都立高専交流委員会ブログ

都立高専と城南地域の中小企業(特に製造業)との交流・連係を図り、相互の利益と地域社会・地域経済の発展を目指します。

震災から復興へのメッセ-ジ② 「復旧」ではなく、未来を開く復興、国のかたちの新たな創造を!

2011年04月01日 | Weblog
 皆 様
 
 
 東日本大震災の被災地では、
 小中学校の授業(臨時授業)が行われるなど、
 日常生活正常化への歩みが、一歩、一歩、始められているようです。
 
 大震災から復興へ!
 高専交流の関係者には、すでに、メッセ-ジを差し上げておりますが
 
  http://blog.goo.ne.jp/ota-doyu-kosen/e/f5abfbe177bd5668fedd0ed4c3193928

 
 震災復興のビジョンについて、
 本格的な議論を始めるペき時期になっているように思います。
 
 震災から復興へ!
 私見ではございますが、
 改めて、メッセ-ジを述べさせていただきたいと思います。      ( 田 中 )
 
 
 
    未来を開く復興、国のかたちの新たな創造を!
 
 
 「未来を開く経済復興を」!
 
 3月30日の日本経済新聞の1面では、
 滝田洋一氏(編集委員/論説副委員長)が
 上記のタイトルのコラムを、次のように結んでいます。
 
 「経済危機と復興に向けた 先見性 と 構想力 が試されている。
  それは、日本そのものの再生に向けた試金石でもある。」
 
 (滝田洋一氏は、大田支部21研の講師をされた方でもあります。)
 
 
 3月25日の日本経済新聞「経済教室」欄では
 京大教授の 中西寛 氏が、「大震災と日本経済」について
 「『国のかたち』の新たな創造を」とし、次のように述べます。
 
 「復興とは災害前の状態に復帰することではなく
  新たな形でより強い日本を創造するもの」
 「(地域の)復興は、かなりのところ新たな町の創造を意味」し
 「日本全体の復興も、
  新たな条件のもとでの創造という意味合いを持たざるを得ない。」
 
 「国家や文明は戦争や天災によって滅びることはなく……
  挑戦への応用力の喪失の結果である。」
 
 
 震災復興を、
 『国のかたち』の新たに創造する改革に結びつけていくとは
 
 今回の震災を、
 21世紀のわが国のけん引する地域の創造へとと結びつけていくこと
 被災地を、
 未来創造型共生地域、未来創造型都市として再生していくことを意味するでしょう。
 
 この条件についての議論を喚起したのが
 都立高専交流委員会のブログなどで紹介させていただいた
 冷泉彰彦 氏の『from 911/USAレポート』でした。
  http://ryumurakami.jmm.co.jp/dynamic/report/report3_2328.html

 
 ここで示されているのは、
 
 震災20周年に何を実現するのかを明確にし、ここから逆算した投資
 首都一極集中の画一システムからの脱却、地域分散と生産性向上の両立
 組織、システム、その担い手としての人間のハイブリット(多能力)化
 
 首都機能の分散と(被災地域への)移転
 東大等の首都の知的拠点の分散、移転、地域独自の知的産業拠点の創造
 情報インフラの分散自立、首都に依存しない地域間ネットワ-クの確立
 自然と先端技術、先進と伝統やコミュニティ-を結ぶ、
 三重言語社会(日本語、英語+アジアの一カ国語)
 温室効果カスの削減は、一切先送りせず、自然エネルギ-の導入など
 東北を世界で最も先進的なエネルギ-多角生産のモデル地区に
 などなどです。
 
 
 
    復 興 の ビ ジ ョ ン の 具 体 化 を
 
 
 電力(エルルギ-供給)システムについては
 富士通総研の 高橋洋 氏が、今回の震災、非「計画停電」の教訓から
 「中央管理・閉鎖型」の電力システムから、
 自然エネルギ-を大胆に取り入れる
 「自律分散・開放型」の電力システムへの転換を提案しています。
   http://jp.fujitsu.com/group/fri/column/opinion/201103/2011-3-7.html

 
 「電力網を分散的に制御することは口で言うほど易しくはない。…… 
  しかしそこにこそ、非連続の発想が要求される、今回の危機の本質がある。……
  これまでの常識を疑ってかかり、全く新たな発想をすべきである。」
 というものです。
 
