■門前薬局KOZOH■

管理人は某クリニック門前薬局の事務15年め。
『門前の小僧』のしったかぶり日記です。2009年登録販売者資格取得。

東奔西走(土曜日編)

2010-09-29 | 管理人の日記

(´-人-`) ナニゴトも起こりませんように(祈)

の願い虚しく、最悪の週明けだった。

土曜日に「とある患者の、とあるクレーム」の話をチラっと書いたけれど

( `д´)ケッ!プライバシーなんてク(ピー)くらえや

というわけで、今回のクレーム処理の流れ大まかに暴露。

●土曜日午前● Yさんのご家族が眼科の処方箋を持って来局。

内服:A錠(緑)、B錠(白)、Cカプセル(オレンジ)、ともに分3食後に1錠ずつ。
目薬:D点眼液(ピンク)、E点眼液(緑)、ともに1日4~5回両眼点眼。

前回までF錠(赤色)だったのが、今回からCカプセル(オレンジ色)になった。
目薬は前回まではD点眼液だったものが、今回からE点眼液が増えた。

※もちろん本人受診のうえでの処方変更。

●土曜日14時● Yさん本人からTEL。

「内服の飲み方が分からない」

「点眼液のさし方が分からない」

と、お怒り。「あの、お薬の袋にも書いてあります通り・・・」と説明を始めようとすると

「書いてある文字が見えない」

(コッチはなぁ、目ぇ悪いから眼科に行ってるんや!の怒声付き)

飲み薬は色も大きさも全然違いますよね。ソレを1つずつ・・・」

「全部混ざってしまって、わからない」

※これは後に判明するが、Yさんは通常10錠1ヒートの薬を1錠ずつ
ハサミでブッチブチに切り分けていた。それを種類もなにもかも無視で
レジ袋に入れて「おみくじ」のようにザッと手を入れて、そのとき手に
触れた(掴んだ)ものを飲んでいた模様。
(※誤飲防止、重複服用防止のため、ヨイコは絶対に真似しないでください

↑という事情はこの時点ではわからなかったが、薬歴のSOAPを読むと

「10月免許更新、視力回復希望」

と書いてある。今回の薬も内服外用ともにALLビタミンB!という処方。

「だいたい、ワシは赤い、大きい字ぃしか見えへんのや!」と

怒り狂っているYさんには直接ツッコむ勇気はなかったが

免許更新しようと思えるくらい見えとーやん!

赤しか見えへんのに運転したらアカンやろ!

もう、運転したらアカンやろ!!

それに「視力が落ちると、赤字が読みづらくなる」という“常識”からすると
赤字じゃないと見えないYさんは、かなり視力がイイということになる(笑)

しかし・・・困った。

この電話が土曜日の14時すぎ。
シャチョーも「じゃ、あとの戸締りはヨロシク」と言って5分ほど前に帰ってしまった。
YAJIMAさんは早退、オーサマは朝から支店ヘルプで、このYさんの存在すら知らない。
この電話を交代できる人が、いまココに誰もいないわけだ。

KOZOHも、相当考えた。

Yさんは「どうしてくれるねん」の一点張り。

ここで例えば「どうしてくれるねん、って言ってはりますけど・・・」と
オーサマやYAJIMAさんの携帯に電話をして訊ねたとして、

どんな答えが返ってくるだろうか。

Yさんは「見えない」「飲めない」「使えない」と言っている。

「じゃあ、無理して飲まなければいいんじゃないですか?

とか言えるわけないし。

(たとえオーサマでもソレは言わないと思う)

そうそう。このYさんは70歳ちょいすぎ。「老人」扱いするのはちょっと若い部類。

あの代理で薬を取りに来た方と暮らしているハズなのだけど
この時点ではYさんの“家庭の事情”がわからないので
「ご家族のかたに見てもらってください」というのも言えない気がした。

そもそも頼れる家族がいれば、こんな電話はしてこないと考えるのが普通だ。

そう、普通ならば。

それに、最大の難点は薬局からYさんちの距離。

ご近所なら「じゃあ、今からおうかがいしますね」とも言えるし、
元気そうなら「薬局に来てください」もアリだと思うのだけど、
このYさんの住所が単純に数えて4つも向こうの市で、混んでない道を選んで走っても

車で1時間半かかる。

今から行きます・・・って、着いたら夕方やん
(それに私、14時現在、空腹のピークなんですけど・・・)

