釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

進まない除染と汚染水処理

2014-02-27 19:17:36 | 社会
今日はまた一段と気温が上がり、春の空気を感じさせてくれた。雲が多い日となり、夜半には雨の予想になっている。朝から日中は職場の裏山にはゴイサギは見られなかった。昼休みに甲子川へ出てみると、変わらず、白鳥たちがいてくれた。それぞれ毛繕いの最中であった。遠く、西を見ると、愛染山は雲で覆われ見ることが出来なかった。昨夜と一昨夜に見られたオリオン座やカシオペア座は今日は見ることが出来そうにない。気温が上がりさらに今晩雨が降れば、残った雪もかなり融けてしまうだろう。雪が融ければ、下から植物が少しずつ新芽を出して来てくれるだろう。 今月21日、東京電力は福島第一原発のタンクから約100トンの高濃度汚染水が溢れた問題で、タンクにつながる汚染水の配管の弁で操作ミスがあった可能性があると発表した。最初、東京電力は汚染水の漏洩が発覚した時、弁の故障と説明していた。これに対して、昨日、原子力規制委員会は、事故は容易に防げたにもかかわらず、安易な対応で事故が発生・拡大した背景には東京電力の企業体質があるとみて、事故時の対応マニュアルがどうなっているかなど安全管理体制を詳しく調べる方針を決めた。溢れた汚染水は原子炉の冷却に使われたもので、冷却後に放射性セシウムは除かれているが、超高濃度の放射性ストロンチウムなどはまだ含まれており、敷地内には34万トン超がタンクに貯蔵されており、25mプール1000杯分にもなる。汚染水が漏れたのは、すでに昨年4月17日に容量の97.9%まで注水が終わっていたタンクに通じる配管の流れを止める3つの弁が開かれたままであったためであった。タンクにはさらに満水警報まで付いていたが、警報が鳴っても、警報を切ってさらに汚染水の注入を続けることが常態化していた。昨日の原子力規制委員会では事故が起きたことよりも、事故が起きていることすら気づかず、大幅に対応が遅れたことへの批判が相次ぎ、「あまりにも稚拙で企業の体質、安全管理のあり方など根深い問題がある」「だれがミスをしたかではなく、なぜ警報が鳴っても適切に対応できないのか、その理由を調べることが大切だ」などの批判が委員から出たと言う。東京電力は事故後も安全管理がずさんであることがたびたび指摘されて来た。にもかかわらず、こうした事態が事故後3年が経とうとしている現在でも変わっていない。すでに海にも超高濃度の放射性ストロンチウムが大量に流れ出ている。3日前にも東京電力は昨年8月に地上タンクから漏れた汚染水約300トンについても過小評価していたと発表している。ストロンチウム90などβ線を出す放射性物質濃度を1ℓ当たり8000万ベクレルと公表していたが、実際は最大で約10倍の8億ベクレルに上る可能性もあるとしている。漏えいした汚染水は土壌に染み込んだほか、一部は近くの排水溝から直接海に流れ出たとみられている。昨年9月7日、アルゼンチンのブエノスアイレスで2020年夏季オリンピックの開催地決定のための国際オリンピック委員会(IOC)総会が開かれた。安倍首相は東京に誘致するために、世界から注目されていた福島第一原発事故による汚染状況への不安を払拭するためのスピーチを行なった。汚染水は「under control」状態であると。このスピーチ以来、政府は汚染水対策に積極的になったが、原発を推進して来た経済産業省と歳出を抑えたい財務省との間でせめぎ合いとなった。東京電力は極力政府からの干渉を受けずに、政府に汚染水の処理費用だけを負担させようと各方面に働きかけた。汚染水の処理費用は国が負担しても、東京電力が負担しても国民が負担することには変わりがない。東京電力が負担するとなれば、電力料金の仕組みから、費用はすべて電気料金に上乗せされる。結局、東京電力のあまりにもずさんな安全管理のつけがすべて国民に回されている。しかも、こうしたずさんな管理が放置されたまま安倍首相は原発の再稼働を目論んでいる。今月24日に明らかになった新たなエネルギー基本計画の政府案では、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ、安全性が確認された原発は「再稼働を進める」と明記された。原発事故は電力会社の体質を変えることなく、被曝と費用負担ばかりが国民に回されている。環境省は今年1月31日神奈川県内で出た汚泥2.9トンを、放射能に汚染された「指定廃棄物」に指定した。横浜市は昨年9月、市立小中学校など17校の雨水利用施設にたまっていた泥の指定を申請していた。指定廃棄物は原発事故で飛散した放射性セシウムを含むごみで1Kgあたり8000 ベクレルを超える。横浜市は福島第一原発から250Kmも離れている。京都大学や福島医科大学が福島県で行なった被曝調査も外部被曝に限られ、チェルノブイリ原発事故で報告された内部被曝は無視されてしまっている。昨今の日本では民主主義などと言う言葉はとても虚しく聞こえて来る。
水をすくう白鳥

頭をもたげて水を流し込む白鳥