親子の面会交流を実現する全国ネットワーク(OB)

親子が自由に交流出来るよう、面会交流権の拡大や共同親権・共同監護社会の実現を目指して活動しています。

●ハーグ条約関連ニュース

2011年06月03日 03時47分10秒 | Weblog
●社説:ハーグ条約加盟 子供の利益を前提に (毎日新聞 東京朝刊 2011.5.23)

http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/archive/news/20110523ddm004070020000c.html

 国際結婚が破綻した場合の子供の扱いを定めたハーグ条約に加盟する方針が閣議了解された。菅直人首相が26、27日に開かれる主要8カ国(G8)首脳会議で表明する。

 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」と呼ばれるもので、83年に発効した。欧米を中心に84カ国が加盟する。

 条約では、子供が居住国から連れ出された場合、一方の親が返還を申し立てれば、相手政府は子供の返還や面接交渉に協力する義務を負う。

 最近、欧米から加盟への働きかけが強まっていた。それは日本人の母が子供を連れ帰る例が多数に上るためだ。事例が多い米国とフランスとの間では、外務省が定期協議の場を作り、両国で130件の個別事例について話し合ったという。

 子供の連れ帰りが誘拐罪に問われ、指名手配されたケースもある。だが、難しいのは、子供を連れ帰った親の多くが、配偶者からの暴力(ドメスティックバイオレンス=DV)を訴えていることだ。その意味で、加盟は「自国民の保護」や「子供の利益」に反するとの懸念の声が出るのは理解できる。

 一方で、外国人配偶者によって子供を海外に連れて行かれた日本人は、加盟に解決の糸口を求めていた。

 条約には「子供が身体的・精神的苦痛にさらされる危険性が高い」場合は、返還しなくていいとの例外規定がある。その運用がポイントだ。

 外務省がハーグにある事務局などで調べたところ、世界各国で返還をめぐり訴訟になった約800件のうち、3割は例外規定を適用し「返還しなくてもいい」との結論だった。

 「母子が一緒に帰国すれば再び母親がDV被害を受ける恐れがあるが、母親から切り離されると子供がつらいケース」「帰国先で子供が十分な監護を受けられないケース」などである。各国の裁判所が比較的柔軟に判断しているようだ。

 条約に加盟した上で、世界共通のルールに基づいて解決を図るという道筋は、避けられないだろう。ただし、条約の枠内で、実情に合わせて自国民の保護を図るべきである。

 日本に連れ帰った子供の返還の適否は、法律に基づき日本の裁判所が判断する。政府は、配偶者へのDVや児童虐待が疑われるケースは、返還を拒否できる規定を法案に盛り込む方針とされる。妥当だろう。

 この問題の背景には、親権に対する考え方の違いもある。加盟国の多くは「共同親権」で、離婚後も子供は父母の間を頻繁に行き来する。一方、日本は「単独親権」で、離婚後は母親が親権を取る場合が多い。国際離婚が増える中で、どう「子供の利益」を図るかしっかり考えたい。




http://blogs.fco.gov.uk/roller/burn2/entry/%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%82%B0%E6%9D%A1%E7%B4%84_%E4%B8%80%E6%AD%A9%E5%89%8D%E9%80%B2

Tom Burn(トム・バーン)英国大使館広報部長

ハーグ条約:一歩前進
Posted by Tom Burn 2011 5月24日

今週、良いニュースがありそうです。日本の新聞は、管総理が、今週フランスで行われるG8サミットで、日本が、子供の奪取について定めるハーグ条約に加盟することを発表すると報じています。福山哲郎内閣官房副長官は、日本政府が同条約の発効に必要な法的手続きを推し進めることを確認しました。

何故、このことが重要なのでしょうか?

