釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

「貧乏国ニッポン」

2021-03-05 19:13:09 | 科学
首相の長男のスクープ記事を出した文春で、経済評論家の加谷珪一氏の「平均賃金は韓国以下」がオンライン版に載せられ、昨日のTwitterで話題になっていた。「日本が急速に貧しくなっているのは紛れもない事実である。私たちはこの厳しい現実を受け入れ、従来の価値観から脱却する必要がある。」とある。同氏は昨年、新書版で『貧乏国ニッポン』を出している。OECD(経済協力開発機構)の調査した、購買力平価を用いたドル換算の各国平均賃金(年収)は、米国6万5836ドル、ドイツ5万3638ドル、韓国4万2285ドルで、日本は3万8617ドルであった。「トヨタ自動車の1台あたり平均販売価格は世界経済に歩調を合わせ約20年で1.5倍になった。だが日本人の賃金は横ばいなので、日本人にとってクルマはもはや高嶺の花だ。」と書いている。そして、「日本人の賃金が上がっていないのは、バブル崩壊以降、日本経済が成長を止めてしまったからである。 同じ期間で、諸外国は経済規模を1・5倍から2倍に拡大させたので、相対的に日本は貧しくなった。日本だけが成長から取り残された原因は、ビジネスのIT化を軽視し、従来の産業モデルにしがみついたことだが、これについては本稿の主題ではないので割愛する。 原因はともかくバブル崩壊以後の「失われた30年」で、日本経済はかなり弱体化しており、私たちはこの現実を前提に今後のキャリアや資産形成について考えなければならない。」と続け、「活路は「脱日本」」となっている。1990年代初頭のバブル崩壊後、日本の産業構造の転換、先端技術の開発が言われて来たが、旧来の産業にしがみついて来た。2000年代に入り、新自由主義の旗振り役が日本政治に関わると、非正規雇用の拡大による企業利益の確保が蔓延し、企業は得た利益を社内留保として、溜め込み、新規事業やITへの投資に回すことすら怠った。この時点で、もはや日本の凋落への道筋は出来上がった。今となっては、何もかもが手遅れである。少子高齢化による労働人口の減少にも、根本的な対策が欠如している。経済を牽引する未来の産業も、それを担う労働力も、何も準備されていない。一昨日の朝日新聞デジタルは、「国債返済期間、大幅に短期化 コロナ対策で大量発行 金利上昇なら首回らぬ懸念も」で、「政府は今年度、コロナ対策で3度の補正予算を組み、新たに発行する国債は、過去最大の112兆5539億円に上る見込みだ。これに、過去の借金の借り換え分などを含めた今年度の発行総額は計263兆円に達する。前年度の約1.7倍の規模だ。」と書いている。年間の政府予算が106兆円で、見込まれる税収が60兆円くらいしかない中で、263兆円もの巨額の国債を発行し、市中金融機関が買ってくれ安い短期国債を増やして発行しようとした。経済が凋落して行くことが見えている中で、国の借金だけが極端に積み上がって行く。誰がどんなに考えても、これだけの借金を税収で返済することは不可能であることは見えている。どのメディアもあえてそれを報じない。そのため、日本には特別問題はないかのように日々が過ぎている。オリンピックなどに時間を費やしている余裕は全くないのだが。米国はGDPの7割を消費が占め、日本はそれが6割である。良し悪しは別として、GDPで経済を評価する限り、GDPを大きくするには、消費の増大は必須である。それを日本はこの何十年か企業が賃金を削ることで縮小して来た。既存の大企業を優先する政府と、利益を溜め込むだけの大企業が現在の日本の凋落を生み出して来た。その止めが何らかの形での国家財政の破綻である。若者は日本を脱出すべきと言ったのは、投資家のジム・ロジャーズ氏もだ。まさしく、今の日本はあらゆる面で貧しさが現れて来ている。
薬師公園横の椿