釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

祭り

2010-09-11 12:25:16 | 文化
岩手では9月から10月にかけて県内各地で祭りが行われる。釜石の祭りは来月だ。内陸は鹿踊(ししおどり)で、沿岸部は虎舞(とらまい)だ。いずれも動物が主役。元来こうした素朴な動物が主役となる祭りは歴史的にはかなり遡ることが多いが、鹿踊などは剣舞になっているところを見ると、江戸時代の影響、南部藩の武士たちの影響が強く反映されているように思う。日本鹿はこの岩手が北限で古くから棲息していたと思われるが、虎は大陸と繋がっていた時代でもなければまず棲息していない。そのいない虎を舞うと言うのは、かって沿岸部で大陸との密貿易が行われ、そのために大陸の文化として伝承された可能性もあるというが、それが事実であれば、日本海沿岸にも虎舞が伝承されているはずなのだが。虎の衣装や舞いは異なるが中部や西日本でも虎舞がある。ただ岩手の虎舞は基本的に漁師の祭りだ。そして内陸の鹿踊は農民の祭りになっている。かっては農民の日常の中に鹿も溶け込んでいたはずだ。言ってみればアイヌと熊の関係が岩手では農民と鹿の関係として古くから維持されて来たのだろうと思う。祭りには人々の生活の歴史がしみ込んでおり、共同体の維持が不可欠だ。その共同体の崩壊とともに失われて行く祭りも多い。

色合いに変化が出ては来ているが未だに咲き続ける庭の柏葉紫陽花