釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

「いつまでやるの?」

2021-03-20 19:19:33 | 科学
先月13日のM7.3の福島県沖地震に続いて、今日はM7.2の宮城県沖地震で、先月よりは北寄りになったため、先月よりも強く、長く感じたように思ったが、震度は4であまり変わっていないようだった。いくつかのものが落下はしたが、大きな被害ではない。次は岩手県沖の本震がやって来るのかも知れない。東京大学村井俊治名誉教授が、2011年の震災直前と同じ変化が見られるとして、今月末まで注意を呼びかけていたが、先月と今回の地震はあくまでも余震である可能性が高いのではないか。2011年の500Kmに渡る震源地の北端以北や南端以南での巨大地震が残されているのだ。 昨日、財務大臣は閣議後の記者会見で、「マスクなんて暑くなって口の周りがかゆくなって最近えらい皮膚科がはやっているそうだけど。いつまでやるの?」と「愚痴をこぼした」と毎日新聞が報じた。2014年に前政権は内閣人事局を設け、600人以上にもなる局長以上の官僚の人事権を握り、気に入らない官僚たちを左遷させて来た。左遷されたくない官僚は忖度する度合いが強まった。若手官僚はそんな状態に嫌気をさし、昨年だけで89人も官僚を辞めた。しかし、政治家も厚生労働省の医系技官やコロナ対策の「専門家」を簡単には動かせない。前首相のようにPCR検査を増やそうとしても、それを阻む専門家集団がいて、政治家の思い通りにはならない。かと言って、その集団を更迭も出来ない。何しろ自分たちのオリンピックありきには、協力的だからである。しかし、その専門家集団のこれまでのコロナ対策自体が実は、コロナ感染を長引かせて、かえってオリンピック開催を危うくさせているのだ。もはや日本の第4波突入は明らかであり、5月には相当変異株中心に感染が拡大しているだろう。今日の日本経済新聞は「クラスター発生、高齢者施設最多  1~3月は飲食店の3倍超 入院できない事例も」と題して、1月13日〜3月15日までの緊急事態宣言中のクラスター件数を調べると、高齢者施設で新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)発生が、480件を超えて飲食店の3倍超になっていることを報じている。高齢者施設に次いでクラスター発生が多かったのは医療機関で、企業等、学校・教育施設、と続き、最後に100件を超える飲食店の順となっている。飲食店のクラスターが時短営業で少なくなったことは事実であるが、この調査で見るように、高齢者施設や医療機関も第1波の時からクラスター発生は多く報告されており、飲食店のクラスターと大きく異なり、これらでのクラスター発生は即、重症者や死者の発生につながることであり、病床の逼迫にも直結していることである。対策の第一の標的は高齢者施設や医療機関でなければならないのだ。ここを守る対策が先ずなされなければならないのに、それを放置して、飲食店の時短を迫っても、犠牲者の発生は決して防ぐことは出来ない。そして、これまでに何度も書いて来たように、日本の新型コロナ対策の根本的な誤りは、感染症の基本を行なっていないことにある。感染者(陽性者)を徹底して見つけ出し、隔離・治療することを、まさに日本の感染症「専門家」があえてやっていない。昨年12月2日付けで、米国の査読付き医学雑誌Health Affairsに掲載された、「Increased Intensity Of PCR Testing Reduced COVID-19 Transmission Within Countries During The First Pandemic Wave(PCR検査の集中度が増すと、最初のパンデミック波の間に国内でのCOVID-19感染が減少した)」と題するスリランカの研究者たちの論文は、昨年3月から6月の173の国と地域(世界のCOVID-19症例の99%を占める)におけるCOVID-19の平均再生産数(伝染性を表す)に対するテストの影響を定量化した結果、 検査と隔離の強化は、COVID-19を制御するためのお金、経済成長、および人間の生活の観点から、最も効果的で最も費用のかからない代替手段となることが明らかになったとする。そして、移動性の削減が先進国よりも発展途上国で効果が低かったことを示唆した。この論文の筆頭研究者はスリランカの保健政策研究所Institute for Health Policyの研究所長のRavindra Prasan Rannan-Eliya博士で、米国ハーバード大学で博士号を取得して、英国、セルビア、トルコ、キルギス共和国、エジプト、レバノン、パレスチナ、バングラデシュでの研究や、WHO、世界銀行、OECD、Eurostatとの協力など、国際的な研究家である。スリランカはちょうど東北6県ほどの面積の島国だが、人口は東北6県の2.5倍の2167万人である。小さな国でもこうして新型コロナウイルス感染の世界的なデータを利用した研究をしっかり行なっている。3蜜回避やマスク着用を呪文のように繰り返すことしかしない日本の「専門家」とは比べようがない。そんな「専門家」が対策の中心に居続ける限り、日本の新型コロナウイルス感染はいつまでも終息することはないだろう。