釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

大国の平均寿命

2021-03-18 19:10:46 | 社会
厚生労働省は毎年7月30日に、「簡易生命表」を発表している。1年間の死亡状況が今後変化しないと仮定したときに、各年齢の者が1年以内に死亡する確率や、平均してあと何年生られるかという期待値を表す。この表で、0歳児が後何年生きられるかが、いわゆる平均寿命として公表される。昨年7月30日に発表された2019年の日本人の男性の平均寿命(0歳児の平均余命)は、香港(82.34歳)、スイス(81.70歳)に続いて第3位の81.41歳で、女性は香港(88.13歳)に続いて第2位の87.45歳である。50年前の1970年には女性は74.66歳、男性は69.31歳で、1984年に女性が80.18歳となり、初めて80歳を超えた。この時男性は74.54歳である。男性が80歳を超えたのは2013年で80.21歳、この時女性は86.61歳であった。国立社会保障・人口問題研究所による直近の「日本の将来推計人口」は2017年のものになるが、それによると、2053年に人口が1億人を切ることになるが、2045年には女性の平均寿命はついに90歳を超え、90.03歳となる。男性は83.66歳である。男性が70歳を超えたのが1971年の70.17歳で、それから10歳延びるのに42年を要している。女性が80歳から10歳延びるのには61年を要すると推計されている。日本はこれまで医療に比較的容易にアクセス出来たことが、妊婦や小児を守り、労働年齢から高齢までをも守って来たと言えるだろう。環境の清潔さも大いに貢献したと考えられるが、今ではそれがむしろ過剰となってしまった感すらある。長寿の一方で、有病者も顕著に増加し、癌による死亡も絶対数では増え続けている。ただ長寿になり、高齢者人口が多くなれば、有病者や癌死亡が増えるのは当然でもある。1963年の癌死亡者は10万人であったが、現在では40万人に迫りつつある。しかし、これを年齢構成を考慮した年齢調整死亡率で見ると、何と1990年代後半をピークに以後死亡率は減少し続け、1960年頃よりもむしろ少なくなっている。米国は男女別ではないが、平均寿命は2014年をピークに下がり続けている。2014年は78.84歳である。先月、米国疾病対策センターCDCが発表した昨年1~6月の米国民全体の平均寿命は77.8歳であった。アフリカ系だけだと72歳である。米国では25歳から64歳までの「生産年齢人口」が、より高い割合で死亡している。そして、薬物の過剰摂取、自殺、アルコール関連疾患が関係しており、社会経済的な不平等と経済的困難がアメリカ人の死の増加の原因となっている可能性が指摘されている。米国はまた銃社会でもあり、昨年はコロナ禍の不安で、銃が過去最高の売れ行きとなっている。今日の英国BBCは、昨日ジョージア州アトランタ周辺の3箇所の店で、21歳の若者の銃撃で韓国系など8人が死亡したことを報じている。この若者はFaceBookに「中国がコロナ隠蔽に関与し、私たちが真実を正すために試みた武漢研究所に対する調査を邪魔した。中国は武漢ウイルスを作り、これを使って50万人の米国人を殺害した。共和党にしろ民主党にしろ、私たちの時代の最高悪人中国に相対して戦わなければならない」と書き込んでいたいたようだ。米国では昨年3月19日から先月28日まで3795件余りのヘイトクライム(憎悪犯罪)が届けられており、被害は中国系が42.2%、韓国系は14.8%を占めている。ヒスパニック系の人までが、アジア系と間違われて被害に遭っているようだ。米国は世界でも突出して貧富の格差が拡大しており、それがまた銃による悲劇や薬物による悲劇を助長している。自由と民主主義の国家で平均寿命の低下と言う事態を招いている。世界第2の経済大国となった中国は、昨年11月のフランスAFPによれば、平均寿命が2015年の76.3歳から2019年の77.3歳に延びたようだ。米国との差が0.5歳まで縮まったと言うことだ。コロナ禍が続いた2020年の結果が出れば、逆転している可能性もあるだろう。

