釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

世界で孤立する日本のメディアと政府

2015-09-07 19:12:56 | 経済
今年7月から8月にかけて中国の株式が暴落し、その影響が世界へ波及している。そんな中でトルコの首都アンカラで行われた20カ国・地域(G20) 財務相・中央銀行総裁会議の後、5日、出席していた麻生太郎財務大臣は中国当局の対応を「普通の国ではないような市場介入だった」として、金融政策の透明性を求めて批判した。しかし、米国の経済・金融情報通信社のブルームバーグBloombergは『Japan Isolated on China as G-20 Embraces Zhou's Yuan Plan(日本は中国批判で孤立-G20、人民銀総裁の説明歓迎)』として、日本のメディアの論調とは異なり、日本だけが他のG20諸国・地域とは異なり、孤立していると報じ、さらにロイター通信はドイツのショイブレ財務相が「中国の経済成長鈍化について神経質になる必要はないとの見解でG20が一致したことを明らかにした。」と報じている。ブルームバーグの記事ではサウジアラビア通貨庁(中央銀行に相当)のファハド・ムバラク総裁が中国の問題が誇張されていると指摘し、「われわれは中国が改革の道を歩んでいると確信している」と述べたことも報じている。こうした経済についても日本のメディアは政府の考えの垂れ流しで、世界の見方とは日本のメディア自体が「孤立」してしまっている。政治も経済も日本のメディアに頼っていると、とんでもないないことになる。中国は2010年にGDPで日本を追い越し世界第2位となったが、2014年にはすでに購買力平価で見たGDPは米国を追い越し、世界一となっている。中国は1980年以来高度成長を続け、30年間平均成長率が10%にもなっていたが、2012年に7%台となり、本年は6%台と予想されている。こうした経過はまさに日本が辿って来た道であり、1956年から1973年までの日本は実質平均成長率は9%であったが、以後1990年までは4%まで下がったのだ。「ミスター円」で知られる元財務省官僚の榊原英資青山学院大学教授は中国は「1人当たりのGDPでは、2014年に7589ドルと世界で80位。日本の5分の1、アメリカの7分の1程度にしかすぎない。まだまだ成長する余地がある」と言われている。そして、「日中関係は政治的には微妙だが、経済面では中国はアメリカと並ぶ日本の最大のパートナーだ。中国経済がどう推移するかは日本経済に大きな影響をもたらす。その意味で中国との協調関係は日本にとって最大課題の一つだ。」とされる。また、「中国の財政収支はアメリカや日本に比べて良好だ。2014年には対GDP比で1.14%の赤字。アメリカの約5分の1、日本の約7分の1だ。財政政策活用の余地はまだ十分にあるといえるのだろう。」と言われ、金融に加え財政による経済の安定化に向かうだろうと述べている。むしろ、異常な金融緩和で株式を釣り上げて来た日米の資産バブルの方が問題があるだろう。日米ともに実体経済以上に株価が上がっており、特に日本は米国よりもその傾向が強い。中国は投資が過熱して、そのため今回株価の暴落が起きた。外国投資家は一斉に中国から投資資金を引き上げた。その資金がまた日米の株式にも回されるだろう。それもあって日本の株はしばらくは不安定にはなるだろう。しかし、いずれ日米共に株価は実体経済に合わせるように調整せざるを得ず、自国発の株価の暴落に見舞われる時が必ずやって来る。その時に果たして政府には金融と財政にそれを支えるだけの余力が残っているだろうか。

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