第1章「一日3食しっかり食べる」「空腹の時間を作る」 どちらが長寿と健康をもたらすか”の 「❹アメリカの最新研究が証明。「空腹」こそが長寿と健康のカギだった」を要約します。
(4) アメリカの最新研究が証明。「空腹」こそが長寿と健康のカギだった
❶ アメリカの研究で明らかになった、「空腹」の効果
近年、アメリカの医学界では、空腹(断食)と健康に関する研究が盛んに勧められ、数多くの論文が発表されている。以前から、「カロリー摂取を控えることが、様々な病気を遠ざけ、長生きにつながる」ことはわかっていたが、これらの論文には、断食することが体重や体脂肪の減少につながること、そして、糖尿病、悪性腫瘍(がん)、心血管疾患(心筋梗塞や狭心症など)、神経変性疾患(アルツハイマー型認知症やパーキンソン病)などに予防効果があることが述べられている。
❷ 「空腹」「断食」のハードルは、それほど高くない
私の提唱する食事法は、いわゆる一般にいう「断食」とはだいぶ違う。なぜなら誰でも無理せず好きなものを食べながら、空腹がもたらす効果を享受できる方法である。できるだけ無理なく空腹の時間を作り、①胃腸や肝臓などを休ませてあげること。②脂肪を燃焼させ、減らすこと。③血液の状態を改善させること、が大事なのである。
❸ 睡眠時間8時間+8時間=半日断食で、効果を最大限に享受できる!
これまで、断食に関する論文を読み、さらに断食を実践し、効果を注意深く観察してきた。そして、たどりついたのが「16時間以上空腹の時間を作ると、最大の効果が得られる」という結論である。つまり、起きている時間の半分で半日の断食ができるのである。「16時間は長い」と思う人も、睡眠時間とうまく組み合わせるだけで、無理なく実行可能である。
❹ 「空腹」が人本来の生命力を引き出す。最近研究でわかった「オートファジー」という奇跡
最後に物を食べて10時間ほどたつと、肝臓に蓄えられた糖がなくなって脂肪が分解され、エネルギーとして使われるようになる。そして、16時間たつと、今度は体の中で「オートファジー」(古くなったり壊れたりした細胞内のタンパク質を集め、分解し、それをもとに新しいタンパク質を作ること)が機能始める。さらに、各細胞の中のミトコンドリアも新たに生まれ変わる。つまり、オートファジーとは、古くなった細胞を内側から新しく生まれ変わらせる仕組み。その結果、体にとって不要な物や老廃物が一掃され、細胞や組織、器官の機能が活性化し、病気になりにくく、若々しい体になれるのである。さらに、オートファジーには、細胞内に侵入した病原菌を分解・浄化する機能もある。
❺ 空腹が、細胞の生まれ代わりのスイッチになる
オートファジーは、体や細胞が強いストレスを受けた際にも生き残れるよう、体に組み込まれたシステムであり、細胞が飢餓状態になった時や低酸素状態になったときこそ、働きが活性化する。具体的には、最後に物を食べてから16時間ほど経過しなければ、オートファジーは活性化しない。なお、2016年に東京工業大学の大隅名誉教授が「オートファジーの研究」で、ノーベル生理学・医学賞を受賞している。オートファジーは、今世界中の注目を集めている。