急増する債務

2021-03-17 19:11:30 | 経済
第2次世界大戦後、世界最高の豊かな国となった米国は、世界恐慌は伝統的な自由放任主義に内在する市場の失敗であるとの見方から、英国の経済学者ケインズの考えを入れ、社会保障の拡充、公共事業による景気の調整、主要産業の国有化などを推進し、国家が経済に積極的に介入すべきであるとされた。いわゆる大きな政府である。しかし、1970年代頃までには、敗戦国の日本やドイツで経済発展が急速に進み、米国の製造業は競争力を失って行った。第一次、第二次大戦で巨額の戦費を費やして、戦後、大きな政府債務を抱えていた英国は、「英国病」と言う慢性的な不況が続いていた。まさに長期の低金利で英国政府の債務を軽減させていた。米英ともに要因は異なっていても、失業や不況は変わらず、こうした行き詰まりの状況を生み出した原因が、国家による経済への恣意的な介入と政府部門の肥大化にあるという主張が現れた。いわゆる新自由主義と言われるものだ。英国はマーガレット・サッチャーにより、ロナルド ・レーガンにより、民営化、規制緩和、減税、社会保障制度の見直し、金融ビッグバンなどを実施し、グローバル資本主義を推進した。高度経済成長を達成し、絶頂期にあった日本まで、米国に従属し、規制緩和や民営化の道に入り込んで行く。世界は大きな政府から小さな政府へと転換されて行った。しかし、製造業が競争力を無くした米国は、何としても経済的にも覇権を維持させざるを得ず、金融経済に大きく舵を切った。金融経済とは博打である。マネーゲームである。本来の企業の成長力とは無関係に株価が上下するゲームである。マネーがマネーを生み出すマシーンである。そして、米国が始めた金融経済はその後、何度も金融危機を繰り返すことになった。日本はバブル崩壊後のただ1度の金融危機で、日本経済を破壊してしまい、その上、新自由主義などと言う経済を破壊する「理論」によって、「失われた30年」に入り、政府債務と日本銀行資産を増大させて来た。日本も米国も金融危機により、大きな政府から小さな政府に転換したはずにもかかわらず、ともに政府債務を積み上げてしまった。こうした状況の中で、昨年からのコロナ禍である。米国では今月12日、新型コロナのための1.9兆ドル(200兆円)の追加経済対策を盛り込んだ法律が12日に連邦議会で成立した。これまでのコロナ対策費を合わせると5兆8000億ドル(約640兆円)にもなる。日本でも第3次補正予算を含めた2020年度の一般会計総額は175兆6878億円にもなり、2021年度予算は106兆円と言う過去最高の予算となった。しかも、これにはコロナ禍が継続した際の補正予算は含まれない。国際金融システムの安定維持を目的に設立された70カ国以上の金融機関による米国ワシントンの国際金融協会IIFは、先月、世界の総債務は2020年末に記録的な281兆ドルに達したと発表した。世界のGDPの355%以上になる。世界の政府、企業、家計は昨年、パンデミックの経済的犠牲を相殺するために24兆ドルを債務として積み増した。世界の企業、銀行、家計はそれぞれ5.4兆ドル、3.9兆ドル、2.6兆ドルを追加した。ワクチンが導入されたとしても、中央銀行の低い政策金利は、パンデミック前のレベルを超えて国債発行を維持しており、 IIFの推定によると、政治的および社会的圧力により支出を抑えることが難しく、政府債務負担は2021年末までに92兆ドルを超えると見られている。IIFは「「政治的および社会的圧力は、赤字と債務を削減するための政府の努力を制限し、将来の危機に対処する政府の能力を危険にさらす可能性がある。」と報告している。神戸市は人口150万人の都市だ。その神戸市はホームページで「神戸市内の変異株の確認状況」を公表している。それによれば検査数に占める英国型(N501Y)の変異株の割合は1月1〜28日で0%、1月29日〜2月4日で4.6%、2月5日〜11日で10.5%、2月12日〜18日で15.2%、2月19日〜25日で21.9%、2月26日〜3月4日で38.8%となっている。人数では合計で64人である。この他にワクチンや抗体が効きにくいE484K変異株が10人である。いずれにしろ、日を追って、変異株が確実に増えていることが分かる。英国型(N501Y)は感染力が強い。無策の日本では間違いなく、今後、これらの変異株が主体となって第4波が襲来するだろう。そして、さらに政府支出が追加され、政府債務は無尽蔵であるかのように増え続けるだろう。それがいつまで持つか分からないが。

科学的な対策を

2021-03-16 19:15:59 | 科学
自然現象を科学するための必須の条件は、得られたデータをオープンであることだ。データを様々な視点から解釈することで、新たな発見が生まれる。エボラ出血熱、エンテロウイルスD68型(EV-D68)感染症など、あまり知られていない集団感染に関連するウイルスや細菌の進化を追跡するオープンソースアプリケーションのNextstrainプロジェクトがあり、その中心が2008年に設立された世界的なゲノムデータ共有プラットフォーム「GISAID」である。そして、新型コロナウイルスのゲノム解析でトップを入るのが英国のCOVID-19ゲノム・コンソーシアム(COG-UK)である。このコンソーシアムの立ち上げが提案されたのは、英国内の感染者がわずか82人であった昨年3月4日である。最初の提案者はケンブリッジ大学の女性微生物学者シャロン・ピーコックSharon Peacock教授である。2014年に西アフリカでエボラ出血熱が大流行した時、現地での研究でパンデミックにおけるゲノム解析の重要性を理解した。しかし、コロナウイルスの変異は平均2週間に1度で、1週間に1度変異するインフルエンザウイルスに比べても遅く、新型コロナウイルスには塩基の写し間違えを見つけて正しく置き換える校正機能が備わっているためゲノム解析で変異を追跡しても大きな成果は期待出来ないと言う意見もあった。それでも、教授には、エボラや他の感染症のゲノム解析で、それが感染症を制御する上で重要な武器になることが分かっていた。今では新型コロナウイルスのゲノム解析では、英国は世界の45%近くを占めている。英国はしかし、欧州最大の感染者を出し、第1波で大量のPCR検査で拡大を抑えたドイツを見て、以後、PCR検査も急拡大させた。1日の検査件数は人口1千人当たり9.75件で、今ではドイツ1.9件をはるかに超えている。米国は3.12件で、日本はただの0.45件でしかない。COG-UKは解析したゲノムを2週間以内に世界と共有し、変異株を検出して追跡するノウハウを26カ国にアドバイスしている。英国は第2波が収束しないまま第3波に入り、1月8日の6万8053人をピークに昨日は1日の新規感染者が5089人まで減少して来ている。英国はEU欧州連合から離脱したとは言え、フンランスとの間のドーバー海峡の海底トンネルで交通が保たれており、欧州との間での人の移動がなかなか遮断出来ない面もある。今月12日にはブラジルで世界的に大混乱をもたらす可能性のある新しい危険な第2世代の変異株が発見されたと科学技術省の国立科学計算研究所(LNCC)が発表している。ブラジルの5つの州の39の自治体で実施された詳細な研究による。これまでのブラジルの変異体よりもさらに危険で、より感染性が高く、より致命的であり、免疫応答を回避し、ワクチンも効力を失うと言う。この第2世代のバリアントは、4つの系統定義変異(NSP3:A1711V、NSP6:F36L、S:E484K、およびNS7b:E33A)を示し、従来のブラジル変異株P.1とは異なる系統N.9として指定された。日本には優秀な微生物学者も最先端のウイルス検査機器も大学や研究所には揃っている。しかし、それらの資源が全く活用されておらず、利権にのみしがみ付く感染症グループや厚生労働省医務技官の科学を無視した対策にならない対策だけが打ち出されて来た。現在、日本や東京都の実行再生産数は既に1を超えており、「緊急事態宣言」などとは言えない「宣言」が何の役にも立っていないことを表している。政府も分化会もこれまでほとんど対策らしい対策を全く行なって来なかった。日本の全ての検査機器を利用すれば、1日50万件はPCR 検査が可能だし、ゲノム解析も1週間で何十万単位で出来るはずである。そのための予算も「GO TO」キャンペーンなどから削れば十分捻出可能である。際限のない不作為で国民が疲れるだけである。3密を避け、マスク着用を訴えるなどは政府の「対策」でも何でもない。これまでの日本政府の「対策」は、自粛をただ訴えるだけである。

