今朝は風が少し出ていたが、いつもと違って、その風に冷たさが見られなかった。まるで春の朝と言う感じだった。気温は8度で、日中も13度まで上がり、昼休みにはコートを着ないで外を歩いても寒くはなかった。川の白鳥たちも変わらず、浅くなったところで毛繕いをやっていた。八幡神社へ行く途中の坂道に面した家の庭先で、雪が融けたところに福寿草が咲き始めていた。周囲にはまだ雪が残っているので、福寿草の黄色い色がひときわ目立っていた。この福寿草が咲くと、もう春がそこまで来ていることを実感出来る。近くを通る人にも気付かれずにひっそりと咲いている。 今朝の岩手県地方紙「岩手日報」は一面トップに『値上げ続々、家計直撃』と題する記事を載せた。4月から消費税が増税されるが、多くの企業が製品に増税分を上乗せすると発表している。NHK受信料や電気代なども上昇し、円安や原材料高による値上げもある。JR各社や大手私鉄の運賃も値上げが決められた。一昨年には中学生以下の児童手当に所得制限と支給額の一律化や住民税の15歳以下の年少扶養控除廃止、すべての化石燃料への地球温暖化対策税(環境税)の導入が行なわれ、厚生年金保険料の値上げも行なわれている。又、昨年は給与所得控除に上限が設けられ、復興増税として、所得税に2.1%の定率増税が行なわれ、今年6月からは住民税でも1000円の定額増税が期限付きで実施される。今年からはさらに診療報酬の0.1%増により医療費も増額され、新たに70代になる人の医療費負担も1割から2割に増える。来年には軽自動車税も現行の1.5倍となる。厚生労働省が出す「毎月勤労統計調査」は勤労者の所得が減り続けていることを示している。派遣労働者など非正規雇用が拡大され、安定した所得が確保される正規雇用が減少しているため、総体としての勤労者の所得は減少している。日本の経済を牽引して来た自動車や家電産業が新興国との競争で喘ぎ始めて来た。円安によりかろうじて利益を確保出来たが、輸出量が増えたわけではない。敗戦後の日本は疲弊した国土の中から、目覚ましい経済発展を遂げたが、当初は日本製品は米国では安いが粗悪な製品と見られていた。その低評価を努力で覆し、信頼される製品に高めて来た。今、それを新興国が行なっている。米国市場には韓国製品が多く入っている。家電や自動車の分野で。中国には500社もの自動車会社が乱立している。無論粗悪な自動車も含まれているだろう。しかし、いずれ淘汰されて行き、韓国車と同様米国市場に進出して行くだろう。日本は戦後、アジアではなく、米国へ顔を向けて来た。日本と米国の絆は強固なものと勝手に思い込んでしまっている。しかし、米国は少なくとも経済に関しては今や日本より中国を重視している。韓国車も一度は日本に進出したが、日本では見向きもされず撤退してしまった。その同じ韓国車を米国は受け入れている。米国の輸入最大の相手国は今や中国であり、米国の輸出相手では日本より中国の方が多くなっている。もはや米国国債の保有を含めて米国は経済的には日本より中国との結びつきを強めている。経済活動としては当然だろう。米国の4倍の人口を持つ中国は米国が最も重視する市場なのだ。日本の為政者はそんな米国と中国の経済的な結びつきを考慮せず、単に米中の政治的立場の相違のみをよりどころにして、中国との対立を煽っている。日本の現在の自動車や家電はいずれ間違いなく斜陽化せざるを得なくなる。政府が円安誘導しなければ利益を確保出来ない「保護」産業にすでに落ち込んでしまっているのだ。そしてそれに替わる産業を育てていない。かっての製鉄や造船と同じ道を自動車や家電産業が辿っており、下る坂道は現在は一層急峻になっている。首相は自らの政策である「成長戦略」の意味を理解していない。成長戦略の中身は単なる既存産業の保護政策でしかない。新たな産業を生み出す努力を企業も同じく怠っている。日本の産業の未来は暗い。家計へのしわ寄せは長期的に続いて行くだろう。歴史を振り返れば、国の経済の落ち込みが長期化し、国民の生活が苦しくなった時に、為政者は国民の不満を逸らすために意図的に戦争を起こして来た。アベノミックスへの失望はやがて広がって行くだろう。首相はその失望を他へ向けて行く可能性がある。
雪解けの福寿草