時々雑録

ペース落ちてます。ぼちぼちと更新するので、気が向いたらどうぞ。
いちおう、音声学のことが中心のはず。

Tricampeones! EURO 2012をふりかえる

2012年07月02日 | サッカー
EURO 2012 はスペインの優勝で終了。タイトルは、スペインのスポーツ新聞as.comの見出し。W杯制覇を挟んだEURO連覇はたしかに偉業。決勝、4-0という結果ほど両チームに力の差はなかったでしょうが、間違いなくスペインが上回っていました。解説の金田さんがおっしゃってましたが、ピッチ状態がよかったこともスペインに有利だったよう。パスが思ったように回せてて、開始10分で勝てそうな(少なくとも簡単にやられることはない)感じが見えました。キエッリーニ、モッタの怪我もあって、ちょっとスリルを欠く、残念な試合にはなりましたが、決勝に到達するまでで、イタリアは力を使い切っていて、のらりくらりとここまで勝ち上がったスペインにはまだ余裕があった、という見方は、後知恵ではないと思います。さて、大会をふりかえります。

1. 注目したチームのできばえ

スペイン:MF(より後ろ)の力だけで優勝してしまった。「ごっつあん得点王」トーレスは、楽勝の試合しかゴールしておらず、重要な得点はみーんなMF。シャビはピークを越した感があるけど、アルバが台頭して、イニエスタが鬼。実質FW抜きでも何とかなってしまうのはすごいけど、バルセロナ黄金期とともに訪れたこの黄金時代の終わりは近そう、という印象も持ちました。王者と認められ、研究・対策が進歩、違うバックグラウンドをベースに、似たスタイルを身につけつつあるチーム(伊・仏)も出て、苦戦も増えてきた。次のメジャー大会では、いよいよスペインを打ち破るチームが現れるのでは。

イタリア:じゃあそれはイタリアなのか、というと、それはない気がする。バロテッリはこの大会の活躍と屈辱をバネに、ホンモノになるかも。でも、このチーム、全体としては若くない。ブッフォン、ピルロという、最重要の選手たちは、キャリアの最後が近い。デロッシ、カッサーノだってもう30歳近く。イタリアはこの大会がチームとしてはいったんピーク、あらたな中心を見つけて、チームを作り直さないといけないので、このまま次の王者へということにはならないと思うのです。

ドイツ:若いチームだし、この次の大会こそ...は、ないと思う。それは、EURO2008、W杯2010のときも思ったわけで、今回確認できたのは、この線で強化をしていってもどこかに限界があって、準優勝、ベスト4くらいにとどまってしまう、ということじゃないかと。大会ごとに新たな選手が活躍、というパターンも今回はなし。たとえば、シュバイニーがコンディション悪くてもゲッツェが活躍、とはいかず、ここからはちょっと停滞、となるのでは。

ポルトガル、オランダ:国の規模を考えると、もうすでに十分善戦。オランダはたまたまめぐり合わせが悪くて大失敗しましたが。元植民地の選手を吸い上げられるにしても、これほどの小国が優勝まで届くのは、相当困難かと。でもCR7やファン・ペルシーの価値は少しも落ちないと思います。

ひどく期待はずれなチームはなく、まあみんなこんなもんだよな、と。あえて言えば、スペイン。経験と「顔」でなんとか勝った感じで、あまり好印象じゃない。それからイングランド、やっぱり中盤からの展開力はないし、前線でボールはおさまらない。この内容でベスト8は上出来では。ルーニーが一級品でいられるあと数年のうちに、新世代に入れ替えてどこまで盛り返せるか。優勝候補に挙げたフランスですが、また揉めてるとか。ブランほどの、みんなの尊敬を集めてそうな人が監督になってもだめですか。次の可能性がありそうなのは、ここだと思ってるのですが。

2. 選手について

前も書いたのですが、レアルマドリーの選手がほぼみんなよかった。筆頭はカシジャス。大会中失点1は、半分以上彼の功績でしょう。個人的大会MVP。それからペペ。退場しなかった(!)。それさえなければ、もともととてつもない能力の持ち主。私の大会ベストDF。ベスト(守備的)MFは、これも前に書いたとおりケディラ。(攻撃的)MFは、スペインの、個人じゃなくて「アルバとイニエスタ(とシャビ)」、「シルバとセスク」の「セット」。こういうところが、スペインの他に対するアドバンテージなのかも。FWはあえていえばセスク。注目はされてないかもしれないけど、ボールの引き出しやポスト的なプレーもけっこう上手いし、アシストもできて、ゴールも決めた。偽FW的位置づけになってるけど、チーム戦術しだいでは、「これがうちの場合のFWなんだ」というのもありかも。(見直すと、アルバをMF扱いしてるし、セスクがMFでもFWでも入ってるし、めちゃくちゃですが、ベスト11を選ぼうというものじゃなく、目立った選手を指摘してるだけなので...)