変異だけでなく組み替えも

2021-03-15 19:11:35 | 科学
この冬は釜石でも例年になく気温が低く、雪もよく降ったが、東京では昨年に続いて、観測史上最速の桜の開花を迎えている。釜石の開花は例年、岩手県では一番早いが、それでも4月半ばになる。遠野が一番遅く、4月後半になる。新型コロナウイルスに追われて、1年があっと言う間に過ぎてしまった。これからまた気温が上がって行き、花たちがたくさん咲いてくれる。咲いた花を見るのに、密集地へ行く必要はないので、楽しみだ。 昨年7月1日に、米国のScience Advancesと言う科学雑誌に、米国のロスアラモス研究所Los Alamos National Laboratoryやブリティッシュ・コロンビア大学University of British Columbia の研究者たちによる「Emergence of SARS-CoV-2 through recombination and strong purifying selection(組換えと強力な浄化選択によるSARS-CoV-2の出現)」と題する論文が掲載された。研究者たちは昨年から米国内でウイルスのゲノムデータを大量に収集して詳細な分析を進めていた。その結果、新型コロナウイルスは、コウモリ由来のものとセンザンコウ由来のものが「組み替え」によりいわば合体したものになっていることが分かったと言うのだ。組み替えは自然界ではごく自然に行われている。雌雄の親から生まれた子は、それぞれの親の遺伝子の一部を引き継ぐ。それが遺伝子の組み替えである。RNAウイルスである新型コロナウイルスでも、コウモリに適応したコロナウイルスとセンザンコウに適応したウイルスがそれぞれ特有の変異を起こしていた。その両者がどこかで人か他の生物の体内で同じ時に感染し、その体内で両者が組み替えを行い、第3の新たなタイプのウイルスが生まれた。メディアでは「変異」だけが報じられているが、実は、現在世界中で感染を広げている新型コロナウイルスでは、単独の変異と二種での組み替えの両方が起きている。先月、米国ニューメキシコ州のロスアラモス国立研究所のBette Korber博士は、ニューヨーク科学アカデミーが主催した会議に出席し、英国で発見された伝染性の高いB.1.1.7変異体とカリフォルニアで発生した抗体に対する耐性を与えることが出来るB.1.429変異体の組換えによる新たなハイブリッドウイルスがロサンジェルスで広がっていることを発表している。このような組換えは、コロナウイルスで一般的に発生する。これは、感染した宿主細胞に2つの異なるコロナウイルスゲノム、または別のウイルスゲノムが含まれている場合、各ゲノムの異なる要素を組み合わせて「スーパー」ハイブリッドウイルスが作成される。博士は、人々が一度に2つの異なる変異体に感染する可能性があるため、新しいコロナウイルスの複数の変異体の最近の出現が組換えの原料を作り出した可能性があると警告している。博士は「This kind of event could allow the SARS-CoV-2 virus to have coupled a more infectious virus with a more resistant virus. The emerging strains could be far more disastrous and difficult to manage(この種のイベントにより、SARS-CoV-2ウイルスがより感染性の高いウイルスとより耐性のあるウイルスを結合させる可能性があります。 新たな菌株は、はるかに悲惨で管理が難しい可能性があります)」と警告している。現在、世界中でこの新型コロナウイルスに対するワクチンが接種されているが、新型コロナウイルスに感染して重症になるのは、65歳以上の人であることが多く、糖尿病、肥満、心血管系の問題、癌などの基礎疾患を持つ人でもあるが、ワクチンの副反応を考慮して、ドイツやフランスなどの特定の国では、65歳以上の高齢者にはワクチンが許可されていない。また、ワクチンは、アレルギー、自己免疫疾患、その他の病状のある人には推奨されていない。ワクチンは本来、こうした脆弱な因子を持った人のためのはずである。日本では他の先進国と比べても異常なほどPCR検査も少なく、変異株の検査でもさらに限定的である。これでは新型コロナウイルス関連の論文が書けないのも無理はないだろう。何より、新型コロナウイルスがどこまで市中感染を広げているのか全く分からないのが日本の感染状態だ。5割以上いるとも言われる無症状感染者を一貫して無視している。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師は、スイスの製薬会社ロシュなどのmultiple targets 用のキットを使えば、変異株と陽性の判定を全検体を一回でやれると言う。「GO TO」キャンペーンの追加予算に1兆円も注ぎ込むくらいなら、余程、こちらに注ぎ込む方が、終息につながると思うが。
八重咲きの梅