 
 原子力発電についての
 理論の研究者、装置の設計者、装置製造の施行者、発電事業者、環境評価の専門家、等々
 課題評価能力、課題解決能力をもった広範な人々、与野党の政策責任者を結集し、
 さらに、環境・エネルギ-政策全体に接続するものとして
 
 これからの 原子力発電所 や 放射性廃棄物 をどのように管理し、
 わが国の原子力政策の将来や出口をどうつくっていくのか
 ここに結びつく、環境エネルギ-戦略のあり方を研究し、
 情報公開と開かれた議論の場を生み出し
 政策の基準づくりと、その実施に包括的な責任を負う
 新システムを生み出していくことは、火急の課題となるでしょう。
 
 それは、
 次世代の環境エネルギ-政策やテクノロジ-の担い手を育成する場であり
 次世代の環境エネルギ-技術を創成する場にもなるでしょう。
 
 こうした拠点が設置されるのも、今回の被災地でなければなりません。
 
 
 右肩上がり(画一化されたものを大量生産することが基調だった)の時代の
 (右であれ、左であれ)画一的な人間を生み出す教育システムを
 自ら変革しようとしなければ、
 私たちは、破局へ向けて進む以外ありません(破局しなければ止まらないシステム)。
 
 科学的評価や判断をする能力を自主的に深めていく人材育成システムも
 「復興特区」の基盤となるものでしょう。
 
 次世代の第一次産業ビジョンが、
 この地域の再生に欠かせないことは、言うまでもありません。
 
 東大教授の藤本隆宏氏は、
 「被災地の復旧現場、生活現場(コミュニティ)、生産現場等の
  秩序、互助、対策、実行の水準の高さと
  対照的な一部企業や政府の中枢のもたつき。
  日本の『強い現場/弱い本部』症候群が、全世界により再認識された」
 
 「気力の萎えた本社」を救済、支援してはならず
 「かくして、国内によい現場を残すことは、
  もはや国家の経済安全保障上の重要事項」となっているとし
  (3月29日日本経済新聞「経済教室」欄)
 
 農業についても、
 「経営力の弱い農協に『技術者的農民』が従うパタ-ンの大規模営農」ではなく
 市場創造から逆算した「よい圃場、よい作付」を設計し
 「『強い農業現場づくり』を、政府や産業界が全力で支援する意識表明」により
 「開国か攘夷か」の「不毛な論争」を断て、としています。
 
 
 
     「復旧」を廃し、分権型社会形成の新モデルを!
 
 
 中西寛氏は、前述の論考で
 「今回の災害では、東京が復活して地方を救うのではなく
  地方が復活して東京が救われることになる。」 と
 明示されています。
 
 人材、エネルギ-等の地方の資源を中央が吸収し、
 中央にすべてを集中させることにより、
 中央から地方へ分配するシステムを 効率性の追及 と理解し
 これを復活させようとする試み(復旧)の中からは
 今回の復興ビジョンの意味するところを理解することはできないでしょう。
 
 21世紀のわが国の国力の根幹を担う機能を
 被災地域の立ち上がりにうまく結びつけて、地方に生み出し、移転していくこと
 
 独立した地域間の連携ネットワ-ク、
 更に、国境を超えた地域間競争、地域間連携のネットワ-クのなかに
 21世紀の わが国の価値観 を確立していく歩みこそ問われています。
 
 今日、世界の人々を結びつけるインタ-ネットが、
 米国の安全保障と危機管理のニ-ズから生まれ
 社会へ広まっていったこと忘れてはなりません。
 
 右肩上がりの時代の終わりで露呈した「依存と分配」の「弱い日本」から
 自立、自尊、自主的連携 の「強い日本」へ
 今回の国家的有事を、私たちの独自の歩みの機会としなくてはなりません。
 
 
 
    草の根改革の意志を結集し、日本再生を!
 