もうちょっと活躍しても、と思うのは、ポルトガルのナニ。彼がどこかでゴールを決めてれば、ポルトガルはもっといい結果だったかも。それから仏のコシェルニーは、あんまり出られなくて残念。出た試合ではよかったので、今後に期待。ブスケツ、ピケもイマイチだったなー。もっといい彼らを見てきたバルサファンとしては残念。CR7は得点王を逃がし、また彼の大会にはならなかったけれども、よく頑張ったと思う。ポルトガルはマドリーではなく、彼にそれほど点を取らせてはくれないので。

公式のMVPはイニエスタになったそうで。前回のシャビに続いて二大会連続、持ち味はアシストという、やや地味なMFが最優秀、とされたわけで、スペインのようなチームの強みがどこにあるのか、ということに正当な評価が与えられた、ということでもあり、なおかつ、好きなバルセロナの選手がまた、というのはもちろんうれしい。天の邪鬼なわたしはちょっとはずしてブスケツと予測しておいたのですが、やっぱり本命が来ました。でも、得点なしでMVPとは。カシジャスが、PKも含め、決定的で勝負に直結した得点機会阻止の数があれだけあっても取れないとは、GKというのは可哀想なポジションです。

3. 大会全般

全体として、試合を左右するようなPKジャッジとか、退場とかがほとんどなし。審判団が高く評価できる大会だったのでは。決勝戦がイエローカード2枚と、荒いプレーをする選手も目立たず、オランダのファンボメルやデヨンといった、潰し屋が目立ったW杯2010より、サッカーそのものが楽しめた。一方、派手な撃ち合いや、逆転などがなくて、大会全体としては、わりと淡々と決着がついた試合が多かったような。Sportsnaviの元川悦子さんの記事によると、開催国の運営については、とくにウクライナに問題もあったよう。TVでらくらく観戦させてもらえた身としては、報道関連のみなさん、ありがとうございます、と。

決勝戦の試合終了後、スペインの選手がお子さんをピッチに入れていました。トーレスのお子さんらしいおちびさんたち、かわいかった。これで大会終わり、次はロンドン五輪。ここでもスペイン(と日本)が楽しみなのでサッカーだけは(ちょっと)観ようか。。。デヘア、チアゴ、ムニアインと、この世代を見ると、いったん落ちるにしてもスペインはまだまだ強豪ではあり続けそう。今大会試合に出してもらえなかったハビ・マルティネスもがんばるでしょう。

EURO 2012 決勝を前に

2012年06月30日 | サッカー
ついに決勝を残すのみとなりました。予想は案の定外れ、スペインvs.イタリアという組み合わせに。まあ、グループリーグのベストゲームがこの2チームの対戦だったので、正当な組み合わせ、と言えなくもないでしょうか。

ポルトガルのロナルドは、結局PKを蹴らないまま大会を去ってしまいました。守備の荒いポルトガルが退場者を一度も出さなかったのは驚きですが、審判が上手にコントロールした、というところもあるかも。今大会、全体的にジャッジの仕事が優秀な気がする。あの、ゴールのミスジャッジくらい?

予想で「イタリアは、ホントのバルサではないので、ドイツは止められるだろう」と書いたのは、逆にいえば、本当に技術の高いチームだと、ドイツは上回れない、と思ってたから。イタリア戦の結果はいってみればそのとおり(強弁か)で、微細なボールコントロール技術が本当に高いのがエジルくらいのドイツは、崩しきれない、ボールを支配されてしまう。Number Webのコラム等では、本当は今大会のベストチームだったのだけれど、油断による采配ミス等があって負けたような書きかたになってますけど、そうじゃない。今のドイツは、あるレベルまではあらゆる点が優れているけど、限界があるチームなんだ、と、前回のEURO2008、W杯南ア大会のスペインに対する負けを見て、思いました。

で、イタリアは解説の金田さんがおっしゃってるように、中盤に技術の高い選手を選んだプランデッリ監督のプランがよかったんですね。わたしは、予想を上回られました。さて、ではスペインをも上回れるか。グループリーグの戦いを見ると、かなりやれる。でも、後半は足が持たなくい走らないとその戦いを遂行できない、という感じに見えました。ということで、まだ中盤の技術はちょっとだけスペインが上か。でも、スペインはビジャという計算の立つFWがいなくて、得点を奪う決め手に欠けるので、まだ試行錯誤。予想したとおり、中盤の選手がかわりばんこに得点者になって最少得点でしぶく勝ってきている。フィニッシャーの比較なら、カッサーノ、バロテッリ、ディ・ナターレのほうがちょっと勝るかも。

だから、決勝はスペインの森監督がカギを握っている、と思います。イタリアが前半でリードを奪うために前から当たってくるとして、それをかわしてボール保持率を上げるプランはあるか。具体的には、グループリーグでやられた3バック・デロッシCB作戦に対する対策は見つけられたか。後半勝負をかけるとして、そこでトーレスを使うのか、逆にゼロトップなのか。さらに、延長も視野に入れて、慎重に戦うとして、本当に足が止まった延長に得点を狙うなら、誰か(ペドロ?)などなど。相手の戦い方の読みも含めた、試合全体のプランを間違えずに実行できれば、やっぱりスペインが勝つ、と思います。

もしスペイン優勝なら、MVPはそりゃもうカシジャス。一方、イタリアならピルロになるんでしょうか。決勝は、バロテッリの日にはならない気がする。ともあれ、楽しみです。

