こころのたね

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『流れ星が消えないうちに』

2010-05-16 21:22:55 | 

橋本紡さんの『流れ星が消えないうちに』を読みました



あらすじ

悲しみはどうしたら消えるのだろう。優しさはどうしたら届くのだろう。
忘れない、忘れられない。あの笑顔を。一緒に過ごした時間の輝きを。
そして流れ星にかけた願いを――。

高校で出会った、加地君と巧君と奈緒子。
けれど突然の事故が、恋人同士だった奈緒子と加地君を、永遠に引き離しました。
加地君の思い出を抱きしめて離さない奈緒子に、巧君はそっと手を差し伸べるけれど……。
玄関でしか眠れなくなった奈緒子の元に、父親が家出してきて、物語は動き始めます。

悲しみの果てで向かい合う心と心。
そこで変わっていくもの、新たに生まれるもの、残るもの・・・
目を背けてきたものと真摯に向き合おうとする人たちの、せつなく優しい物語。



                                   

亡くなってしまった加地君は、奈緒子の恋人であり、巧君の親友でした。
加地君を思い出す奈緒子は、とても痛々しかったです
加地君を思い出す巧君は、温かかったからこそせつなかったです
大切な人の死を受け止めきれず、触れずに放置したまま、いびつに重なり合っていた二人の心。
お互いのために、未来のために、二人は少しずつ加地君の思い出と、自分の心と向き合おうとします。
巧君が決めた覚悟、奈緒子が選んだ答え。
深く考えさせられました

                                   



心に残ったところ

「ここでしか見えない牡羊座流星群です。
 昼間なので見えなくても、本当はこんなに美しい光景があるんです。
 たとえ見えなくても、こんなふうに美しいって、僕はちゃんと知ってます」


「人間ってさ、川嶋が言うように、誰かに頼らないと生きられないんだよな。
 俺もちゃんとわかってんだ、そういうの。
 だけど、ひとりで生きられるようにならなきゃいけないとも思ってる。
 でないと、結局、ただもたれ合うだけになっちまうだろう。それじゃ駄目なんだ。
 ちゃんとひとりで立てる人間同士が、それをわかった上でもたれ合うからこそ、意味が生まれるんだ」


人というのは、変わらないように思えて、ちょっとずつ変わっていく。
ただ生きていくというそのことが、無為に過ぎていくかのような一日一日が、
けれど確かになにかを変えていくのだ。


不幸なんて、いくらでもある。珍しくもなんともない。
けれど、ありふれているからといって、平気でやりすごせるかといえば、そんなわけはないのだ。
じたばたする。泣きもする。喚きもする。
それでもいつか、やがて、ゆっくりと、わたしたちは現実を受け入れていく。
そしてそこを土台として、次のなにかを探す。
探すという行為自体が、希望になる。
とにかく、終わりが来るそのときまで、わたしたちは生きていくしかないのだ。