釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

急増する債務

2021-03-17 19:11:30 | 経済
第2次世界大戦後、世界最高の豊かな国となった米国は、世界恐慌は伝統的な自由放任主義に内在する市場の失敗であるとの見方から、英国の経済学者ケインズの考えを入れ、社会保障の拡充、公共事業による景気の調整、主要産業の国有化などを推進し、国家が経済に積極的に介入すべきであるとされた。いわゆる大きな政府である。しかし、1970年代頃までには、敗戦国の日本やドイツで経済発展が急速に進み、米国の製造業は競争力を失って行った。第一次、第二次大戦で巨額の戦費を費やして、戦後、大きな政府債務を抱えていた英国は、「英国病」と言う慢性的な不況が続いていた。まさに長期の低金利で英国政府の債務を軽減させていた。米英ともに要因は異なっていても、失業や不況は変わらず、こうした行き詰まりの状況を生み出した原因が、国家による経済への恣意的な介入と政府部門の肥大化にあるという主張が現れた。いわゆる新自由主義と言われるものだ。英国はマーガレット・サッチャーにより、ロナルド ・レーガンにより、民営化、規制緩和、減税、社会保障制度の見直し、金融ビッグバンなどを実施し、グローバル資本主義を推進した。高度経済成長を達成し、絶頂期にあった日本まで、米国に従属し、規制緩和や民営化の道に入り込んで行く。世界は大きな政府から小さな政府へと転換されて行った。しかし、製造業が競争力を無くした米国は、何としても経済的にも覇権を維持させざるを得ず、金融経済に大きく舵を切った。金融経済とは博打である。マネーゲームである。本来の企業の成長力とは無関係に株価が上下するゲームである。マネーがマネーを生み出すマシーンである。そして、米国が始めた金融経済はその後、何度も金融危機を繰り返すことになった。日本はバブル崩壊後のただ1度の金融危機で、日本経済を破壊してしまい、その上、新自由主義などと言う経済を破壊する「理論」によって、「失われた30年」に入り、政府債務と日本銀行資産を増大させて来た。日本も米国も金融危機により、大きな政府から小さな政府に転換したはずにもかかわらず、ともに政府債務を積み上げてしまった。こうした状況の中で、昨年からのコロナ禍である。米国では今月12日、新型コロナのための1.9兆ドル(200兆円)の追加経済対策を盛り込んだ法律が12日に連邦議会で成立した。これまでのコロナ対策費を合わせると5兆8000億ドル(約640兆円)にもなる。日本でも第3次補正予算を含めた2020年度の一般会計総額は175兆6878億円にもなり、2021年度予算は106兆円と言う過去最高の予算となった。しかも、これにはコロナ禍が継続した際の補正予算は含まれない。国際金融システムの安定維持を目的に設立された70カ国以上の金融機関による米国ワシントンの国際金融協会IIFは、先月、世界の総債務は2020年末に記録的な281兆ドルに達したと発表した。世界のGDPの355%以上になる。世界の政府、企業、家計は昨年、パンデミックの経済的犠牲を相殺するために24兆ドルを債務として積み増した。世界の企業、銀行、家計はそれぞれ5.4兆ドル、3.9兆ドル、2.6兆ドルを追加した。ワクチンが導入されたとしても、中央銀行の低い政策金利は、パンデミック前のレベルを超えて国債発行を維持しており、 IIFの推定によると、政治的および社会的圧力により支出を抑えることが難しく、政府債務負担は2021年末までに92兆ドルを超えると見られている。IIFは「「政治的および社会的圧力は、赤字と債務を削減するための政府の努力を制限し、将来の危機に対処する政府の能力を危険にさらす可能性がある。」と報告している。神戸市は人口150万人の都市だ。その神戸市はホームページで「神戸市内の変異株の確認状況」を公表している。それによれば検査数に占める英国型(N501Y)の変異株の割合は1月1〜28日で0%、1月29日〜2月4日で4.6%、2月5日〜11日で10.5%、2月12日〜18日で15.2%、2月19日〜25日で21.9%、2月26日〜3月4日で38.8%となっている。人数では合計で64人である。この他にワクチンや抗体が効きにくいE484K変異株が10人である。いずれにしろ、日を追って、変異株が確実に増えていることが分かる。英国型(N501Y)は感染力が強い。無策の日本では間違いなく、今後、これらの変異株が主体となって第4波が襲来するだろう。そして、さらに政府支出が追加され、政府債務は無尽蔵であるかのように増え続けるだろう。それがいつまで持つか分からないが。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