釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

巨大な経済津波の可能性

2017-04-12 19:13:41 | 経済
米国は2016年度末で見ると、政府債務は20兆ドルであり、対外債務は32.0兆ドル(対外資産23.9兆ドル)で、いわゆる双子の赤字を抱えている。米国の国債の半分以上は海外に買ってもらわねばならない。裏付けがなく、輪転機を回すだけのドルは印刷すればするほど価値を失うが、貯蓄率が低く、対外債務が常に巨大な米国はそれを返済するあてもない。1985年にはプラザ合意で、当時の債権国であるドイツと日本にドルの切り下げを飲ませた。この時を契機にドイツはドルから距離を置くことを考え始め、後のEUとEUの通貨であるユーロにたどり着いた。しかし、対米従属一辺倒の日本は一切ドルと離れることはしなかった。敗戦国であるドイツも日本も敗戦時に中央銀行が保有していた金(きん)を米国に取り上げられ、米国預かりとなったが、ドイツはその金の返還を米国に求めている。日本はそれすらも行なっていない。海外に膨大な借金をしている米国は、今後も返済のあてはない。そのため、債務不履行、デフォルトを避けるために再びドルの切り下げを行う可能性がある。ドルを半分に切り下げれば、債務も半分になる。一方、政府債務のみが問題である日本は、国内で借金をしている。国民の多くは国民から政府が借金をしているのだから、財政破綻をすることはないと信じている。しかし、残念ながら、日本は現状と同じことをかって経験している。戦時国債を発行して、国民にそれを買ってもらうために、1941年、政府は大政翼賛会を通じて、『隣組読本 戦費と国債』を発行した。そこには「(1)国債がこんなに激増して、財政が破綻する心配はないか。 国債が沢山殖えても全部国民が消化する限り、すこしも心配は無いのです。国債は国家の借金、つまり国民全体の借金ですが、同時に国民が其の貸手でありますから、国が利子を支払ってもそのお金が国の外に出て行く訳ではなく国内に広く国民の懐に入って行くのです。」と書かれてあった。にもかかわらず、戦後、借金を返せなくなった政府は預金封鎖(新円切り替えとセット)と財産税(最高税率90%)、ハイパーインフレにより、実質的に借金を踏み倒している。以前、NHKが報じたように、すでに現在の財務省はこの時の事態を研究している。官僚たちは前例をいつも重んじる。日本銀行の黒田総裁は2015年2月の経済財政諮問会議で「日本国債はもうダメかもしれない」と発言したが、議事録から消された。日本銀行が国債を買い取り続け、超低金利を維持することで、政府債務を軽減し続けているが、どこかでそれを止めざるを得なくなる。先進諸国はいずれも政府か民間に同じような巨大債務を抱えているために、中央銀行がやはり同じく金融緩和を続けて来た。これが可能であったのは紙幣がただ印刷するだけの紙切れでしかなかったからだ。いずれ世界を巨大な経済津波が襲うかも知れない。
雪割草


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