面河山岳博物館へようこそ!

石鎚山系と久万高原の自然、博物館の活動などを紹介するブログ

面河渓の草花

2010-05-02 16:06:08 | 自然

五色河原に向かう車道沿いでトリガタハンショウヅルの花が咲いていました(写真)。
愛媛県レッドデータブックでは絶滅危惧IB類に指定されている珍しい種で、なんでもないような林縁に生えています。
しかし、大規模な人工林化や林道改修などにより県内でその姿を見るのは稀なようです。

トリガタハンショウヅルに限らず、面河渓には珍しい草花が生息していますが、その大部分は車道や遊歩道より更に奥に入った場所でなければ見ることはできません。
人が通る場所や入りやすい場所では、個体数の多いスミレ類やギンバイソウ、マルバフユイチゴなどが見られるぐらいです。
道沿いの乾燥化や人による踏みつけが原因のひとつと考えられますが、盗掘もいくらかは影響していると想像できます。
面河渓ではテンナンショウの仲間を3種見ることができますが(シコク、オモゴ、ユキモチ)、姿のかわいいユキモチソウは花期(4月下旬~5月上旬)に見つかれば、高確率で盗られてしまいます。
遊歩道沿いで咲いているのを見つけても、その数日後にはごっそり掘り返されている・・・そんな現場を何度も見てきました。

面河渓が名勝に指定されてから今年で77年目を迎えます。
その間、私たちはこの豊かな自然から多くの恵みを受け取ってきました。
その代償に面河渓は随分と姿を変えていったことでしょう。
これからどのようにこの自然と付き合っていくか、博物館は科学的な視点から考えていきたいと思っています。

現在、どんな草花や昆虫、哺乳類、鳥類がいるのか?過去はどうだったのか?
このような基礎的データを残すことによって、初めて「どう利用するか」を考えることができるのです。

Torigata