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追加の感想。今大会、バルサの選手が全体的にフィジカルコンディションが悪そうなのが残念。シャビ、ブスケツはミスが多いし、イニエスタだって、コンディションがよければ、もっとすごいと思う。一方、マドリーの選手は、レギュラーシーズン後なのに、動きがよくて、カシジャス、ペペ、ラモス、コエントラン、アルベロア、ケディラ、クリロナ...みんなそれぞれのチームでがんばりまくった。今シーズン、バルサがタイトルを逃し、マドリーがリーガを獲ったのが残念ながら納得できました。スペインが勝っても、2008年、2010年とは異なり、バルサで勝った、という見方はできなそうに思います。

EURO 2012 ここまで

2012年06月21日 | サッカー
グループリーグが終わり、ベスト8が決まりました。全部観てないのでエエカゲンですが、予想とも照らし合わせて、ここまでの印象をまとめると。

1. 印象に残ったチーム

クロアチア:1998仏W杯のチームのようなスターチームではなくても、相変わらず一人ひとりの技術が高い。ビリッチ監督と、彼が1998仏W杯の準決勝で退場に追い込んだ仏のブラン監督(で決勝戦に出られず、ビリッチ選手には三位決定戦中ブーイングの嵐)との対戦を期待したのに、残念。

ポルトガル:攻撃はあんなもんでしょうけど、思ったより守備が堅い。やばいファウルも少ない(とくにペペ)。

イングランド:思ったほどひどくない。若い前線の選手がかなりいい。もう、思い切って今後、ルーニー以外の常連はおしまい、ということでどうでしょう(やっぱり、さすがにジェラードは必要か)。とはいえ、やはりグループリーグ突破が精一杯、というチームに見えます。

2. 優勝候補に挙げたチームのできばえ

スペイン:なんとも危なっかしい。クロアチア戦は、カシジャスだから止めた(?)というシーンが2回もあったし、唯一のゴールだって、ナバスはオフサイドでは? PKだったかもしれないのを見逃してもらってるし。応援するけど、ちょっと今回の内容は優勝に価する気がしません。

フランス:最終戦負けてしまって、ファイナルに予想した組み合わせが準々決勝で行われることに。ここまで見た限り、優勝には何か足りない。何だろう。実は結束かな。

その他、チームの勝ちあがりはまあまあ予想通り。残念なのは共同開催の二国。一方だけでもなんとかならんもんか。オランダは相変わらず、ミドルシュートが炸裂するかどうか、という確率の低い戦い方。実際に観たことはないのですが、クライフのチームのトータルフットボールというのは、今のオランダの個人技頼みの戦い方とは違うのでしょうね。これであの黄金世代も終焉。

3. 印象に残った選手

ケディラ(独):今のところ、彼がわたしの大会最優秀選手。細かい技術や、パスセンスはイマイチでも、ともかく急所に飛び込んでくる。エジルよりチームへの貢献はずっと高く見えます。

カシジャス(西):いつもどおりの聖イケル。今大会、計算の立つFWがいないスペインは、「カシジャスじゃなければやられてた」というレベルの危機を彼がスーパーセーブで救う、というのがさらに何回か必要かも。

コエントラン(葡):どこがいい選手なのか初めて分かりました。走れる。ドリブルもいい。シュートもかなり上手そう。今シーズンのマドリーでのプレーより良いのでは。

おお、全部レアル・マドリーの選手だ。

得点王に予想したレバンドフスキ(ポーランド)は大会初ゴールだけで去ってしまいました。活躍を予想した仏のコシェルニーは、そもそも試合に出てない(泣)。こっちの予想は今のところ全然ダメ。ディフェンシブハーフも、西のブスケツじゃなくて、ケディラや仏のディアラのほうが目立ってるし。あと、目立つのはミゲル・ヴェローゾの男前っぷり。

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さて、決勝トーナメントが始まりますが【という記事を準備してるうちに始まってしまいました】、スペインびいきの私は、守備が堅くて負かしにくいフランスと当たるのは嫌だった。ドイツとの決勝戦ならば、まだ、ちょっとだけスペインが上回れると思うんだけど、むしろその前に、やっぱり守備が堅くて、速攻の精度が高いポルトガルをちゃんと倒せるかが問題。こないだのW杯ではまだ上回れたけど、今回は、それこそ今年バルサがマドリーにやられたのと同じパターンでやられるかも。良くも悪くもペペ次第(そして審判次第)か。

もう一方の山のファイナリストはドイツと予想。バルサみたい、という評判のイタリアは、ホントのバルサではないので、ドイツは止められるだろうと。で、決勝がポルトガルとドイツになったら、こんどはグループリーグと逆の目が出て、ポルトガルが優勝、と予想、って、こんなにあれこれ書くのは予想としては反則か。そうなったら得点王は、逆転でCR7。その場合、たぶん一回くらいPKも蹴る。今度は外すなクリロナ。といえば今回はここまでPKによる得点が少ない(ない?)大会ですが、どこかで必ずPK合戦があるでしょう。優秀なGKのいるチームが残ったけれど、PKは優秀なキッカーがそろうかの方が重要というのが持論。これも今度はがんばれクリロナ。

