釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

転落が近づく世界経済

2018-06-11 19:11:08 | 経済
先週末から釜石では小雨がちの日が続き、今日は台風5号の影響もあって、小雨が一日降っている。そんな小雨の降る中でも朝にはウグイスが近くで鳴いていた。週末の土曜日に、周辺の山々に霧がかかり、小雨が降る中を車で隣の遠野に移動すると、自動車道の最後のトンネルを抜けると、遠野は青空の見える晴れで、路面も全く濡れていない。沿岸部の釜石と内陸の遠野ではしばしば天候や気温が異なる。この時期は沿岸部ではもう山背も関係してくるのだろう。先日、大阪にいる娘から電話があり、釜石ではまだ長袖が多いと言う話をすると、さすが釜石と言われた。 現在、世界の経済は概ね安定しているように見え、特にGDP国民総生産が世界一である米国は失業率も低く、景気は拡大していると見る人が多い。実際、米国の株式市場は2008年のリーマン・ショック直前の対GDP比180.79%を上回り、181.59%まで上昇している。その一方で、世界の総債務はさらに増えて、現在では237兆ドルにもなってしまった。米国の経済にしても、ベン・バーナンキBen Bernanke元米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、トランプ大統領の1兆5000億ドル(165兆円)の個人・法人減税と3000億ドルの歳出拡大は「今年と来年に米経済に多大な影響を及ぼすが、2020年には『ワイリー・コヨーテ』が崖から落ちるような状況になる」と語ったと経済情報のブルームバーグが伝えている。(『ワイリー・コヨーテ』は執念深いが、臆病でもある漫画に登場する動物のコヨーテで、獲物を捕らえようとして、しばしば崖から転落してしまう。)また、英国のIG Gruopのインタビューで、Legendary investor伝説の投資家として紹介されたジム・ロジャーズ氏が「たくさんの人が破産してインドの銀行の中には破綻したところもある。アルゼンチンも破綻したから、もう始まっているのかもしれない。私が知る限りのことから言えば(人生最悪の危機は)来年ぐらいに起こるだろう。」と語っている。氏は以前から、2008年のリーマン・ショックはアイスランドなどから表面化し始めたと言って来た。今回はアイスランドがアルゼンチンに代わったかも知れないと考えているようだ。1990年代以後、世界の先進国では金融危機のたびに、巨大金融機関を救済し、その代償として、巨大な政府債務を抱えることになった。2008年の経済危機の煽りをまともに受けて破綻したアイスランドは、もともと英国やオランダの支配を受けた小さな島国で、現在人口はわずか33万人ほどだ。漁業中心の貧しい国であったが、戦後、恵まれた温泉を利用した観光で栄えるようになり、1990年代には金融の自由化に積極的に取り組み、3大銀行を中心に、高金利預金で英国やオランダの企業や個人を取り込み、その資金で南欧や東欧の不動産、高利回りの米国の債券などに投資した。しかし、リーマン・ショックで、それらの大銀行は巨大な負債を抱えてしまい、英国やオランダは返済を強く主張した。アイスランドが他の国と違ったところは、国民投票を行い、大銀行の責任を追及し、政府が大銀行を救済しなかったことだ。むしろ経済を主導した政治家や銀行関係者多数を刑事告発して、責任を追求した。このことが後にアイスランドの早期の回復をもたらした。今ではアイスランドの国民一人当たりの所得は世界6位に回復している。いずれ世界は大恐慌を迎えるが、その時、政府にも中央銀行にももはやなす術は残されていないだろうが、仮にあったにしろ、今回はアイスランドに倣って、しっかりと責任を追求し、金融機関の政府救済はやめるべきだ。
雪の下

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