……誰のため？

 

 

	ぬくぬく　ほこほこ
	「先生、そろそろ起きないと」 「ん～、あと五分……」
	「ほら起きなきゃ。約束があるんでしょ？」 「ん～」
	「寒いから、起きたくない……」
	「起きないと、遅刻しますよ！」 「ん～」
	「う～ん……」
	「起きるか……」
	「よっ」
	「……さ、寒っ！」
	「やっぱり起きたくない」
	「……しょうがないなあ」
	「えいっ」 おむさんは、先生に飛びかかって、
	無理矢理、毛布を奪い取った。
	「何をするっ！？　寒いじゃないか～っ」
	「先生のためを思って、毛布を取ったんですよっ」
	「先生が起きられるよう、心を鬼にしたんです！」
	「そ、そうか。そうだな……」
	「すまん」
	「起こしてくれて、どうもありがとう」
	「じゃ、行ってくるよ。おかげで遅刻せずに済みそうだ」
	「行ってらっしゃ～い」 ぬくぬく　ほこほこ
	「……」
	「どうしました？　早く行かないと」
	「何か違う気がするんだが……」 「早く行きなさいってば！」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光の子

 

 

	冷たい雨の次の日です
	明るく晴れました
	ぽかぽかと暖かいのです
	濡れていた背中もすっかり乾きました
	ふわふわの背中はお日さまの香りがします
	お日さまとは大の仲良しです
	光と融け合います
	きっと光の子です
	光から生まれたのでしょう
	そしていつか ―― 光に還るのでしょう