試合開始前

2012年06月11日 | サッカー
EURO 2012開幕。昨朝は起きたらドイツvs.ポルトガルの後半がやってました。TBSのコメンタリーはロナルドとエジルを軸にしゃべってたけど、目立って見えたのはドイツのケディラ。技術は少々劣っても、あれだけ動きの質と量が良ければ。グループBは面白くなりました。予定調和なしのゲームが見られそうです。

この試合前の国歌演奏のシーンを観ましたが、ドイツは歌ってない選手が多かった(移民系のエジル、ケディラ、ポドルスキーなど)。翌日のイタリア国歌は歌詞も知ってるので、一緒に歌って雰囲気に浸りましたが、Dov'è la Vittoria? とかなんとか、好戦的な歌だなあと再認識。フランス国歌なんかも血なまぐさいわけで、なんとなくぼんやりと象徴的国王を称える日本国歌は、そういうのよりは穏やかに聞こえて、悪くもないな、と最近は思います。

ついでながら、だからと言って「みんな歌え!」と神経を尖らせる向きには賛成できません。この点について「強制ではないのが望ましい」という趣旨の発言をした今上天皇はエライ。それを引き出した当時の都教育委員もぐっじょぶ(彼の本意ではないでしょうが)。どっちかといえば穏やか国歌をもつ国ならなおさらのこと。国歌には敬意を払いましょう、自国・他国いずれについても、歌わずとも黙って耳を傾けましょう、程度でいいと思ってます。

今朝は録画しておいたイタリアvs.スペインを観戦。スペインは、ビジャがいたらねえ、という試合でした。ゼロトップはバルセロナが今シーズンやっていたパターンで、バルサと同じような感じでセスクが得点。相手が疲れてきたらトーレス、も作戦通り? トーレスには惜しいシーンもあって、もうちょっとで図に当たるところでした。解説の金田さんはコンディションが戻ってないとか言ってたのですが、彼がスペイン代表クラスの中ではやや技術が劣るのは分かってること、このていどの逸機は仕方がないのでは。この試合について、イタリアに対する賞賛が聞こえてきました。さすがという面は見えましたが、そりゃあなんたってイタリアなんだから。。。 でもやっぱり、優勝に食い込むほどのチームには見えないなー。それにしてもイニエスタは上手かった。

この試合では国歌のあと、試合が始まる前まで、Alan Parsons ProjectのEyes in the skyのイントロ部分(正確にはSiriusという別のタイトルの曲)がかかってました。もう発表から30年。NBAとかでも試合開始前の定番だったと思うのですが、ずいぶんと長く重宝されているものです。

EURO 2012 はどうなる

2012年06月09日 | サッカー
どうしても気になるサッカー欧州選手権が始まってしまいました。前回大会でも予想を書きました。さて今回は。どうせ当たらないものではありますが、観る楽しみのために。

1. ファイナリスト: フランス スペイン

この両者は、いずれもグループがラク(これは重要)。逆に、実力的には本命かもしれないドイツは、ここでちょっとだけ苦しむ分もあって、どこかで脱落と予想。スペインは、それほど冴えない戦いをしつつ、決勝までは来ちゃう。前回MVPのシャビのコンディションはよくないかもだけど、ブスケツ、カソルラ、シルバ、マタあたりが前回よりぐっと成長してると思うので、そこは補えると。フランスは、ついに世代交代が完遂。リベリー、ベンゼマ、ナスリ、エブラ...とメンバーも現時点の世界トップクラスがずらり。予選は苦労したかもしれないけど、もうそのときより強くなってると見ます。

2. 対抗: ドイツ ポルトガル

ドイツは上位は堅い。ポーランドで試合できるし。でも2010年W杯のときからの上積みがいまいち足りない気がする。前回のEURO、W杯、今年のチャンピオンズリーグに続き、またもや失意のシュバイニー、と予想。ポルトガルは大穴。うまく死のグループを抜け出して、攻撃陣のポテンシャルが爆発すれば。でも... ファイナリストまでと考えると「?」。カルバーリョがいればまだしも、守備は優勝に届くレベルではないと思うし、またまた、いつもの如く、どこかで退場を出しまくって自滅では。

3. 前評判より劣ると予想するチーム: オランダ イタリア

オランダは、好きな選手は多いけど、2010年が最大のチャンスだった、今の主力選手たちのピークが過ぎたという認識。イタリア、雑誌Numberには押す記事もあったのですが、私には、攻撃・守備ともベスト4あたりに届くにはどうにも小粒に見えます。イングランドは、前評判自体良くなりようがない状況、グループ敗退でも驚きません。

4. 得点王: レバンドフスキ(ポーランド)

開催国効果で、ある程度勝ち進んで、どこかで「固め取り」をする(共同開催のポーランドとウクライナが隣国だとは知らなかった)。試合数が多くなるはずのファイナリストに予想した2国は、得点的にはやや低調、かつ得点者がバラけると予想。それでもスペインから出るなら、今シーズンあまり出られず、調子が上向きに見えるペドロ。優勝してもフランスからは出ない気がする。個人としての得点能力No.1はもちろんポルトガルのC.ロナルドでしょうが、やはり今回もチームが勝ち進めないと予想します。

