釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

米国国債「売却」

2018-03-30 19:10:24 | 経済
トランプ大統領は主に中国との貿易不均衡を是正しようと、今月初め、鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の追加関税を課す大統領令に署名した。これに対して、中国は保有米国国債の売却をチラつかせている。実際に売却を実施すれば、中国自体も損失を被る。現在、米国の国債の最大の保有者は中央銀行であるFRBで、中国はそれに次ぐ。日本は少しの差で、3番目となっている。かって、1997年に当時の橋本龍太郎首相が米国のコロンビア大学で講演した際、日本が米国国債を保有することについて質問された。これに対し、「本当のことを申し上げれば、われわれは、大量の米国債を売却しようとする気になったことは、幾度かあります。・・・・米国債を保有することは、われわれにとって唯一の選択肢ではないのです。むしろ、米国債を売却して、金を購入することも、もうひとつの選択肢なのです。でも、日本がいったんそのようなことをしようとなれば、アメリカ経済に計り知れない衝撃を与えることになりますよね。そうじゃないですか?多くの国が、米国債を、外貨準備高として、保有しています。 これらの国は、ドルが下落しても、米国債を買い続けるでしょうし、そのことは、アメリカ経済にとって、かなりの支えになるはずです。私は、そうなることを願っているのですが、アメリカが為替レートの安定性の維持に努力し、協力するであろうことは、かなり、明白なはずです。 ですから、われわれは、米国債を売却し、外貨準備を金に変えようとしたい誘惑に、屈服することはないでしょう。」と答えた。しかし、大量の米国国債を保有する日本の首相が米国国債の売却に触れたため、翌日の米国の株式市場は1987年のブラックマンデー以来最大の下げを記録した。これ以来、日本の米国国債の売却はタブーとなった。米国国債の価値とドルの価値は一体である。米国は大きな財政赤字だけでなく、経常収支も大きな赤字となっており、対外的に大きな借金を抱えてもいる。しかもその対外的借金は財政赤字とともに年々増加している。本来であれば、こんな国の通貨は価値が低下する。しかし、米国の通貨ドルは基軸通貨であるため、各国は貿易の取引にドルを使うため、ドルを貿易決済の準備金として持たざるを得ず、ドルが買われ、ドルの価値が維持されて来た。しかし、今月からは中国で石油先物取引きで、ゴールドを裏付けにした人民元での取引が開始された。ロシアなどBRICs諸国間の貿易ではドル離れがすでに始まってもいる。基軸通貨としてのドルもかってほどの固い地盤を失いつつある。しかも、日米欧の中央銀行は揃って、国債を大量に保有しており、これ自体がこれまでの平時の歴史ではあり得ないことである。先進国の現在のともかくもの経済成長を支えているのは、中央銀行の紙幣印刷である。印刷して市中に流した紙幣を、米国の中央銀行が先ず回収しようとしており、欧州が今年からそれをやろうとしている。日本だけはまだその影すら見えていない。「回収」など不可能なほど深刻なのが日本だからだ。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