とあるバーで。
借金してでも飲みたい酒があることを知った。あと数滴ほどボトルに残っているのを追加注文しようとしたら、それは予約が入っているので駄目だと言われた。何でも、東京からわざわざその数滴を嗅ぎに松本まで来る人がいるらしい。ほんとか知らん。閉店後マスターが自分で飲みたいだけなのではなかろうか。
空になったグラスを、未練がましく何度も鼻にあてる。
35年は、私と同じ歳である。ついでにマスターとも同じ年である。こんな芳しい歳の取り方を我々はしているだろうか、と彼に問うたら、首筋のあたりから、と彼が答えた。首筋のあたりから、おやじ臭がしてますよ、と。
冗談じゃない。35歳はこんなに若く、深みがあるのだ。こんなに素敵なのだ。よし、何だか元気が出てきた。マスター、お勘定。
借金してでも飲みたい酒があることを知った。あと数滴ほどボトルに残っているのを追加注文しようとしたら、それは予約が入っているので駄目だと言われた。何でも、東京からわざわざその数滴を嗅ぎに松本まで来る人がいるらしい。ほんとか知らん。閉店後マスターが自分で飲みたいだけなのではなかろうか。
空になったグラスを、未練がましく何度も鼻にあてる。
35年は、私と同じ歳である。ついでにマスターとも同じ年である。こんな芳しい歳の取り方を我々はしているだろうか、と彼に問うたら、首筋のあたりから、と彼が答えた。首筋のあたりから、おやじ臭がしてますよ、と。
冗談じゃない。35歳はこんなに若く、深みがあるのだ。こんなに素敵なのだ。よし、何だか元気が出てきた。マスター、お勘定。
「35歳はこんなに若く、深みがあるのだ」と心底思い続けていたいものです。
いやいや、35歳は若く、深みがあるのです。そのはずなのです。