5. (最)優秀選手: カシジャス(西) コシェルニー(仏)

つまり、守備の選手。両チームとも、渋く勝ち上がると思ってるので。ただし、コシェルニーは攻撃にも活躍と予想。前の方の選手なら、エジル(独)、得点だけでなくアシストも含めてベンゼマ(仏)。スペイン、バルセロナ贔屓として期待するのはブスケツ。シャビのあとバルセロナの「核」となるのは彼だと思ってるので、そろそろちょっと目立ってほしい。目立つのが難しいポジションではありますが。GKも、何らかの事情でカシジャスの代わりにバルデスが出て活躍したらうれしい。

試合自体はあんまり観られないでしょう。なにしろ深夜だし。時間ないし。でも、やっぱり楽しみです。

はじめて観たMLS(ESPN3にて)

2010年10月01日 | サッカー
うちは現在、Comcastというプロバイダ会社にインターネット、ケーブルTV、電話をまとめて提供してもらってます。3つセットで安くなるプランがあったのでその契約にしましたが、TVは電源プラグも抜きっぱなしでほとんど見ません。ところが最近、この契約のおかげで「パソコンでTVが観られる」ことを発見。インターネット接続サービスを契約してる家庭は、ESPN3というインターネットによる番組のストリーミングのアクセス権も自動的に得られる仕組みだったようです。今まで気づかなかっただけで、ずっと前から権利はあったみたい。

放送される競技は、プロ、大学(ときどき高校も!)のアメフトがいちばん多く、プロ野球、ホッケーもある。アメリカ国内のスポーツに興味はないのですが、海外のスポーツ中継もゴルフ、テニス、ラグビー、オージーフットボール、など多種。サッカー中継も英国、ドイツ、イタリア、スペイン、ポルトガル、オランダの各国トップリーグから毎週15試合ほど中継するので、興味のあるカードは必ずみつかりそう。今週末には香川選手が大活躍中のドルトムントとバイエルンという好カードの放送があります。

サッカー中継にはMLS、つまり米国・カナダリーグも。アメリカでは、サッカーは女性や子供でもできる危険度の低い(したがっていわば軟弱な)スポーツというイメージがあり、マッチョな大男の肉弾戦が好きなアメリカ人にはいまいちウケが良くないと聞きますが、ますます人口比率を増している中南米からの移民系の人たちを中心にMLSの人気も上がってるとか。だからか、週2試合くらいは放送があるようです。

先日、LAギャラクシー対NYレッドブルズというカードがあったので、観戦してみました。滞在6年目、MLSを観るのは初めて。上の写真では小さな画面ですが、もちろんフルスクリーンにできます。画像の質も悪くない。通信の関係でたまに映像が止まるけど、このための追加料金を払ってるわけではないし、十分満足なレベル。画面の下には、その他に現在観られるゲームの一部が紹介されています。23番の背中は、LAのベッカム。ヒザ靭帯の大怪我から復帰したらしく、先発でした。【追記 記憶違いを訂正、ベッカムはアキレス腱断裂でした】LAにはイングランドリーグでもW杯でも活躍したドノバンも。NYにはバルセロナから移籍したアンリがいるはず。

ベッカムはまだなかなかカッコイイ...のはともかく、フィットネスが不十分な印象。走る量も少くてあまりボールを受けられず、ぜんぜん目立ちませんでした。代表復帰はあっても先の話でしょう。アンリは怪我なのか、出場なし。やはりバルセロナから来たマルケスが出てました。ドノバンがイングランド仕込みの運動量と、高い技術を見せてましたが、LAは連携があまりよくないようで、効果的に攻撃できず、結局0-2で負けたようです。

アメリカ西部の州とは時差が3時間もあるうえ、試合開始が夜8時なので、インディアナでは11時から。嫁さんとおしゃべりしててあまり観ず、夜遅くなったので途中で寝てしまいました。ビデオ・オン・デマンドだから、好きなときに呼び出せるのがいいところで、続きを観てもいいわけですが...今後もあまり観ないかな。

さらに新監督問題

2010年08月28日 | サッカー
監督決定の発表はまだないようですが、先日興味深いコラムがSponichi World Soccer Plusに発表されました。

金子達仁 「日本の地盤沈下が招いた"監督空白"」

http://wsp.sponichi.co.jp/column/archives/2010/08/post_1690.html

趣旨を要約すると思われる一節を引用させていただくと

   ......マテウスが中国に魅力を感じたのは、中国のサッカーというよりも、
   国自体のポテンシャルに惹かれたからではないか。かつて、多くのサッカー
   関係者が日本に惹かれたように。

   日本という国に斜陽のイメージを抱く人が生まれつつある以上、サッカー界
   のみで現状を打破するのは簡単なことではない。

です。留学するんだってそう。どこならこの分野が強いかってこともあるけど、どこに住んでみたいかってことも、あるよね、と。マテウス以外でも、金子さんの挙げた例からすると、サッカー指導者についても、その比重は思ったより高いらしい。(私は、「住んでみたいか」ということを重視するなら、サッカー不毛のアメリカなど決して選びませんでした。研究の水準、奨学金などの状況を考えたとき、他の選択肢はありませんでした)