人為的な原発事故

2021-03-13 19:15:00 | 社会
旧ソ連のウクライナ共和国のチェルノブイリ原発では、1986年に4つの原子炉が運転中で、2つの原子炉が建設中であった。1983年から営業運転されていた4号炉は、4月25日、点検修理のため,運転開始以来はじめての原子炉停止作業に入った。作業は翌日まで続き、その過程でいくつかの作業ミスが重なり、原子炉は停止ではなく、暴走し始め、核分裂を抑える制御棒駆動のための電源も喪失しており、4月26日1時24分に4号炉は大爆発を起こした。ウクライナだけでなく、ベラルーシ、ロシアでも放射性物質で汚染された。4月末までにはヨーロッパ各地で、5月上旬にかけては、日本を含む北半球のほぼ全域で放射性物質が観測された。チェルノブイリ原発の原子炉は原爆用プルトニウム製造のために開発された原子炉を雛形としており、原子炉設計の構造的欠陥もあったと言う。事故直後に消防士6人と原発職員24人が亡くなった。チェルノブイリ原発はウクライナ共和国にはあったが、共和国の北端にあり、むしろ原子炉爆発の被害は、ウクライナ共和国の北に隣接するベラルーシ共和国の方が大きかった。ベラルーシの15歳未満の甲状腺癌は、事故前11年間(1975~1985)ではわずか7名であったが、事故後の11年間(1986~1996)では508名と、事故前に比べ72倍にも達している。成人を含む15歳以上では同じく事故前11年間の1342人から事故後の11年間の4006名と約3倍になった。日本では、原子力発電が商業用として初めて運転開始したのが1966年7月の東海発電所で、福島県大熊町に東京電力福島第一原発1号基が営業運転開始したのが1971年3月である。2011年の東日本大震災前には54基の原子炉が全国で運転されていた。地震大国である日本に原発の耐震指針が策定されたのは1978年である。しかも、それ以前に建設された原発には適用されず、その後も最新の科学的知見に基づいた改訂も定期的に行われなかった。1995年に阪神大震災が発生した時でさえ、耐震指針を改定しようとはされなかった。地震研究者の神戸大学石橋克彦名誉教授は、1997年には、岩波書店の『科学』10月号で、「原発震災-破滅を避けるために」を書き、2005年2月23日には、衆議院予算委員会公聴会で、「「迫り来る大地震活動期は未曾有の国難-技術的防災から国土政策・社会経済システムの根本的変革へ-」を訴え、地震や津波からの災害を回避するための原発の防災の必要性を説いた。2007年新潟県中越沖地震による柏崎刈羽原発の被災の後には、「日本の海岸線を縁取る原発の地震被害が日常的風景になるといってもよい」とまで述べている。2006年9月には初めて原発耐震指針が改定されたが、「電力会社と保安院は一体となって原子力安全委員会に「圧力」をかけ、運用を骨抜きにした」。東京電力は大津波の可能性を知りながら、対策を怠った。2011年3月11日に、福島第一原発事故が起きても、「想定外だった」と言い張った。2007年7月16日、新潟県中越沖地震が発生し、東京電力は自社最大の原発である柏崎刈羽原発を長期に停止せざるを得なくなった。津波対策を講じるには、さらに福島の第一、第二原発10基をも止めなければならなくなる。チェルノブイリ原発事故は、明らかな人為災害であったが、福島第一原発事故もまた、明らかな人為災害であった。自然災害ー地震と津波の警告は既に何人かの科学者から出ていたのだから。それへの対策を怠れば、災害の責任は人にある。福島第一原発では、現在もなお事故処理の目処が立たない状況が続いている。にもかかわらず、政府は「二酸化炭素削減」を口実に原発の再稼働を目論んでいる。しかし、今は地震や津波の警告はむしろ震災前以上に強まっている。
枝垂れ梅

