しかし、下落するリスクは当然ある。
多少の値下がりは受け入れるとしても、大きな下落は困る。この場合、ロスカット(投資において一定の損失が出た段階で決済して損失を確定すること)が必要になることもある。
そこで、大幅な損が出た場合に値下がり前の株価で買ってくれる投資家を用意しておくことにした。
虫のいい話だが、保険料は払う。
小口にして転売する金融機関は、保険料と言うと投資家が買わないし債券の形を取るので、(割のいい)金利と言い換えている。
これは仕組債の一種で、EB債(他社株転換可能債)と言われるもの。
この債券を買っていいかどうかは、株式の知識がないと判断できないはずだが・・・。
昔話のこの話を金融に当てはめると、どうなるか?
ウサギは投資家でカメは貯蓄を好む人、そう考える人も多いでしょう。
しかし、私はウサギは投機家でカメは(堅実な)投資家だと思います。
投機家はうまくいっている時はウサギのように資産を増やしますが、うまくいかなくなると身動きが取れなくなってしまう。
これを投機家は「塩漬け」と言います。
一方、投資家は目先の値動きに左右されず、資産価値を増やすことを重視する。その結果、長期的には投機家より好成績を得る、というのが私の解釈です。
リスクが高いほど、うまくいった時のリターン(儲け)が大きいと思われています。
しかし、競馬などのギャンブルならその通りですが、株式投資には当てはまりません。投資にもルールはありますが、それは投資の仕方についてで、いくら儲かるかについては決まりはないのです。
逆に、私が大儲けした事例ではリスクは低かった。これは投資した時点でも今でもそう思います。
これは偶然ではありません。例えば200円まで下がった株が1100円まで上がったとします。その間、250円で買ったAさんと500円で買ったBさん。リスクが低いのはBさんの半値で買ったAさんですね。しかもAさんは4倍以上になる可能性がありますが、Bさんは最大でも2倍ほどしかならない。それどころか損して売る場合もあります。
Bさんが買った時は強気だったでしょうが、その後株価が下がったり悪いニュースが出たりして弱気に変わることもあります。すると株価の位置が安値の2.5倍で買い少し下がってもまだ安値の2倍程度なら、もっと下がる心配から損を確定させてしまうことも。
これに対し、Aさんは安値から25%高いだけの低い株価で買っているので、Bさんほど心配はしなくて済む。
一方、買った後に株価が上がった場合でも一直線に高値まで上がり続けることは稀です。上げ下げを繰り返すのが普通。買値の2倍以上で売る確率はBさんよりAさんの方が高いと思います。何故なら中途半端な株価で買ったBさんは損をする不安がAさんより大きいからです。ある程度上がったら早めに利益を確定したくなるでしょう。
つまりハイリターンはローリスクから生まれるのです。ただ、そんな株はいつもあるわけではなく、あったとしても見つけることは簡単ではありません。それでもそんな株に投資しようとする姿勢が投資成績をよくするのだと実感しています。
しかし違いを知ることは意味がある。
投機の「機」は機会、投資の「資」は辞書では資本のことだが資産の意味と考えている。ここでいう機会とは儲けのチャンスということ。
つまり投資とは資産価値に対して割安のものを買い、割高になれば売る行為で、投機は安く買って高く売って差額を儲けること。資産価値がいくらかは関係ない。
投資は長期で投機は短期という人がいる。しかしどれくらいなら長期なのかは、はっきりしない。それに長期のつもりででも差額を得るだけなら、やはり投機と考えられる。
投資がよくて投機が悪いと言う気はないが、値上がりすると思っても予想通りになるとは限らない。予想がはずれても割安な株価で買ったのであれば保有しているだけで高配当等メリットを得られるはずだ。そうでなければ割安とは言えない。
割高な株はもっと値上がりするような気にさせることも多い。しかし、割高な時に買うのは不利な取引でありトータルで利益を上げることは簡単ではないのだ。
投機でなく投資がいいと考える理由はここにある。
「何でIT関連の株は投資尺度を無視した高値で買われるんだ?」
「ITはニューエコノミーなんだよ。オールドエコノミーの投資尺度なんか通用するわけないよ。」
「ニューエコノミー?投資の仕方も違うのか?」
「だから、ニューエコノミーはオールドエコノミーとは別物なんだよ。わからない人だなぁ。そんなんじゃこれからの時代はやっていけないよ。ITはものすごい勢いで成長しているんだから今の業績なんか関係ないの。」
「そんなに成長しているのなら新規参入も多いだろ。」
「それでも成長するの。とにかく今はニューエコノミーじゃなきゃ儲からないよ。」
「たしかにIT一色の相場だな。時代遅れになるのもカッコ悪いしニューエコノミーとやらを買ってみるか。」
しかし、その後ITバブルは崩壊する。あの時
「王様は裸だ!」
とはっきり言えた投資家は何人いたか?
だから配当重視の投資家もこの時期にあわてて買う必要は無く、会社の今後の業績や株価が割安かどうかをじっくり調べてから買えばいい。
そこで注意したいのはなるべく自己資本(株主持分)比率が高く、有利子負債(借金)の少ない会社を選ぶこと。自己資本比率が低い会社ほど財務内容が悪く景気の回復が遅れるか、悪くなると経営不安が起きる確率が高くなる。借金が多いと景気が回復し金利が上がるにつれ利息の支払いも多くなり、業績を押し下げる原因になる。
一方で株価は企業業績が良くなることでも上がる。いわゆる業績相場。株価が一株当たりの会社の価値を表すのだから、こちらの方が正常な相場に思える。
しかし企業業績が良くなり景気が回復して、金利が上昇するとどうなるか?平均株価は最初は上がっても後には下がる傾向にある。ただ今の相場は金利が下がる過程で株価も下がっていたので景気がよくなり金利も上がる時に、平均株価も上昇を続ける可能性はある。
いい機会だと株を買おうとする。なるべく安心して買えそうな、会社の規模が大きく景気に左右されにくく、しかも配当利回りもいい株を選ぶ。しかしこういう株は金融相場で買われやすく、業績相場では売られやすい株なのだ。業績相場で平均株価が上がってもこの種の株は下がってしまう危険は大きい。ではどういう株がいいのか?それは次回。