このマイナスをひっくり返すだけの魅力が日本サッカー全体にあるか、という点が微妙だから、交渉がなかなかまとまらないと。今回の一件は、日本のサッカーに関わる人々全体に、自らの力不足を振り返らせるものであるはず。原さんが代行監督をやることになったつぎの親善試合、大仁JFA副会長が言ったように、だからといってやる気が持てないなどという選手がいるとは思えません。どの機会でも誰かが見ている、全てチャンスと考えるのがプロ、そうでないとしたら、それこそ、「世界で取り合いになる指導者」が来たくなる状況とは言えますまい。JFAではなくて、そういう選手(とその指導者)をこそ嘆きたい。

そんな自分たちを代表し、悪戦苦闘しているJFA技術委員会を叩き、自らを省みようとはしない人たちがいて、その溜飲を下げさせるような記事を書くのがジャーナリストの仕事なのか。。。 金子さん、悪く言われることも多いようですが、個人的には首肯できる意見が少なくありません。

再度、蹴球日本代表新監督問題につき

2010年08月25日 | サッカー
新監督のリクルート、予想以上に難航、決まらないまま原さんが帰ってきて、サッカー報道が少々かまびすしくなってきました。でも、よく見るスポーツナビのブログで読む限り、ファンの方々には冷静で、共感を覚える意見が多いように思えます。

記者会見記事を読んだのですが、原さんらしく率直で、いろんな事情が分かってとても勉強になりました(レッズの監督、スカパーのコメンテーターとして見てきたので、多少なじみがあります)。なにより印象的だったのは、

「世界のマーケットの中でも取り合いになるようなところから、まず当たってみようということです。」

という発言。たいへん好ましく感じます。本気だなと。そうこなくちゃ、と。

で、やっぱりネックは前の記事で推測を書いたとおり、「日本」のようです。欧州の人にとってやっぱり日本は遠い。とくに家族は嫌がるでしょう。食事も、習慣も違う。簡単に帰れない。教会は? 学校はどうなる? と。もう一つはペジェグリーニさんが断った最終的な理由、「日本に4年もいると欧州の監督市場から外れるかも」という気持ち。チリ人の彼も、いわば欧州の人なのですね。以下のような説明もありました。

「いろんな思いで日本に行く気持ちはあっても、いざ4年、2年でもいいですけど、日本に行くという決断をするには彼だけの意思ではなくて、家族であったり、連れていくコーチなどいろんな要素が絡んできます。最終的に、なかなか決断が遅れてしまったり、今挙げたような監督は少し待っていれば、間違いなくビッグクラブなどからオファーがある人ですから、日本のことに興味を持っていても最終的には思い切れなかったということですね。」

つまり、ことサッカーに関しては、世界の中心は欧州で、日本は辺境だと。その辺境に、中心地の人、それもそこで十分チャンスがある人を引っ張ってこようとすると、簡単じゃないと。原さんや技術委員会の責任を問う人には、自分たちの立ち居地を確認すべきなのだ、と言いたい。私たちはこの程度なのですね、残念ながらと。そして、値踏みされているのは交渉に当たった人々ではなく、日本という国、日本サッカー全体なのだと。だから、この評価にむしろ責任があるのは、これまでの日本代表チームであり、欧州でプレーしてきた日本の選手たちなのではないでしょうか。責めているわけではありません。なかなかの評価があるから、契約ぎりぎりの線に至っている人もいるわけですから。(ただ、南ア代表チームの戦い方は、候補者の目にどう映ったか...)

見通しが甘いとか、端で言うのは簡単だけど、全て、やってみないことには分からない。交渉してみたから日本のサッカーの、欧州での評価が分かった。本気で当たってくれた原さんたちは、評価したいし、応援したい。やれるところまでやり切って、どこまでの人なら連れてこられるのか(こられないのか)、交渉で問題になるのは何か、できる限り洗い出してほしい。

最終的にどの交渉も不調に終わり、いったんJリーグ関係者が監督になったとしても、それも教訓。「まだ、われわれには分不相応だった」と分かれば、次の出方も考えられる。半年、一年経てばまた監督市場に上がる人も出てくるでしょう。その間、欧州にいる選手には頑張ってもらって、遠くてもやってみたい、と思う人を増やしてもらうしかない。

それにしても... スポーツメディア、とくにスポーツ新聞はどうしてこう否定的なのでしょう。そのほうが読んでもらえるからという以外に、自社が代表のビジネスに絡んでいて、新体制が早く軌道に乗らないと困るとか、あるんじゃないの? と勘繰りたくなります。記者会見を見ると、責任追及をする記者もいて、個人的には不愉快。今回のような記事をはじめとして、スポーツ報道と呼べないものが少なくないと感じます。決して、原さんが好きだからではありません。