変異株の市中感染

2021-03-12 19:17:25 | 社会
今日も徳島県で9人が新型コロナウイルスの英国由来の変異株に感染していたことが報じられている。1月以降の感染判明分から73人を抽出して国立感染症研究所が解析した結果である。9人は全て海外渡航歴はない。昨日も沖縄県や神奈川県で解析結果が発表され、変異型の感染者がそれぞれ、6人、12人いた。神戸市では38人もいたと発表されている。神戸新聞によると、「新規感染者で検査を受けた人のうち、2月12~18日の英国型の変異株感染は15.2%。19~25日は21.9%、26日~3月4日は38.8%-で、感染割合は増えていることが分かった。」とある。現在までに日本国内で検出されている新型コロナウイルス変異株は、英国型、南アフリカ型、ブラジル型、日本型の4種である。英国型は感染力も致死率も高くなっており、ブラジル型も概ね同様だ。南アフリカ型はワクチンの効果が低い。日本が冬の間、南半球のブラジルは夏であるが、ブラジルでは冬よりも夏の方がずっと感染者も多く、1日の死者数も最高になっている。日本の名前だけの「緊急事態宣言」は現在のウイルス感染の減少にはほとんど無関係だろう。対策とは言えない内容でしかなく、減少はむしろ季節的な影響の方が大きい。しかし、既に変異型が市中感染していることを考えると、たとえ「宣言」を再び延長しようが、いずれ第4波が形成されることはもはや避けられない。厚生労働省は高齢者施設などで無症状者の検査を進めると言いながら、その件数は全国で1万件でしかない。徹底的に日本は検査をする気がないようだ。日本はこれまで1日の検査件数は、民間検査を入れても最高で10万件を切っている。しかもそこには抗体検査や抗原検査まで含まれている。米国、中国では1日に100万件以上が可能である。欧州ではイタリアやドイツで、一度は減少していた冬場の第2波が今また第3波を形成しようとしており、ドイツはEUからの要請を拒否して、入国禁止措置を継続している。現在のオリンピックはマネーが絡む利権となっており、何としても開催したいのが日本と国際オリンピック委員会IOCの二者である。IOCもなりふり構わず、オリンピック参加者への中国製ワクチンの提供まで提示している。オリンピックが開催される7月には、もう間違いなく日本の第4波が来ているだろう。日本の新型コロナウイルス遺伝子解析も国立感染症研究所が独占的に行なっており、そのため解析能力は1週間で300件に限定され、いずれその2倍以上に拡張されると言うが、欧米などは全自動の7500件の処理能力のある機器が導入されている。その機器を導入しなくとも大学や他の研究所の協力があれば、はるかに多くの解析が可能になる。しかし、感染研は決してそれをしようとしない。感染拡大防止よりも、あくまでもデータ独占が優先される。国立感染研究所や厚生労働省は、戦前からの感染症対策の流れを維持しており、決してデータ独占を止めない。日本は政府債務と同じく、新型コロナウイルス感染からの出口はない。データ独占のために、民間や各大学・研究所と一丸となった検査体制を一切拒否し、感染者数が減少して来た中でも、コロナ対策病床の十分な確保に努めようともしない。政治が少しでも真剣に動くようになるのは、せいぜい、さらに多くの犠牲者を出す、夏場が過ぎてからだろう。科学を無視する政治家は、ワクチンだけはあてにしているのかも知れない。しかし、新型コロナウイルスワクチンこそ、あまりにも従来のワクチン承認原則を無視した、つまり安全性を無視したワクチンである。緊急時だとして、本来必要な治験の多くのステップを無視して開発されたワクチンである。十分な時間をかけて副反応や有害事象が確認されていない。現在、国内で行われている医療従事者のワクチン接種自体が、ある種の治験である。医療従事者によっては、ある種の半強制でもある。断りたくとも断れない状況があり得る。こうした人たちにとっては、人体実験だとさえ感じられるかも知れない。どうしても接種しなければならないとしたら、やはり従来手法の不活化ワクチンを選びたい。人体に初めて注入されるmRNAワクチンなどの遺伝子操作ワクチンだけは、十分な時間を経て、安全性が証明されるまでは避けたい。たとえ感染するリスクがあってもだ。ワクチンを接種してさえ、変異株だと感染のリスクは大いにある。ともかく、日本で徹底的な検査と、陽性者の隔離が行われない限りは、感染が終息することはない。
三陸の藪椿

