釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

「債務の海」

2019-07-12 19:15:05 | 経済
今日は朝から小雨が降り続いた。庭では百合の蕾が膨らんで来ている。残念ながら、今年は蓮の育ちが良くない。すでに蕾が見えていなければならない時期なのに、その蕾を見ることが出来ない。小雨の中でも近くからウグイスの声が聴こえた。雨の中で紫陽花が本格的に咲いて来ている。今日の小雨は山背ではなく低気圧のせいのようだ。最高気温は21度で、やはりまだ長袖だ。6月に45度にもなった欧州では7月には一転して気温4度と言う冷夏になっており、まさに異常気象のようだ。日本も冷夏の可能性があるようだ。米国の豪雨といい、作物の被害が大きい。 一昨日に続いて、昨日も米国の下院で、銀行委員会の公聴会に出席した、中央銀行FRBのパウエル議長は、利下げの余地があることを示唆したため、米国の株式市場は2日続いて最高値を更新した。株式バブルは限界近くまで膨らんでいる。あり得ないほどの超低金利で、国債や社債の価格も高騰し、やはり世界中で債券バブルにもなっている。投資会社DoubleLine CapitalのCEO(最高経営責任者)で、債券王と称されるジェフリー・ガンドラック氏は、今年1月にすでに米国経済は「「債務の海」に浮かんでいる」と警告していた。氏は、これまでの金融危機の直前に、米国国債の金利が、3ヶ月もの(短期)と10年もの(長期)で、変化することが兆候となると言っていた。経済が良好な時には短期の金利が低く、長期の金利が高い。しかし、経済が不調になってくると、次第に長期金利が下がって来て、やがて短期金利よりもさらに下がる長短金利逆転が生じる。その後、再び長期金利が上昇し始め、長期金利が短期金利より再び高くなった時に、市場の暴落が起きる。昨夜の米国国債金利で、下がっていた長期金利が上昇し、ちょうど短期金利と並び、今日の日中では、わずかに長期金利が上回る位置に上昇している。氏の考えに従えば、市場暴落が迫っているかも知れない。コメルツ銀行との合併に失敗し、2万人近くの人員削減をせざるを得なくなったドイツ銀行の株価は、2009年には70ユーロ近くであったが、今ではその10分の1まで下がってしまっている。人員削減の経費だけで、この先5年は赤字となると言われている。帳簿記載が義務付けられていないデリバティブと呼ばれている金融商品の保有が50兆ドルとも75兆ドルとも言われている。このデリバティブも世界的にバブル状態であり、1500兆ドルとも言われる。帳簿記載がないため、誰も正確な数字を把握出来ない。リーマン・ショック時に、政府資金の注入を受けて救済された米国のシティ・バンクやJPモルガンなども50兆ドルのデリバティブを保有すると言われる。デリバティブの脅威は、破綻が起きるまでは、どこに連鎖して行くか分からないところにある。仮に世界のデリバティブの1%でも破綻すれば、それだけでリーマン・ショック時の2倍の規模となる。世界の投資銀行はリーマン・ショック時の痛みをすっかり忘れて、その当時をはるかに超えるデリバティブを拡大させている。主要国の中央銀行はリーマンショック後、本来は一時的な急場凌ぎであるはずの金融緩和を延々と続けて来た。金融緩和とは紙幣の増刷である。増刷された紙幣は、家計や実体経済へは流れず、金融市場に流れ込んだ。その一方で、実体経済が低迷し、各国政府は国費を投じ、債務が膨大に積み上がった。金融市場へ流れ込んだ紙幣も、全ては市中金融機関を通じて貸し出された債務であったり、社債として発行された債務である。債務の主体が国ごとに異なるだけで、「債務の海」に浮かんだ状態には変わりがない。大波に飲まれるのは、さほど遠くはないようだ。
菊芋擬(きくいももどき)

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