釜石の日々

一年の終わりに

いよいよ今年最後の日を迎えた。昨夜降った雪がうっすらと白く周囲を染めている。今朝は晴れているのですぐ融けるだろう。自然と人の心と文化が豊かな釜石は都会から離れているため影響がほとんど感じられないが、今や勤労者の4分の1が年収200万以下であり、年収が勤労者平均以下が6割を占める。OECD(経済協力開発機構)調査では相対的貧困率が何と米国に次いで2位なのだ。もはや米国や日本は先進国などとは言えない。1991年のバブル崩壊後日本の経済が低迷し2002年から大企業中心に景気回復が始まったが2001年に成立した小泉内閣は米国の年次要望書通りに竹中平蔵が主導する新自由主義、市場原理主義に則って所謂構造改革なるものを推進した。財界も経団連が中心に竹中平蔵の主導に同調して新自由主義、市場原理主義を国内に蔓延させた。行き過ぎた市場主義、自由主義は1929年の世界恐慌の反省をすっかり忘れて我が世の春を謳歌するかに見えたが歴史を忘れたものには必ず歴史が繰り返される。昨年からの米国のサブプライムローンの破綻に始まった世界規模の経済危機は今年に入り当然日本へも波及し、内部留保を溜め込んでいるにもかかわらず経済原則を無視して相変わらず市場原理主義を反省しないまま大企業は勇んで次々に首切りに走った。米国は来年初めの次期大統領が70兆円規模の景気対策を投じ、300万人の雇用創出を図る。しかしそれすら十分な対策とは言えない。来年は米国の債務がさらに巨額である事実が明らかになるだろう。ドルの崩壊も現実化する。すでにアラブの産油国はその方向に動いている。日本は百年に一度の危機と言いながらわずか2兆円の景気対策で、政治は日本の経済状況より政権争いに興じている。報道も首切りや倒産した中小企業の実態よりも政局や消費税増税に熱心で、政界・財界・報道いずれもが経済の深刻さに背を向けている。来年から再来年にかけて百年に一度の危機の意味がはっきりして来るだろう。しかし対策はそれからでは遅過ぎる。残念ながら今の日本の状況からはいい年は期待できないだろう。



早くも1輪だけ咲いた椿
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