さっき「最大の問題」と書いたけれどもう2つ“難点”がある。それは

こちらにミスがない、ということ。

もちろん「全然ない」とは言わない。YAJIMAさんは投薬時に代理の方に
新しい薬のことも説明をしたけれど「ご本人さんに直接指導していない、希望を聞いていない」
というのがミスだとするならば。

しかし代理に来させたとはいえ、受診しているのだからスグ近くには居たわけで、
なぜYさんはその場で「見えない」ことに気づけなかったのか。
代理のかたも事情を知っていたのならソレを薬剤師に伝えるべきだったんじゃないのか。

それも全ては、逆恨み(?)だよね。やっぱ。コッチは「商売」だもん

でもね、どうなんだろ。「目が見えない」から飲み方・使い方などわからない、
薬局がちゃんとしといてくれないと困る!と言われても、その事情を知ったのは「いま」だ。
見方を変えれば「周りに頼れる人間がいないから、来てくれ」とも取れてしまう。

そこは「薬局」の仕事なんだろうか。

あともうひとつは、自分で判断を下していいのか、ということ。

ホントに悩んだ。Yさんとの会話しながら。真剣に。

これもさっき書いたみたいに「YAJIMAさんやオーサマなら
どう応対するか」を考えていた。
車で1時間半もかかるところに住んでいるYさん、一包化することも
頭にはよぎってはいたけれど、飲むべき薬はもうYさんの手元にあるわけで、
その「サービス」をするために着払いで送って来いというのも、おかしい気がした。

そのまた逆に調剤ミスも会計ミスもないのに、「サービス」に対して
会社のお金を使っていいのかどうか。
「それはKOZOHさん(事務)の独断で決めていいことチャウで」と
あとから言われるような気もした。

だいたい、なんとなく想像はしてもらえてるかもしれないが、このYさん、

合いの手の挟めない文句の言い方

(しゃべりかた)をするために、こちらの提案どころか相槌も打てない状態だったのだ。

「どうしてくれるねん」「ですから・・」「デスカラとかどうでもええ。どうしてくれるねん」
「あの、ですからね・・」「もしもし?どうしてくれるん?」という言葉のラリー。

オーサマはいない、YAJIMAさんもいない。シャチョー・・・を巻き込む
ほどのクレームじゃない。やはり「ミス」じゃないと思ってるから。

「じゃあ、いまからおうかがいします」

結局、一度も電話を置くことなく返事をした。

「私では判断できません」とか先延ばしにしても、結局は月曜日
(しかもオーサマ有給休暇)に奔走しなければならないなら、動ける
土曜日に!と思った。
それに、Yさんの状況を知る必要もあった。「どうしてくれる?」は
結局「どう」してほしいのか。

少し道に迷ったこともあり、1時間40分後Yさんちに到着。

まぁ~~見事なほどにバラバラになった錠剤の「山」と対面
こんだけ細かい作業ができるのに「見えない」と主張するYさんが
憎ったらしいたらありゃしない。
行くにあたりいろんなグッズ(ユニパック、薬袋大中小サイズ、色ペン)を
持って行ってたのでそれを駆使しながら、まずはその「山」を仕分け。

1袋に1種類ずつ入れ、表書きには赤い大きな太字で

朝・昼・晩、1日3回食後、1個ずつ

と書き、ご本人さんにも納得してもらった。

目薬の説明も滞りなく。ややこしくなるというので本来の薬袋をやめて
全て透明のユニパックに入れ、やはり赤字で「同じ種類」とか「1日4~5回」とか書いた。
まだ前の薬がだいぶ残ってると言われたが、それこそややこしくなるので
今日もらった薬から飲み始めましょうと決めた。

事務職にしては「踏み込みすぎ」に見えるかもしれない。
でも今回の一件は「薬剤師」と「事務」の領域があって、
その円と円が交わったところの「仕事」だったような気もする。

感覚的には、

看護師さんが入院患者さんの

ウオノメを削ってあげる行為

に似てる気がしてた(違ったらごめんなさい)。

「ウオノメが痛いなら、歩かなければいーじゃん」とは言えない。
家族に削ってもらって、てゆーか自分で出来るっちゃー出来るでしょ?
と思ってても言えない。医療行為でもなく、小間遣いでもなく・・・

でもちょっぴりムカつく

みたいな仕事。そう、やっぱ仕事なんだよね。サービスじゃなくて。

で、1時間話したことで「スッキリした」と納得してくれたYさん。
土曜日の半休をまるまるぶっ潰し、お昼ごはんすら抜いて駆けつけた
甲斐があるってもんだ

ったのに!!

なぜかコレが「土曜日編」。

「東奔西走(月曜日編)」に続く・・・



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