10年経過しても何も変わらない

2021-03-11 19:14:42 | 社会
今日は東日本大震災から10年になる。10年前の今日、午後2時46分に経験したことのない大きな揺れにあった。一旦は慌てて机の下に潜り込んだが、その机自体が不安定で、結局、机の下から出て、座ったまま揺れが去るまで待った。3時からは関連施設の応援に毎週行っていたため、その時も揺れが収まったと考え、車で移動し始めた。人が職場の隣の高くなっている薬師公園へ集まって来ているのを不信に思いながら。四国で生まれ育ち、全国何箇所で過ごしたが、地震と津波は頭の中で全くつながりがなかった。後で考えると、車を走らせた甲子川沿いを、わずか2~3分違いで津波が追いかけて来ていたのだ。職場ではすっかり津波に飲まれたものと思われていた。職場では、1階の天井部分まで津波で浸水し、津波で流される人が目の前で消えて行く姿をみんなただ見つめるだけであったそうだ。一人だけは何とか助けることが出来たと言う。その日はもう職場には近付けず、翌日長靴で真っ黒な泥と流れて積み重なった残骸の中を職場に向けて歩いた。1階からは入れず、3階の駐車場の方から建物に入った。1階の正面玄関から中にたくさんの残骸が入り、玄関前には何台かの流れて来た車もあった。その後3月一杯は極めて惨めな泊まり込みが続いた。もう二度と経験したくない。原発事故のニュースも知ったが、正直その頃はそれどころではなかった。被災した職員もいて、十分な人員や物資が確保出来ない上、電気が止まり、通信も出来ず、暖房が手に入らず、職場としての機能不全である。しかし、人の命を預かる仕事柄、自衛隊の協力を得て、何とかその後切り抜けて行った。津波は多くの人の命と生活を奪った。そんな中でもほとんど被害を受けなかった海岸沿いの集落もあった。過去の津波の経験から、集落を既に高台へ移転していた集落があった。過去からしっかり学んでいた。三陸沿岸には、まだ人がほとんど来ない広々とした砂浜がいくつかあった。しかし、それも津波ですっかり失われてしまった。その上、「復興」により、沿岸は護岸工事だらけで、自然の景観など全く無視され、どこもほとんどで海が見えなくなってしまった。「復興」=土木工事であり、防波堤も再建され、高台移転はごく一部である。おそらく同じ規模の津波が来れば、間違いなくまた同じような悲劇が生じるだろう。9日のロイターは「震災10年:検証なきインフラ投資、人材不足招く 復興に重い課題」と題して、これまで「復興」のために31兆円が投じられて来たが、費用対効果の検証もなく、予算の目的がほとんどインフラ整備に決められており、市町村が市町村に合った形で予算を自由に使えず、巨費を投じてインフラ整備された街で人口が減り続けている事態が全く考慮されていないことを報じている。人は喉元過ぎれば悲惨なことは早く忘れたいものだ。しかし、いつまでも忘れられず悲劇を引きずらざるを得ないのが、原発被害者だろう。2013年9月7日、時の首相は、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開かれたIOC(国際オリンピック委員会)総会で、東京にオリンピックを招致するために、福島原発は事故後、「アンダーコントロール制御下」にあると演説している。福島第一原発は、現在もなお「アウトオブコントロール」なままである。1号機と3号機の冷却水の水位が低下していたが、3号機では今、逆に上昇している。いずれも原因は不明のままである。冷却水の貯水タンクも一杯であり、それをどうするのかも方策が決まっていない。除染されたのはわずかに2割でしかない。最近の民間団体の調査では、小児甲状腺癌は270人を超えている。福島30万人の小児の中でだ。新型コロナウイルス感染対策でもそうだが、国は利権を優先して、国民の命や生活は二の次である。日本のどこに民主主義があるのか。日本は何でも自由に言えると思い込んでいるのは大きな誤りだろう。国の利権に響かない声であれば自由に言えると言うだけであり、そんなものは国の利権に痛くも痒くもないからである。しかし、利権に直接関わる言論となれば、どんな手を使っても封じ込められる。実態は中国と変わらない。震災も新型コロナも多くの犠牲を強いているが、日本では人災が占める割合が大きい。利権にしがみ付く国は、何も学ぼうとはしない。そして、利権で国家が運営されるのは米国も同じである。ロビー活動が盛んな米国など、まさにマネーで政治が動く典型だとも言えるだろう。
紅梅

静かに広がる日本の変異株

2021-03-09 19:14:22 | 社会
昨日の国内新規感染者(厳密には陽性者)数は600人である。1月8日の7949人をピークに第3波は終息に向かっているかのような印象を与えているが、PCR検査数も1月14日の9万0766件をピークに3月4日の3万7203件まで減少してもいる。検査数を減らせば当然陽性者数は減少する。しかも、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部は、1月22日に「事務連絡」として各(都道府県・保健所設置市・特別区)衛生主管部(局)宛に通知を出している。「医療機関・高齢者施設等における無症状者に対する検査方法について(要請)」と題されている。インタネット上に公表されている。それによれば、一人一人個別の検体に対して行っていたPCR検査を、何人か分をまとめた検体に対して行うプール方式を医療機関や高齢者施設で行うことが出来るとある。ただ、この通知では同時にPCR検査の際の増幅回数を従来の40~45ではなく、30~35としている。この増幅回数の減少は、陽性者数の減少につながる。複数の検体が入れば、むしろ精度を上げるために増幅回数を増やすのが普通である。それをこの通知では、むしろ増幅回数を減らしている。こうしたことも日々の陽性者数の減少をもたらしている。日本のコロナ対策は最初から実態を全く反映しない検査制限を行なっており、このせっかくのプール方式の採用でも、増幅回数を減らすことで、実態がむしろ見えなくなるように設けられている。昨日のロイターによれば、「事務連絡」の無症状者に対する検査も、「全国で1カ月間に1万件程度をめどにしている」と政府の官房長官が示したと言う。わずか1万件でしかない。全く本気で実態を把握しようとしていないようだ。同じく昨日、埼玉県では20人の変異株感染者が明らかになったが、そのうち18人がブラジル型の変異株で、残り2人が英国型変異株であった。そして、6人が10歳未満の子供である。ギリシャ保健省によると、ギリシャで生後37日の新生児が新型コロナウイルスに感染して死亡した。2週間以上にわたって人工呼吸器を着用されている。ギリシャでは新型コロナウイルスの変異種が猛威を振るっており、第一波の時期とは異なり児童の間でも感染が広がっていると言う。ギリシャ政府は、感染拡大の悪化を受けて昨年11月7日から全土で検疫体制に加え、外出制限、マスクの着用義務を継続している。ギリシャは昨日までに20万6281人の感染者と6797人の死者が出ている。ドイツでは、バイオテクノロジー企業「セントジーン(Centogene)」が、ナイジェリア型の変異株(B.1.525)がドイツで初めて見つかったと発表している。ベルリン・ブランデンブルク国際空港でザクセン州在住の男性から検出された。ナイジェリア型の変異株は昨年12月に初めて英国とナイジェリアで確認されたが、その後、デンマーク、イタリア、ノルウェー、カナダ、米国でも確認されていた。ナイジェリア型(B.1.525)は英国型(B.1.1.7)と似ているが、ブラジル型や南アフリカ型と同じく、ウイルスの表面にあるスパイク蛋白質に変異を起こしている。ワクチンはこのスパイク蛋白質に合わせて作られているため、そのタンパクに変異が生じるとワクチンの効果が薄れると見られている。ただ、今日のREUTERSの「Exclusive: Study in Brazil indicates Sinovac vaccine works against P1 variant found in Brazil - source」なる記事によると、ブラジルで実施されている研究の暫定データで、ブラジルで感染が広がる変異株に対し、中国のバイオ製薬企業シノバック・バイオテック社が開発したコロナウイルス用ワクチン「CoronaVac」が有効性を示した、と関係筋がロイターに明らかにしたと言う。シノバックのワクチンは遺伝子を使ったものではなく、従来手法の不活化ワクチンである。ブラジルでは1105万人以上が感染し、26万6000人以上が亡くなっている。第2波が治りかけたように見えた2月10日頃から再び感染者数が増加に転じ、一昨日は1日にで8万人を超えた。一昨日の毎日新聞も「ブラジルで変異株猛威 1日2000人近い死者 他国に波及懸念」で、ブラジルの深刻さを伝えている。5日の朝日新聞は、慶応大の研究チームの分析で、日本でも固有の変異株が検出されたことを伝えている。この「日本型」の変異株は、たんぱく質の一部が変わった「E484K」という変異を持ち、免疫が十分効かなくなる可能性が指摘されていると言う。一見、減少傾向にある日本でも、ブラジルのように何種かの変異株が既に市中感染しており、今後第4波を形成する可能性がある。日本では、既に昨日までで約7万人の医療従事者がワクチン接種を行なったが、そのうち8人がアナフィラキシーを発症している。ファイザー製ワクチンの接種により20万回に1回程度の頻度でアナフィラキシーが発生していると言われるが、厚生労働省のワクチン分科会副反応検討部会長の森尾友宏・東京医科歯科大教授は「発生頻度が海外の報告よりも高いように見える。アナフィラキシーに該当するかを含めて詳細を評価する必要がある」と昨日の日本経済新聞で語っている。
サザンカ