もう一つ、それにしても... 早く新体制でスタートを切ってほしい気持ちは分かるけど、そんなにまずいですかね、この程度の遅れ。前の4年がどうだったか思い出してみればいいのに。新チームスタート一年余りで監督が倒れ交代、そのあとの二年半も迷走した挙句、最後の10日ほどでどんでん返しの突貫工事。数ヶ月を無駄にするのが許せないというんだったら、前回のチームのほとんど4年の無駄には、もっとよほど怒るべきではないでしょうか。あれを繰り返さないために時間がかかっても粘り強く交渉しているのでしょうに。

(追記)

一夜明けて、フリーのジャーナリストの方々もこの問題に関するコラムを載せていました。最近は早いですね。

後藤健生さん http://www.jsports.co.jp/press/column/article/N2010082513530402.html

「こういう人に交渉すべきだった」はそのとおりでしょう。でも、それも、(推測はできたにせよ、ホントにそうなのかどうかは)やったから分かったんでしょう。あと出しジャンケンみたいな批判は感心しません。

戸塚啓さん http://wsp.sponichi.co.jp/column/archives/2010/08/post_1689.html

やはり、「見通しが甘い」という論調。でも、じゃあどんな人に交渉してほしいのか。強化の貴重な時間が無駄になる、という見解も述べていますが、戸塚さんのオフィシャルブログで、この4年間の停滞を嘆いてるのと整合しません。

ジャーナリストも「批判が商売」なのでしょうか。また、どうしても責任は協会サイドなんでしょうか? 上記のとおり「批判を向けるなら、まだまだな自分たちに」だと思う。日本サッカーの向上を願って、ということなら、大衆批判がむしろ必要な場合もあると思うのですが。

交渉の遅さを批判する声もあるのですが、おそらく辺境である日本、という問題と関連するのでしょう。どういう人事にしても、有力なほうから先に決まるのが通例。モウリーニョが最も早く決まり、ベニテスときて... 魅力的なポジションから、優秀な人材のほうから決まっていく。日本代表監督は、その段階ではむこうにとって考慮の対象にあがってこない。順番はまだだよ、ということだったのだと。じゃあ、そういう序列から外れた人に最初から当たって、早く決めればよかったのか。現状はそうだったのかもしれません。でもでは、そうやって自らの足元を見て妥協した人選をした場合、「その程度か」と批判しなかったのか。今でも狙った線で決まる可能性は残っているわけで、なぜ待ってやれないでしょう。日本に対する、自らに対する現状認識が高すぎる、と思います。

サッカー日本代表 新監督選び

2010年08月14日 | サッカー
サッカー日本代表の新しい監督の決定が予定より遅れているとの話。来月はじめの親善試合の指揮を取ってもらえるよう間に合わせたいが、無理かもしれないとか。煽るのが商売のスポーツ新聞(ここでは日刊スポーツの記事を参照してます)は、「難航」だとか「後手後手」だとか「完全に裏目」とか言ってるけど、私はこれを喜ばしいことと受け止めています。

というのは、この現状は、JFAがやっとコネ人事・根回し人事をやめて、本当の「交渉」をやっていることの証だからです。後藤健生さんのコラムにあったのですが、結局ここのところしばらくは、川渕三郎さんが個人的に決めてきたわけで、ついにそれに終止符が打てたということ。言わば、やっとまともになったと。そこまでつながりのなかった人に一から交渉すれば、難航することもある。記憶しているところでも、韓国とか、イングランドとか、何ヶ月も決まらなかったことがあるはず。まして、はじめて本格的にやるわけで、たとえば交渉に出した原さんが問題があるにせよ、人選やバックアップ体制も含めて、JFAが勉強して、上手くなっていくしかない。

スペインの方と交渉しているというウワサですが、それが日本サッカーの強化にとっていいのか、ということは分からないし、考える気もありません。それは専門家である(あるべき)技術委員会が考えること。重要なのは、その専門家たちが強化の方針、目標を真剣に考え、議論して、そこから導き出した結論を基に候補選びをしたかどうか。それさえ大丈夫ならば、べつに遅れたってかまわない。もっと時間をかけてくれたっていいくらい(欧州のシーズンが始まっちゃうと候補がいなくなっちゃうかもしれませんが)。とにかくなんとしてもやめて欲しいのは「やってもらえそうな」「手近な人物」に当たる「拙速」な人事によってつぎの4年間を無駄にすることですから。この8年間のように。

新体制のスタートが遅れたら、もちろん交渉力も問われるのだろうけど、それは相手側の「日本の監督なんかやって自分のキャリアアップにつながるのか」とか「あんな遠くのヘンな国に住みたいか」という、国の評価も含めた実力の反映でもあるんだから、しょうがない。優秀な、野心ある指導者を候補に立てるほど、その可能性が高まるはず。ニッカンは「観客動員、視聴率面での大打撃は回避できず」なんて言ってるけど、もしそれはそれで問題なんだとしても、この遅れは、興行より強化を第一に考えた結果と、好意的に受け止めたい。ていうか、スポーツ新聞もそういう報道をしろ。

この8年間で、監督選びに手を抜いては絶対いけないこと、そして、それ以上に、技術委員会がちゃんと機能を果たすことが重要であることが、明確になった。個人的には、それが2大会連続の「失敗」から得たいちばんの財産だと思ってるので、やっと違う方向に進みだしたJFAに期待したい。監督が決まった後も、採用した人物に、しっかり注文をして、厳しくチェックして欲しい。ということで、原さんがんばれー。