ハーグ条約とは、両親の一方が、もう片方の親の同意を得ずに、居住国から子供を連れ去る事件を取り扱うために国際的に使われる法的枠組みです。このような状況では、多くの場合、子供達のニーズが忘れられてしまいます。ハーグ条約の下では、 居住国の裁判所が、家庭が崩壊した状況下で見過ごされてしまいがちな子供の利益を保護する上で、極めて重要な役割を果たします。現在のところ、両親の一方が、もう片方の親の同意なしに子供を日本に連れ去った場合、子供がもう一方の親と二度と再会できない可能性があります。日本の国外に連れ去られた子供たちについても同じです。ハーグ条約に加盟していない日本の親は、自分の子供に面会する権利を保護するために、同条約を用いることができないのです。

今回の発表は、英国をはじめとする様々な日本のパートナー諸国が長きにわたりロビー活動を行った結果もたらされた前進であり、日本が国際的な最善の慣行に従うことによって、離婚や家庭崩壊により子供が親から永遠に引き離されることがないようにするためのものです。しかし、為すべきことがまだ残っており、私たちは、条約加盟に伴い整える必要のある国内法について、日本政府と引き続き連絡を取り合って行くつもりです。私達は、日本が条約の精神、文面共に組み込む努力をされると確信しております。このことは、条約が意図した通りに機能するために重要です。複雑で色々な感情に満ちたケースの多い家庭崩壊という状況下では、バランスの取れた公正な決定が行われることが必要不可欠です。その決定を行う最良の場所が居住国の裁判所なのです。

大使館の同僚達は、今後も、この問題について日本側との話し合いに参加いたします。また、ハーグ条約が遡及的に適用されないことから、英国人が関わる既存のケースの解決方法を探し出すよう日本側に求めてまいります。管総理が、今週、ハーグ条約加盟に伴う国内法整備について措置を講じることが広く期待されています。私たちは、このことを心から歓迎いたします。これは、公正でバランスの取れた、そして、何にもまして、巻き込まれた子供達の利益を中心に据える制度に向けて一歩前進することを意味するのです。


●日経:米国務省顧問「ハーグ条約、早期批准を」 日本などに呼びかけ米国務省顧問「ハーグ条約、早期批准を」 日本などに呼びかけ
2011/5/26 11:29

http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C9381959FE0E4E2E2868DE0E4E2E7E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;at=DGXZZO0195570008122009000000

http://oyakonet.org/documents/6263b3acc99d499be62b0eb984b666e4.pdf

【ワシントン=中山真】米国務省のジェイコブス児童問題担当特別顧問は25日、世界失踪児童の日にあたって電話で会見に応じた。国際結婚の破綻などで子どもが親元から引き離された事件は米国では昨年だけで2千件以上報告されるなど、急増傾向にあると説明。日本などを念頭に国際結婚の破綻時の夫婦間の子どもの扱いを定めたハーグ条約の早期批准の必要性を訴えた。

 ジェイコブス氏は国境を越えて子どもを引き離された親が被る影響について「外国の法的、文化的、言語的な壁に直面するだけでなく、長期的な金銭的な負担も強いられる」と指摘。国境を越えた子どもの連れ去りは重大な犯罪行為であり、解決した後も子どもや親に長期間にわたって被害を与えかねないと警告した。

 日本が加入を検討しているハーグ条約については「奪取された子どもを子どもの定住地に迅速に連れ戻すルールを定めたもので、多くの国が参加する必要がある」と強調。一方で「誤解されることが多いが、ハーグ条約は親権そのものを決めるものではなく、親権の決定をどの国ですべきかということを定めるものだ」と理解を求めた。


