釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

手の打ちようがない国力低下

2022-12-15 19:11:10 | 社会
今日のブルームバーグは、「11月の貿易収支は2兆274億円の赤字、年間で過去最大が確実に」を報じた。日本は加工貿易によって高度経済成長を成し遂げ、世界第2の経済大国となった。しかし、企業は慢心し、政府も教育や研究・開発への支援を怠り、貿易大国はすっかり様変わりしてしまった。10月20日のロイターは、「コラム:貿易赤字は年間20兆円ペース、放置すれば日本版「双子の赤字」も」を報じている。「国際収支も今年7、8月に季節調整済みで2カ月連続の赤字に沈んでおり、国際収支の先行きにも「黄信号」が点灯し始めている。」とある。物の貿易だけでなく、海外投資などの資金投資でも赤字となって来ており、米国同様に「双子の赤字」の様相を呈して来ている。米国は、とりあえず基軸通貨であるため、ドルが守られているが、日本は「双子の赤字」となると「円」が大暴落する危険性がある。日本はもはやかっての経済大国ではない。実質的な経済力を示す購買力平価で見れば、日本はすでにインドにも抜かれて、世界第5位の経済力しかない。 OECD経済協力開発機構が発表する加盟国38カ国の平均賃金では、日本は24位で、隣国韓国は20位である。日本の平均賃金は米国の3/5以下で、韓国より少ない。企業の株式時価総額で1989年には、世界で50位以内に日本企業が32社入っていた。1位から5位まで全て日本企業であった。しかし、今年11月末では、50位以内にトヨタ自動車だけとなった。今月13日、東洋経済ONLINEは、「平均年収で「毎月10万円の赤字」何もできない日々、団塊世代も気付いた「子が貧しくて孫ができない」」を、14日には現代ビジネスが、「日本の“購買力”は「57ヵ国中33位」…「低所得・低物価・低金利・低成長」に苦しむこの国の「厳しすぎる現実」」をそれぞれ載せている。10日のMONEY VOICEでは、「もう自動車依存経済は限界。40年も次のトップ産業が育たず、EV出遅れで家電の二の舞に」で、「昨年2021年の平均給与は年間443万円でしたが、20年前の2001年では454万円、25年前の1996年では460万円となっています。」、「日本経済をリードする自動車産業を失うことは、4番打者が元気のない巨人のようなもので、Bクラス転落を強いられます。新たな4番打者を育てるか、コスト競争に対抗できる技術を持って自動車で勝負するか、選択が求められます。」とある。2020年1月1日の文藝春秋digitalでは、「清華大学が最先端分野で世界一になった理由」を一橋大学野口悠紀雄名誉教授が書いている。「コンピュータサイエンスにおける大学のランキングを、『U.S. News & World Report』 誌が作成しています(Best Global Universities for Computer Science)」、「コンピュータサイエンスの教育分野で、中国はすでにアメリカの大学を抜いてしまったわけです。 なお、日本のトップである東京大学は、世界のランキングは134位です。」とあり、今後の産業発展の根幹ともなるコンピュータサイエンスでも日本は遥かに劣化してしまっている。先月28日、官房長官は、今年の9月までの出生数が調査開始以来、最も少なかった去年を下回っているため、「危機的状況である」と述べた。2月25日の毎日新聞は、「21年の死者数145万人 2年ぶり増、戦後最多 出生数は最少更新」を報じていた。今年の死者数はさらに上回り、出生数はさらに少なくなる。人口減少が急速に加速しているのだ。2019年1月7日のMAG2NEWSは、「国がなくなる。少子化で国防すら意味をなさなくなる亡国日本」を載せている。政府は軍備費を2倍にしようとしているが、軍備費が2倍になると軍備費では中国についで世界第3位となる。人口・産業・研究・所得が全て劣化している中で、軍備費を拡大して、何をも守ると言うのだろう。首相は軍備費拡大の財源に増税を考え、「国民が自らの責任として対応すべき」と発言したが、最も責任を取らないのが政治家であり、誰も同意しないだろう。日本の国会議員の収入は欧米議員の2倍以上を得ている。国民の所得は30年間減り続けて来た。4月5日、ニッセイ基礎研究所は、「国民負担率は過去最高を更新-高齢化を背景に、今後もさらに上昇するか?」をサイトに載せた。「国民所得をベースとする国民負担率の、2020年度の実績は、47.9%だった。2019年度から3.5ポイント上昇して、過去最高を大幅に更新した。前年度からの上昇幅も、同指標の推移が公表されている1970年度以降で最も大きかった。」とある。中国やロシアへの経済制裁のためにエネルギーはじめ物価が上昇しており、自ずから消費税負担もさらに増えて行く。ニッセイ基礎研究所は、よく言われるように欧州より負担は少ないと書いているが、欧州の高負担は教育や社会福祉関係で日本より遥かに国民の負担が少ないことを無視している。スウェーデンは56.4%だが、スウェーデンでは大学まで教育費は無料であり、転職のための職業訓練も無料で受けられる。年金も充実し、老後も保障される。昨日のPRESIDENT Onlineでは、元米国モルガン銀行東京支店長で、参議院議員でもあった藤巻健史氏の「まもなく日本円は紙くず化する…この半年で5兆円超の資産価値を失った日本銀行が債務超過で潰れる日 」を載せている。過去30年間、日本の政治は、少子高齢化の放置、非正規雇用の拡大による所得低下放置、教育・研究への公的負担削減、新産業への投資の無視などで国力の低下を自ら招いて来た。しかも、その間、政府債務を積み上げるばかりであった。国を守るとは、国民の生活を守ることであり、国民の生活を破壊しておいて、軍備で何を守ると言うのだろうか。歴史は軍備は国民を守るのではなく、国民を死に追いやることでしかなかったことを教えている。太平洋戦争での兵士の死者は230万人とされるが、その8割は餓死である。国内・国外の民間人は80万人以上亡くなっている。税金からの年間収入4500万円の国会議員は長く勤めれば富裕層の仲間入りとなると言われる。引退時には子供に地盤や事務所を継がせ、相続税は課されない。国民の感覚から遊離し、国政ではなく酷政を行っている。宗教は心の平安をもたらすが、与党2党が関わる宗教は国民の心に不安をもたらしているだけであり、与党はただ日本の国力を削いだだけである。残念ながら、日本はもう引き返してもどうにもならないところまで来てしまっている。特に政府債務は限界が近い。遠からず国民は悲惨な生活に追い込まれるだろう。そして、そこから再び立ち上がれるかどうか。高齢化と出生率の低下はそれも難しくするかも知れない。mRNAワクチンが若年者の精巣や卵巣に大きなダメージを与えてもいる。7日の日本経済新聞、「ヒトの精子の減少加速 70年代から6割減、打つ手見えず」の報もある。

オオバン