![]() |
「なかなか桜が咲かないなあ」 |
![]() |
「今年は遅いですね」 |
![]() |
「去年の今頃は、花見を楽しんでいたよなあ」
|
![]() |
「今年は、異常気象なんでしょうか?」 |
![]() |
「いや、そういうわけでもなかろう」 |
![]() |
「つぼみは、ふくらんでいるからな」 |
![]() |
「ほら、見ろ」 |
![]() |
「あんなに、ふくらんでいる」 |
![]() |
「だが、なぜか、まだ咲かない……」 |
![]() |
「あと何日か、かかるだろうな」 |
![]() |
「早く咲かないかなあ……」 |
![]() |
その時 ―― 小さな赤い花が、おかか先生に話しかけた。 |
![]() |
「おかか先生、おかか先生」 |
![]() |
「私は、もう咲いていますよ」 |
![]() |
白い花も、喋り始めた。 「そうですよ、おかか先生」 |
![]() |
「私だって、だいぶ前から咲いています」 |
![]() |
「桜だけが花じゃないんですよ、おかか先生」 「そ、そうだな! お前の言う通りだ」 |
![]() |
「私たちのことも、忘れないで下さいね」 「すまん。悪かった。お前たちも、とっても美しいよ」 |
![]() |
「てへへっ。私としたことが。桜のことばかり考えていたよ」 |
![]() |
「ねえ、おかか先生」 |
![]() |
「ん? 何だい?」 |
![]() |
「先生は、花とハナせるんですね」 |
![]() |
「ふふふ。だじゃれの才能が開花したな」 |
![]() |