釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

不動産バブルの再来

2019-07-08 19:20:23 | 経済
ここ数日釜石では山背のために霧雲が周囲の山の尾根を覆い、市街地へ霧雨を降らして来た。内陸は晴れて気温も上がり、夏日になっているが、釜石では長袖でなければ寒く感じる。今朝も霧雨が降っていたが、午前中から青空が見え始めて来た。それでも最高気温は22度でしかない。今朝の霧雨の中で、庭では山紫陽花の花が咲いて来ていた。いくつも並んだ山野草たちが、次々に咲いてくるのがとても楽しみだ。庭に自生して来た萩も少しだけ花が開き始めて来ている。霧雨の中でウグイスもまだ鳴いていた。 先週金曜日のBloomberg紙は「Is It Bubble Time Again for Japan’s Real Estate Companies?(日本の不動産会社にとっては、またバブルになるのか?)」なる記事を載せた。日本のメディアでの一部では都心などの不動産価格の高騰を報じるものもあるが、来年のオリンピックと絡めて、高騰もある程度仕方ないとしている。さすがに世界的な経済専門紙だけに、Bloombergは実名を挙げて、もっと根源的な日本の不動産企業の危うさを指摘している。1980年代後半に、日本では株式も不動産もバブル状態となり、特に、不動産では皇居の地価が米国カリフォルニア州全体のの不動産価格を上回ると言う異常なバブル状態であった。同紙は、金曜日に公表されたS&Pグローバル格付けS&P Global Ratingsの報告書を伝えている。それによると今や日本の代表的な不動産企業の債務レベルが、1980年代のバブル当時に達していると言う。「最もリスクの高い企業は、三菱地所、三井不動産、住友不動産、野村不動産ホールディングス」だとしている。今日行われた日本銀行の支店長会議で、黒田東彦総裁は、景気の先行きについて、減速する海外経済の影響を受けるものの「基調としては緩やかな拡大を続けるとみられる」と述べている。黒田総裁はメディアとは異なり、「回復」ではなく、「拡大」としている。1980年代後半のバブルは低金利によって生み出された。何故、バブルになったか。既存の経済学では、景気が悪化すれば、中央銀行が金利を引き下げて、企業が市中銀行から投資資金を借りやすくすることで、経済が回復して行く、とする。しかし、日本では他の先進国同様に国内での投資先がすでに限られており、企業はむしろ賃金の安いアジアに投資する方向に向いていた。アジアで投資するには、そのアジアの国々の通貨が必要であり、日本の市中金融機関から借受ける企業は少なくなっていた。そこで金融機関は、融資による利ざやを得るために、不動産部門に積極的に融資した。不動産部門の借り手も金利が低いため、借り受けた資金を不動産に投資すれば、金利以上の利益が得られた。金融機関は次第に融資基準が甘くなり、結局は、大きなリスクとなった。その不動産バブルが再び、かって以上の低金利で生み出されている。この不動産バブルが弾ければ、かってのバブル崩壊以上に大きな衝撃を金融機関に与える。かってのバブル期よりも現在の方が金融機関の体質が長引く超低金利のために脆弱になっているからだ。日本を代表するメガバンクすら、すでに大規模なリストラを発表している。先月もみずほ銀行は多額の損失を出している。「緩やかな拡大」の実態は、まさに綱渡りである。内外の何らかのショックがあれば、たちまち転落する。本来、本当に経済が良好であれば、これほど異常な低金利を続ける必要はない。また、日本銀行も異常な国債の買取りをする必要もない。中央銀行による超低金利も巨額の国債の買取りも、日本の歴史では、極めて異常な事態でしか見られないものだ。まして、マイナス金利に至っては、日本の、世界の歴史には登場しない。過去30年間、日本ではインフレ率よりも低い金利が続き、現預金の価値が低下し続けて来た。日本銀行は国民の現預金資産を犠牲にしてでも、政府債務の破綻を防いで来た。しかし、これももう長くは維持出来ない。例年、金(ゴールド)は、季節的な変動があり、5月、6月、7月は価格が低迷する。しかし、今年はそこに異変が起きている。低迷するはずの6月に金は1オンス1350ドルの壁を貫いた。先月、米国先物取引委員会(CFTC)は、メリルリンチなどの金投資を行う、いわゆるブリオンバンクが2008年以来、不正取引を行ったとして、罰金が課せられている。米国の金融機関にとって、ドルの価値を維持することが生命線となる。ドルの反通貨である金を何としても下げておかなければならなった。日本も米国ももはや通貨価値の低下は避けられないだろう。
山の額紫陽花

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