●愛媛新聞5月26日(木)社説:ハーグ条約加盟へ 家族観の隔たりどう埋める

http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017201105263257.html

社説:ハーグ条約加盟へ 家族観の隔たりどう埋める
国際結婚が破綻した夫婦のどちらかが不法に子どもを連れ去った場合、生活していた国にいったん戻すことを原則とする「ハーグ条約」に加盟する方針が閣議了解された。
菅直人首相はきょうからフランスで開かれる主要国(G8)首脳会議で加盟方針を表明。年内にも条約承認案と関係法案を国会に提出したい考えという。
ハーグ条約は「国際的な子の奪取の民事面に関する条約」が正式名称で、1983年に発効。子どもの迅速な返還や、離婚後の親子の面会交流の権利保護の手続き整備などを求めている。今年1月現在、84カ国が加盟。G8では日本とロシアが未加盟だ。
国際結婚、離婚の増加に伴い、日本人女性が子どもを国へ連れ帰ることを欧米諸国が問題視。日米関係の懸案事項ともなり、日本は条約の早期加盟を迫られていた。
加盟は国際協調の上でもやむを得ない。だが子どもにとって返還が望ましいかどうかを第一に考えねばならない。
日本が加盟に慎重だった背景には、ドメスティックバイオレンス(DV)で子どもを連れ帰ったと訴える例が多かったことがある。これを受け法案の柱として、子どもを国外に連れ出す理由が子どもや配偶者へのDVの場合、返還を拒否できることも盛り込まれる見込みだ。
しかしDVの立証や、児童虐待の解釈の違いが壁となる懸念は残る。DVをめぐり加盟をためらう声は根強い。
また話し合いで解決しなければ、裁判所が原則6週間以内に返還の可否を判断する。返還申請は年間約1300件に上り、裁判所が半数に関与しているのが実態だ。
このため家庭裁判所での調停、審判、訴訟による解決と迅速な処理が必要になる。子どもの意思を尊重する手続き上の地位や、代理人制度の整備も検討課題となろう。激しい親権争いとなる前に、外国で法的措置を十分に取れるような支援策も求められる。
何より子どもの連れ帰りがここまで国際問題化した背景には、欧米との親権制度の違いが挙げられる。
欧米では離婚後も両親双方が親権を持つ共同親権が一般的。日本は片方が親権を持つ単独親権制度を取り、母親が親権者となる場合が多い。離婚後の親子の交流の権利を保障する規定もない。
国内でも共同親権にするよう民法改正を求める声は高くなってきている。
だが法務省は子どもの奪い合いが一層激しくなる恐れがあるなどとして慎重姿勢だ。
現状では「子どもを母親から引き離すのはかわいそう」との感情論にとどまりかねない。家族観の隔たりをどう埋めるか、加盟後も問い続けねばならない。


●北海道新聞 社説 (2011.5.29)


http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/295619.html

ハーグ条約 国際離婚の子を守ろう(5月29日) 

国際結婚の増加に伴い、離婚後に子供の親権などをめぐる両親の間の争いも増えている。

 子供を勝手に連れ去ったとして、海外から日本政府に約200件の訴えが寄せられている。

 政府は、国際結婚が破綻した夫婦間の子供の扱いを定めたハーグ条約に加盟する方針を決めた。

 今後、加盟に必要な国内法の整備に取り掛かる。最優先に考えるべきは、子供の利益である。

 条約は、離婚した夫婦のどちらかが無断で16歳未満の子を海外に連れ出した際、子をいったん元の居住国に戻すまでの手続きを定めている。

 連れ出した親が住む国の政府は、もう一方の親の申し立てに応じ、返還に協力しなければならない。

 親権や面会権など子の養育に関する問題は、子が育った国で判断するのが望ましいとの考えに基づく。

 条約は1983年に発効した。現在、欧米を中心に84カ国が加盟しており、主要国(G8)で未加盟なのは日本とロシアだけだ。アメリカやフランスなどから早期加盟を求められてきた。

 条約に未加盟のままだと、子供連れで日本に帰った親が元の居住国に戻ったときに誘拐罪などで摘発される恐れもある。

 欧米など多くの国が離婚後も両親に親権を認めているのに対し、わが国では片方の親にしか親権を認めていない。親権に関する考え方の違いが、争いの背景にあるだろう。

 だが大人の都合で、子供が父母双方と自由に面会できない事態は解消すべきだ。加盟自体は妥当な判断ではないか。

 ただ、課題も残る。元夫の家庭内暴力から自分や子供を守るために、日本に帰国した女性が少なからずいることだ。わが国がこれまで条約に加盟しなかったのも、こうした邦人を保護するためという。

 条約では子供を返還しなくてもいいケースとして「子供の心身に重大な危険を及ぼす場合」と規定するが、何が重大な危険なのかまでは記していない。

 政府は国内法の骨子案に、返還の例外として、児童虐待の恐れがある場合を挙げた。当然のことである。法案にはそれを明確に盛り込んでもらいたい。

 親や子供本人が引き渡しに抵抗した場合なども想定して法案を策定してほしい。

 国際間だけではなく、日本人同士の離婚でも、親権を失った親が子供を連れ去ったり、面会を拒否されてトラブルに発展したりする例がある。条約加盟方針を機に、国内での親権のあり方なども考えたい。

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