中国の米国人教授

2021-03-08 19:10:20 | 文化
米国人ウィリアムN.ブラウンWilliam N·Brownは、父親が米国軍人であったため、スイスのチューリッヒで生まれてた。大学で経営学の博士号を取得したが、自分も米国空軍に勤務し、パイロットとなった。台湾に駐留中に台湾生まれの米国女性と結婚し、退役後スイスの航空会社のパイロットも務めた。しかし、証券会社に転職し、副社長を務めていた。しかし、1989年1月、彼は厦門大学のMBAセンターに雇われ、家族と一緒に中国に移った。32歳の若い教授であった。中国に初めて赴任した時、6ヶ月と3歳の男児がいた。彼は子供に中国の教育を与えながら、一方で、後にインターネットを使って、米国人教師による教育の機会も与えた。いつも子供には公共の福祉と社会的責任を教え、自らも給与の一部を福建省西部の学校に通っていない子供たちに寄付をし、14年後には、「ホーププロジェクト」を立ち上げ、チベットに資金を贈った。また彼は、貧困と​​後進を見せ、彼らの社会的責任と使命感を育むことを願って子供たちと共に、休暇のたびに、南の海南から北の内モンゴル、そして西のチベットまで、中国の土地を車で5万Km以上旅した。そして行く先々で環境保護を進めた。子供を含めて自分たちで庭を作り、子供が大きくなると帆船まで一緒に建造し、航海の危険を体験させもしている。1992年には福建省で初めて永住権を申請し、グリーンカードを取得した。その動機は厦門大学の学生たちのためであった。1990年代初頭の中国の大学では学生たちは、海外へ行きたがった。そこで彼は学生たちに将来は中国にあることを示すために、中国に長く滞在する決意をした。彼は、世界経済の中心はアジア・アフリカ、に戻り、改革と開放は中国に無限の機会をもたらすだろうと確信していたと言う。中国に定住してから、彼は今では米国の知人数百人に、機知に富んだユーモラスな言葉と漫画のイラストを入れた、彼の中国での「冒険」や家族の生活を手紙で知らせてる。「こうして、彼らの中国に対する固定観念を打ち破り、本当の中国と私が愛する中国人がどのようなものかを彼らに理解してもらいたいと思っています。」と語っている。彼は福建省で最初の「グリーンカード」を獲得したことで有名になり、多くの映画やテレビのクルーからの招待されたが、テレビシリーズ「林則徐」の97年版に参加した時、脚本を読んで、阿片戦争の描写は間違っていると思った。「この歴史はわかりませんが、西側がそうするなんて信じられない。」と思った。そして、改めて、アジアやアフリカの歴史を学び、「歴史を研究すればするほど、西側がアジア、アフリカ、ラテンアメリカで何百年もの間行ってきたことは、文明でも貿易でもなく、海賊の略奪であると感じた」と言う。歴史を学ぶために、19世紀から20世紀初頭にかけて、中国に関する何百冊もの本や画像資料を収集するために数十万ドルを費やした。そして、外国人向けの中国や福建省、厦門市の歴史を含めたガイドとなる書籍を10冊以上書いた。1999年に結腸癌が明らかになり、香港の病院で手術を受けた。その際、米国の友人が訪ねて来て、米国に帰るか、と尋ねられたが、米国ではなく、厦門の家に帰ると答えたと言う。引退後は、「「改革開放の40年間、中国は世界を理解しているが、世界は中国を十分に理解していない。本を書き続け、中国の物語を語り続けるのは私の責任だ。」と述べている。最近、中国日報の取材を受けた教授は、ここ数十年の中国の変化を一言で表現すると「以前、中国人はお金を持っていなかった。そして今もやはりお金を『持って』いない」と答えた。今は全てスマホで決済できるため。教授の中国名は潘维廉である。なお、米国は中国語では美国と書く。
庭で咲いて来た別の蝋梅

