釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

現代版徐福

2018-03-31 19:13:16 | 科学
紀元前3世紀、中国の秦の時代に、「東方の三神山に長生不老の霊薬がある」として、徐福が始皇帝から、3000人の若い男女や多くの技術者、穀物の種を与えられ、東方の海に旅立った。この徐福の伝説が韓国や日本にも残されていて、日本では本州各地で、伝承がある。2000年以上前から、人々は長寿に夢を抱いていた。長寿への憧れは今も変わらず、現代版の始皇帝と徐福が米国のシリコンバレーにはいるようだ。米国には桁外れの富裕層がいて、彼らは何としても健康な長寿を得たいと考えている。そんな彼らから出資を得て、シリコンバレーのベンチャー企業が長寿薬の開発に乗り出している。米国には国立老化研究所National Institute on Aging(NIA)があり、そこが抗老化作用があると認めるものが7つある。カロリー制限、断食、運動、スペルミジン、レスベラトロール(ポリフェノール)、ラパマイシン(免疫抑制剤)、メトホルミン(糖尿病治療薬)である。断食は日常生活ではなかなか取り入れ難い。カロリー制限や運動は適度には実行しやすい。スペルミジンは日本だと納豆に多く含まれ、特にひき割り納豆に多い。レスベラトロールは赤ワインやブドウの果皮、アーモンドの薄皮、リンゴの皮やザクロ、イチゴなどにも含まれている。ラパマイシンとメトホルミンは共に長寿だけでなく、抗癌作用も明らかになっている。特に、メトホルミンは糖尿病治療薬として、60年以上使われて来ており、安価で副作用も少ないため、注目されており、日本でも岡山大学がその抗癌作用のメカニズムを明らかにしている。米国では、食品医薬品局(FDA)が初めて認める長寿薬の臨床試験として、メトホルミンの臨床試験が2016年から始まっている。プロジェクト名はTargeting/ Taming Aging With Metformin(TAME)と呼ばれる。アルバート・アインシュタイン医科大学(ニューヨーク)の老化研究所のニル・バルジライNir Barzilai所長らが、複数の研究機関で、5~7年かけて行う。メトホルミンは老化を引き起こす細胞の全てのプロセス(細胞増殖、炎症、代謝、ストレス反応)に関わっていて、健康寿命を改善するだけでなく、抗癌作用(特に乳癌、前立腺癌)、認知症・記憶力にも有用であることが明らかとなっている。英国の研究ではメトホルミン850mgを一日3回長期に服用した場合は、ビタミンB12の欠乏が見られることがある。メトホルミン250mgは日本では10円ほどで、健康人が長寿や抗癌作用を期待して服用する場合は500mg程度でいいのではないかと言われる。また、米国ではこうした長寿の臨床試験に5年もかけずに短期間でその効果の指標となる血液中の成分を見出そうとする研究も行われているようだ。バルジライ教授は、動物実験から、人では寿命を20年延ばせる可能性があると言われる。
椿

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