 
 「御前会議はいらない」(重役会議による上意下達の指示はしない)
 
 トヨタは、震災後、即時に、各部門の対策チ-ムを設置、
 被災した取引先を支援し、寸断したサプライチェ-ンを回復して
 生産を再開していく取り組みの中で厳命したことは
 このことであったと言います。
  http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819696E0EAE2E5918DE0EAE2E1E0E2E3E39793E0E2E2E2

 
 今、私たちに問われているのは
 「組織的なうつ状態にみえる一部大企業の本社や経営者」(藤本隆宏氏)
 「引きこもりのリ-ダ-」の頭を飛び越え、
 当事者意識をもって、現状に立ち向かう人々を結びつけることでしょう。
  
 (政権の中でも
  危機の瞬間に、国民に対して、政府の活動について説明責任をはたす
  意志や能力があるのかについて、リ-ダ-達の検証が進んでいるように思います。)
 
 「気力の衰えた本社に減税」をすることではなく(藤本隆宏氏)
 極限状態で闘う人々、難局に立ち向かう人々と
 わが国の21世紀型ビジョンを結びつけることでしょう。
 
 
 
     知識社会に立脚する政策ビジョン の 基盤整備 を!
 
 
 さて、被災地では、
 危機管理から復興に至る 最初のサイクル を、
 どのように完結させていくのかが、見え始めていますが、
  
 福島原発では、二次災害を確実に封じ込めていく体制が見えていません。
 
 福島原発の現場で起きているのは
 非常用電源を含むすべての電源を失うとともに
 地震と津波、水素爆発などにより、施設の全体が損傷し、
 少なくない機器が、流失、浸水する
 これまでの原発事故になかった未曽有の事態です。
 
 燃料棒の破損、溶融という事態の進行により、
 電源や制御機能の現状復旧の取り組みと並行して
 圧力容器、格納容器を含む施設全体の破損が進み、
 施設全体の状況を正しく把握できない中
 放射能汚染の深刻化により、作業者の作業環境が悪化していく
 大変、困難な状況です。
 
  http://www.isep.or.jp/images/press/script110320.pdf

 
 
 人口密集地域で起きたという点で
 また、かつて経験したことがない程、広範 かつ 大規模 に
 原発施設が破損したことによって
 
 この災害からの脱却プロセスは長期にわたるものとなり
 私たちは、国家の有事に結びつく災害
 長期に及ぶ放射能汚染にさらされる環境に向かい合いながら
 粘り強く学び
 これからのわが国の政策ビジョンの課題について、
 考える機会を与えられることになったようです。
 
 原発安全神話が崩壊するとともに、
 その神話が、何を隠していたかについても明確になりつつあります。
 (行政機構や東電本社の思考停止、新政権の環境エネルギ-政策の迷走 などなど)
 
 ここから私たちが学ぶものは
 科学的知見に基づいて、国の政策ビジョンを策定し
 科学的知見に基づいてリスクを評価、管理し
 科学的知見に基づいて政府の政策執行を評価することの重要性でしょう。
 
 政治の分野で導入され始めた
 マニフェスト の PDCAサイクル を確立するために要求されることは
 政党組織 や 政党と有権者の関係 が、
 政策ビジョンによって、実際に規律化されることですが
 
 そこには、
 これらの政策ビジョンの前提として
 一定の科学的知見が有権者の間で共有されることが含まれるでしょう。
 
 
 
    難局に立ち向かい、より未来志向型のアプロ-チを!
 
 
 都立高専交流委員会のブログには、
 震災10日後の時点の、下記のメッセ-ジを書かせていただきました。
 
 1.極限の環境で闘い続ける人々に思いをよせて
 2.難局に立ち向かい、震災復興の将来ビジョンの形成を
 3.世界がわが国を見つめている
 4.原発事故におけるリスクの範囲 と 3・11後のエネルギ-ビジョン
 5.社会生活正常化へ、強い意志を! 
 
  http://blog.goo.ne.jp/ota-doyu-kosen/e/f5abfbe177bd5668fedd0ed4c3193928

 
 基本は変わりませんが、
 より、未来志向型の議論をしていくべき時期になっていると思います。
 
 
 震災でお亡くなりになった方のご冥福を祈り
 極限的な環境で闘っていらっしゃる方々に思いを寄せ、
 
 国民の心を一つに、難局に立ち向かおう!
 自立、自尊、連帯の精神で
 
 
 今後とも、宜しくお願い申し上げます。
 
 
 
グロ-バルコミッション 田中基茂
東京都大田区山王 4-19-6 4F
TEL 5746-3041 FAX 5746-3081
gc-t@ac.auone-net.jp