2月10日に、『僕と妻の1778の物語』を観ました
SF作家の眉村卓さんと2002年に癌で逝去した夫人との実話を基に映画化した作品です。
ずいぶん遅くなりましたが、感想を書き残しておきたいと思います
あらすじ
SF作家の朔太郎=サク(草剛さん)と銀行員に勤める節子(竹内結子さん)は、初デートから16年経った今でも仲睦まじい元同級生の夫婦。
周囲から見ると少々変わっているサクを節子は誰よりも理解し、誇りに思っていた。
ある日、節子は不意に腹痛をおぼえる。
妊娠しているのかもしれないと病院を訪れた節子は、直ちに手術を受けることに。
病院に駆けつけたサクは、外科医の松下(大杉漣さん)から、節子が大腸癌に冒されていると聞かされる。
余命はあと1年――。
宣告を受けたサクは、事実を節子には隠し、抗がん剤治療を始めることになった節子に「必ず治る」と笑顔で告げた。
退院後、節子を手助けしようと家事に挑戦するが、失敗ばかりのサク。
「僕に何ができるだろう?」と考え始めた彼は、退院する時の松下先生の言葉を思い出す。
「楽しい時間を持ってください。笑うことで免疫力が上がることがあるそうです」。
節子を失いたくないサクは、がん細胞を撃退できるような、笑える小説を書こうと決意。
毎日必ず1編、原稿用紙3枚以上の短編を書き、節子を毎日笑わせることにする。
こうして、世界でたったひとりの読者のために1日1話を書き綴る日々が始まった。
小説を読んで笑う節子に、その笑顔を見ることで、彼自身も心からの幸福を感じていく。
余命を告げられてから1年。宣告が現実になることはなかった。
しかし2年、3年と経つにつれ、節子の容態は少しずつ確実に悪化していく。
サクが書き続ける物語は、いつか終わりを迎えるのだろうか?
日に日に体力を奪われながらも、懸命に生きようとする節子の想いとは?
そして、物語が1778話に達した時、サクはどんな恋愛小説もかなわない愛の言葉を綴ることになる・・・。
印象深い台詞
【節子の治療費の捻出の仕方で、言い合いになって・・・】
「私、いないほうがよかったね!!」
「・・・二度とそんなことは言うな!!」
→好きな人が自分のせいで、本意ではないことをしなくてはいけない・・・節子の悲しみが少し分かる気がします。
もし自分が節子の立場だったら、やっぱり私も「私がおらんかったらよかった!!」と言ってしまうと思います。
でももし自分がサクの立場だったら、やっぱり私もサクのように、自分に出来ることならどんなことだってすると思います。
互いを大切に想うからこその2人の感情のぶつかり合いがせつなくて・・・
【どこかにパラレルワールドがあって、そこでは違う自分たちが子供を授かって幸せに暮らしているかも、という話の後に、ポツリと節子が・・・】
「でも、ここだって悪くないよ」
「うん、ここがいい」
→パラレルワールドの2人は、2人の理想・夢みていた姿。
現実の節子は、病気と戦っていて弱っていって・・・
それでも「悪くないよ」って、「ここがいい」って。
そう寄り添い合って微笑んだ2人に、涙が溢れました
【母親と2人になった時に、節子が泣きながら吐き出した弱音】
「でも、もう駄目みたい…」
→「これからもサクを見ていたい、サクと一緒にいたい、お母さんにもこれから親孝行しようと思ってたのに、孫の顔も見せられてないのに」
それまでほとんど弱音をはかなかった節子が、感情を溢れさせて、泣きながら言った言葉。
これからたくさんしたいことがある、それが叶わないと悟っていて・・・悲しくてたまりません
映画館で観てなかったら、私もせっちゃんと一緒にわんわん泣きたかったー
【亡くなる数日前に、衰弱しきった節子が目覚めてサクに伝えた言葉】
「あなたと一緒に生きられてよかった」
→本当に、命の灯火が消えようとしている時。節子もサクも、ボロボロの時。
それでもこの時の2人は、幸せそうでした。
誰よりも幸せそうな夫婦でした。
恥ずかしながら私は、この映画のタイトルをちゃんと覚えていなくて、
序盤から中盤まで「いくつの物語だっけ、1348・・・?うわぁ、もうすぐやん!?」なんて思いながら、
ひとりで内心ドキドキしてしまいました・・・アホですね(笑)
サクと節子は、本当に素敵な夫婦で、見ていて幸せな気分になれました
お互いに大好きで、お互いに補い合って、穏やかに、楽しく。
こんな家庭を持てたらな・・・と思えるような夫婦に、突然襲った不幸。
少しずつ、だんだん弱っていく節子の姿が、とても辛かったです
それでも節子はサクのために、サクは節子のために。
私は節子に感情移入しながら、観ていました。
結末がわかっていて、そこに向かって進んでゆく映画。
たくさんたくさん、4・5回は泣きましたが、最後は不思議と涙が出ませんでした。
“大切な人と観てください”
というメッセージが、ポスターにありました。
はい、確かに
隣にいるこの人を大切にしよう、隣にいるこの人との日々を愛していこう。
観終わったあと、きっと多くの人が、改めてそう思えるのではないでしょうか
一緒にいてくれることは、あたりまえじゃないよ。
一緒に過ごせる時間は、宝物になるんだよ。
かけがえのないことを、そっと教えてくれる映画でした