ブラジルでは冬以上に夏に感染者が増えた

2021-03-06 19:19:09 | 社会
現在、北半球では春になろうとしており、南半球では逆にこれから冬に向かう。南半球にあるブラジルは昨年7月29日が冬の新型コロナ感染者のピークで、1日7万869人であった。その後減少傾向にあったが、ブラジルでの夏である1月7日には1日8万7134人もが新規に感染した。冬以上に夏に感染者数が増えた。しかも、そのブラジルの夏で、2月6には一旦、1日4万8707人まで減少したが、その後変異株が蔓延し、今月2日の米国メディアCNNは、「ブラジルの病院が限界に、変異株の感染拡大制御できず」と報じた。ブラジルの保健相は「変異したウイルスは3倍の感染力をもち、そのスピードは構造や支援に関して知事を圧倒しかねない。これが今のブラジルの現実だ」と述べている。昨日の新規感染者数は7万5337人で、増加傾向は止まらない。ブラジルでの感染は、冬よりも夏の方が多く、変異株の感染は極めて強力だと言うことを教える。これから夏に向かう北半球も気温上昇が感染の自然減少に繋がらないことを前提にしておく必要がある。甘い緊急事態宣言を2週間延長したところで、何も変わらない。日本は一貫して、基本的な感染対策を怠って来た。まして、今や変異株が市中に広がってしまっている。変異株の分析も国立感染症研究所が独占するために、1週間での分析件数が制限されてしまっている。データも独占し、公開されないため、他の研究機関がデータ分析出来ず、OECD加盟国での新型コロナ感染研究論文発表が最低に近い。ブラジルの例を見る限り、日本の変異株は間違いなく感染を今後拡大させるだろう。オリンピック開催に浮き足立てばなお対策は甘くなり、結果的に一層の感染を拡大させてしまうだろう。そんな中で、昨日、ニュージーランドではM7~8クラスの地震が3度発生した。ニュージーランド近辺は太平洋プレートとインド・オーストラリアプレートとの接点であり、ニュージーランドでの地震は太平洋プレートとして日本近海へも影響は考慮する必要がある。2011年2月22日、ニュージーランドのカンタベリー地方でM6.1の地震が発生し、クライストチャーチに大きな被害が出た。それから16日後の3月11日に日本のM9.1の巨大地震が発生した。さらに、地震で気になるのは、先月13日に福島県沖で発生したM7.3の地震である。この時の地震で福島第一原発の1号機、3号機の冷却水の水位が下がり続けていることだ。溶解した燃料棒を冷却し続けているが、その冷却水が地震後に、どこかへ漏れ出ているのだ。冷却水の注入を続けていても、それ以上の速さで漏れているために水位が下がり続けている。2013年9月7日にアルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開かれたIOC総会で、当時の首相はオリンピックを日本へ招致するために、「私が保証します」「アンダーコントロール」だと述べた。除染すらいまだに2割しか出来ておらず、コロナと同じく、放射性物質の残存の検査すら碌にやらない。放射性物質で汚染された冷却水、いわゆる汚染水も貯留タンクが限界で、それをどうするか困窮し、海域への放流すら考えざるを得ない状況に追い込まれ、どこが「アンダーコントロール」だと言えるのだろう。東京都内でさえ、いまだに基準以上の放射性物質が残留している。人口185万人の福島県で、200人を超える小児甲状腺癌が発生しながら、原発事故とは無関係だと言い続ける欺瞞、それに加担する医科大学。中国は国民に事実を隠すが、日本や米国も同じである。国家の体制は違ってもやっていることに大きな差はない。日本や米国の方がかえって陰湿なだけである。日本の入国管理局の施設での差別や研修名目の奴隷労働のような実態は、中国のウイグル人の人権侵害とどこが異なると言うのだろう。米国では、建国以来、延々とアフリカ系の人への差別が続き、新型コロナ感染が発生してからは、アジア系への暴力や誹謗まで酷くなった。中国も人権侵害なら、日本や米国も同じく人権侵害である。まして米国は「民主主義」の名で、先日のように他国を平気で軍事攻撃する国である。トランプ前大統領で唯一評価出来ることは、在任中、決して軍事行動を起こさなかったこと、そして、むしろ米軍を海外で削減したことだろう。ともかく日本はオリンピックの精神などとは無縁で、利権のためのオリンピックにしがみつき、感染対策をまともにせず、死者だけを増やし続けている。原発事故でも新型コロナ感染でも、人権侵害は当たり前のように行われている。
庭の蕗の薹