熱~い座布団

2009年11月03日 16時13分00秒 | B地点 おかか

 

 

オムイ外伝シリーズ 第三部(武芸帳篇) 第42話



武州、三田領、澤井村 ―― 。
江戸から甲州へと向かう街道筋の、この小さな村に、一軒の造り酒屋があった。
これが、造り酒屋の女あるじ。
早くに亭主を亡くし、以後、女手一つで、酒屋を切り盛りしてきた。
いま、一日の労働を終えて、ほっと一息ついたところである。
そこへ通りかかったのが、公儀の隠密。
抜け忍オムイ探索の旅を続ける、追忍である。
「もし、旅のお方」
「……む?」
「この先は、峠を越えるまで、休む処がありません」
「ここで御休憩なさいまし。お座布団を敷きました」
「そうかい、すまんね」
「甘えさせて貰うよ」

「さあどうぞ」
「よっこいしょ」

ちょこん
「……ん? なんだか硬い座布団だな」
「……くッくッく」
「まだ気付かんのか!」
「うッ!? き、貴様、オムイ!」
「いかにも!」
「しまッたーッ」
「その座布団には、時限爆弾が仕込んであるのだ!」
「な、何ッ!?」

チッチッチッ
カチッ
ちゅどか~ん

「ぐはあーーーーッ」
ガクッ