今回のサッカー日本代表について、もういちど

2010年07月22日 | サッカー
サッカー、ましてや今回のW杯について、まだつべこべ言うのはいい加減にしないと、と思っていたのですが、どうにも気になることがあり、一つ記事を追加します。

サッカー宇都宮徹壱さんが、先日のスポーツナビに

  「「ベスト16」との向き合い方 南アでの日本代表の戦いを総括する」

という記事を寄稿されています。宇都宮さんの記事は楽しませていただいているし、敬服もしているのですが、今回はどうも得心がいきません。ただし、この記事だけに異論を述べたいのではなく、今回の日本代表を総括した記事のいくつかに同様に感じたことでもあります。

わたしが疑問を感じる論点は、次の一文に集約されていると思います。

  いくら「強化のプロセスが悪い」「試合内容が悪い」と批判したところで、
  岡田監督が今大会で残した「ベスト16」という結果が揺らぐことは一切
  ないだろう。何といってもW杯は、結果がすべてなのだから。

疑問の一点目は、ベスト16という結果です。もし、ずっと言われてきたようにベスト4が目標なら、ベスト16は失敗のはず。「W杯は結果がすべて」と主張するなら、目標に照らして結果を評価するべき。もっとも、これは半分ツッコミのようなもの。本当の理由は以下。

二点目は、同じく「結果がすべて」について。南米や欧州のようにサッカーの歴史において先行していて、競争力が一定の高さに到達してしまっている国なら、その実力から達成可能な結果が挙げられるかがすべて、と言うことも出来るかもしれません。しかし、後発国の日本は、競争力の底上げを図っている最中、しかも、最終的な目標はW杯優勝です。そこに至る強化の道筋を着実に踏まえていることが問題になる。ですから今はまだ、結果がすべてではない、経過もよくなくてはいけないはず。

三点目、さらに重要なことは、評価のされ方です。W杯の結果だけをみて、いい、とか、悪い、と評価するのは適切ではない。南米の国にとってコパ・アメリカが重要なように、アジア杯も重要。今回のチームの4位という成績は明らかに悪い(ちなみに、わたしはオシム氏は日本で過大評価されていると思います)。岡田氏就任後に限るとしても、東アジア杯でも過去最悪の3位、予戦でもしばしば格下にも苦戦し、その後の親善試合も散々。つまり、ほとんどの時期、内容・結果とも悪かったのです。W杯がよければいい、というのは、五輪で勝てば英雄で、各シーズンの選手権の結果はほとんど注目されない、という陸上、スキーなどの競技の観られ方と同じものを感じます。五輪やW杯などの大イベントの、一般における注目度の高さは分かりますが、スポーツジャーナリストまで、そういう偏った見方を伝えてほしくありません。

4年間を通観したとき、今回の代表は、以前よりもアジアレベルで苦戦するようになり、公式大会の成績が落ち、W杯予戦も3位突破(今後も突破できるか、と考えると、予戦は予戦、とはいえません)、戦術的にも迷走。でも、W杯だけはそれなりの結果が出た、となります。これでは、たまたまめぐり合わせがよかっただけかもしれない。おそらく、どん底の状態になり、批判も強まったせいで、終戦後、本田が語ったように、選手たちに「なんとしても勝ってやる」という反発力が生じたことも好結果の要因でしょう。だからといって毎回W杯前にはどん底を経験するとよい、となるわけがない。また、あるいは逆に、強化を順調に進められる指導者だったら、もっといい結果が出たかもしれない。さらに、ずっと問題にしているように、世代交代は遅れ、代表の主力を経験した選手層も薄くなりました。こんな状況でも、一つの大会の結果だけで評価をしていたら、今後どのような経過をたどればより強くなれるのか、さっぱりわかりません。

以上、W杯での結果がよかった、という評価は第一の理由でできないだけでなく、W杯の結果だけで4年間の代表のプロジェクトの成否が論じられるのは正しくない、という意味でも、宇都宮さんおよび、それと同様の意見に賛同することができません。「タイトルをよく見ろ、南ア大会に限って評価しているんだ」と反論されるかもしれません。しかし、上記のとおり、4年間の一部だけを見た評価からは今後への指針を引き出すことが出来ません。どん底から復活したというだけで浮き足立たないで、冷静に評価をしてほしい、専門のジャーナリストにはとくに望みたいのです。

宇都宮さんは、「「3戦全敗した方が日本のため」などという理不尽な主張」をしていた人は、謝罪したほうがよいかも、ともおっしゃっています。私も、3敗とは言ってませんが、反省が促されるなら「ひどい目にあってきてもかまわない」と書いた(2/19の記事)のは間違いだったか、とも思ったこともありました。しかし、このように、W杯のみの結果論が幅を利かせ、その他ほとんどの時期の最悪の展開には目をつぶる、という結果を招いてしまうようなら、やっぱりW杯だけまあまあの結果なんか、出ないほうがよかったかもしれない、という気持ちを捨てきれないでいます。