予想を。

■1 アフリカ勢は

カメルーンのエトーがインタビューで「アフリカの大会に」という意気込みを語っていました。アフリカ諸国が政治・経済的に安定して、チーム運営がマトモになれば、若い頃に連れて行かれてそのままフランスとかオランダとかの代表に、という例も減って、さぞ強くなるのでは、それがアフリカ諸国の発展に寄与しないか、という期待があります。今大会、アフリカ勢の躍進がそのきっかけの一つになればいいのですが、いちばん強いと思うコートジボワールが、たぶんトーナメント1回戦でスペインと当たる。で、今のスペインならいなしちゃう気もする。チャンスがあるとしたら、勝ち進んだらイングランドとやるガーナか(でもエッシェン離脱はきつい)。ということで、アフリカ勢がベスト4まで達するパターンはちょっと考えにくい。開催国南アフリカはかなり弱そう。インチキぎりぎりのことでもしてもらわない限りグループ敗退では。

■2 優勝は

W杯初開催の大陸、ということで、予想しにくいのですが......思い切って、オランダ初優勝で! W杯2回目のファン・デル・ファールト、スナイデル等が大活躍して、ベスト8でブラジルを破って上がってくると。南アフリカなら、元宗主国だし(*)。もう一つのファイナリストは、願望もこめてスペイン。優勝してほしいけど、マルコス・セナが調子が戻らず間に合わなかったのが最後に(どこかで)響きそう。

* と思ってたんですが、この国はイギリス支配下から独立したんですね。オランダ系の人たちは、オランダ代表を応援するんだろうか。

これ以外なら、やっぱりブラジル。地味だけど強そう。カカ、ルイファビ、ロビーニョで、CLを制したインテルみたいな精度の高い速攻を繰り出すと。GK、DFもいいし、本当は本命はここなんだけど、そうすると次のブラジル大会と連続優勝になっちゃうかもしれないから敢えて外す。FWのタレントがすごいアルゼンチンも魅力的だけど、みんな今シーズン大活躍だったから、その反動が出るのではと。それに、たとえばサネッティ、カンビアッソ選ばないとか、やっぱり監督の采配がめちゃくちゃに見える。あれで勝ったらホントにマンガの世界(神話か)。メッシの大会になるのは次回ということで(ブラジル開催だけど)。他の過去の優勝国、ドイツ、フランス、イタリア、イングランドは、優勝までの力がないと見る(ウルグアイも)。

■3 得点王等は

前回のように5点で得点王はつまらない。せめて6点、できれば7、8点を期待。さて候補は。グループリーグがラクで大量得点がありうる、チームが勝ち進みそう、と考えると、スペインのビジャ。PKキッカーだともっと有利だけど、スペインはシャビ・アロンソが蹴るのかな。同じ理由で、オランダのファン・ペルシーも有力。こっちはPKもFKも蹴りそうだし。MVPもファン・ペルシー。今期、怪我による離脱前はすごかったし、状態も戻ったみたい。ブラジル優勝なら、得点王はルイス・ファビアーノ(しかいない)。MVPはカカ。この二人が大車輪の活躍をしない限り、ブラジルの優勝はないでしょう。以下、かなりあてずっぽうですが、最優秀GKはブラジルのセザール。最優秀若手は、試合に出ないと取れないので、スペインのピケ。

(追記、若手賞、知らない選手だったけど、強化試合を見たら、オランダのファン・デル・ヴィールもよさそう)

■4 日本は

直前になって戦い方や選手起用に変化が起こるかもしれない日本。これ自体はポジティブに受け止めたいですが、アジアカップ4位、W杯予選3or4位通過という結果が示す現在の実力を直視すれば、「一勝」が身の丈にあった目標でしょう。複数の試合で(キーパーチャージとかオフサイドではない)得点できたら十分評価したい。浦和ファンとしては、日本でずっと見てた長谷部を応援したい。

前回大会が私が見出してから一番つまらないW杯だったので、ともかく、面白くなってほしい。事故や、ラフプレーによる怪我、試合をぶち壊す疑惑の判定などがなく、選手が遺憾なく技量を発揮して、はっとするプレーをたくさん見せてくれる大会になるといいなと。