水沢司法書士・行政書士事務所

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後見人の報酬(死後の事務)

2011年02月14日 | Weblog
後見人報酬は一体いくらなのかは、皆さん少なからず関心があるのではないでしょうか。
私は、他の後見人がいくらもらっているのか、とても関心があります。

今後、同業者や、これから職業後見人になろうとしている方々に、一つの参考として貰えればと思い、あえて私が受領した報酬額なんかも上げちゃおうと思います。

まあ、私が後見人になるための研修を受け始めた頃(H14頃か)は、
講師が、半年間で200~300万円、居住用不動産売却で100万円の報酬を受けたなんて話をしていましたが、そんな良い思いをしたことは今までありませんね。

月平均で、3万円を下るくらいじゃないでしょうか。
その額に、居住用不動産売却、債務整理、遺産分割をするとプラス5~20万円程か。

基本的に、財産が500万だろうが、3000万円だろうが、変わらないと思います。
まあ、裁判所支部によっても評価はまったく違うようです。


被後見人が死亡し、相続人が不存在の場合において、成年後見人であった者が相続財産管理人選任の申立をした件について、説明したいと思います。

今回の場合、相続人が不存在のため、
1.清算をして、いつでも財産を引き渡せる状態とし、
2.裁判所へ終了報告をした
3.登記所に終了登記の申請をした
4.その後、相続財産管理人選任申立をした
という流れです。


上記2の裁判所への終了報告の際に、報酬付与の申立をするわけですが、その際、報酬額に特に加味して欲しい案件として、
ア)葬儀、火葬の手配をし、
イ) 火葬場で骨上げをし(お骨を箸で拾うあれです)、
ウ) 永代供養を行う寺を探し、納骨した(自車でお骨を運んだ)
ことを上げ、

「相続財産管理人が選任され次第、現金などを引き渡す予定」
と記載して、報酬付与申立をしました。

ところで、この方の場合、11/5に11/1~10/31の報酬付与を申し立てたところ、20日後の11/25にお亡くなりになりました。

となると、
A 11/1~11/25までの通常業務
B 死亡による清算業務
C 死後の事務(上記ア~ウ)
の報酬が出ると考えますが、この報酬は、なんと94,500円でした。

それまでの報酬を月換算すると、月の平均報酬額は約25,000円。
単純に考えると、94,500円-25,000円=約7万円が上記BCの報酬として認められたことになります。
通常、就任時・終了時の報酬額は平時よりも高いものなので、
単純に考えると、Cの報酬はもっと低くなります。
ざっと見積もって、死後の事務報酬は2万円ほどか。

事務管理なのにその分の報酬を貰えたと評価するか、あまりにも低すぎると評価するか。

ちなみに、この方の最終的な財産は600万円でした。
特別縁故者もいませんから、財産管理人の報酬をさっ引いたそのほとんどが国庫に帰属することになります。


さて、問題は、相続財産管理人選任申立に関する報酬です。

後見終了報告時の報酬付与申立時に、「特に勘案してもらいたい事項」として、「相続財産管理人選任予定」と書くか、
管理人選任の申立後、利害関係人又は相続債権者として、申立書作成報酬を請求するか、

どうしようか考えましたが、結局私は後者の方法を選びました。

正直なところ、過去に後見人であった者が、相続財産管理人選任の申立をすることができるのか、よく分かりませんでした。利害関係人と呼べる存在か?

別に利害はないわな、と思い、とりあえず終了報告を出し、裁判所から申立を行うよう指示されたら申し立てよう。利害関係人というよりも、相続債権者(報酬債権)として申し立てた方が理にかなう。
と考えたのです。

ところが、半年近く経っても裁判所からは何も指示されず、600万円はこのまま持ち逃げできそうだな~、と思いつつも、悲しいかな申立書を作成し、申し立て。
資格は、利害関係人?相続債権者?

しかし申立自体は、利害関係人なのか相続債権者なのか、何の判断もなく受理されました。
利害関係人なのか相続債権者なのか分かりませんが・・・書記官に言いましたが、
書記官は、「あ~・・・財産管理人が選任されたら請求してみて下さい」と。

その後、財産管理人が選任されたので、それゆけっ、と「財産管理人から報酬を付与するよう許可して下さい」(とてもまわりくどい)、と上申書を提出したところ、、、、

裁判官の判断は、
「相続財産管理人が、後見人であった司法書士に、管理人選任申立報酬を支払うことは、相続財産管理人の権限外処分行為とは認めがたい」
というものでした。

つまり、「支払えね~よ、グズ野郎」ということです。


連絡頂いた書記官さんは平謝りされており、私も、そうですか残念です。
と簡単に終わった訳ですが、確認すべきことは確認しました。

1 死後の事務に対する報酬は認めている。
2 相続人不存在の場合、後見人であった者は、相続財産管理人選任の申立をしなければならない(法律上の利害関係人と判断される、ようだ)。
3 相続財産管理人選任申立の報酬も認めている。
しかしながら、終了報告時の報酬付与申立時に、「相続財産管理人選任申立予定である」と明記しなければ、申立に関する報酬は勘案されない、ということ。

「相続財産管理人が選任され次第、現金などを引き渡す予定」
では、報酬に勘案されないこと。当たり前っちゃあ当たり前ですが。

しかしながら、こちらとしては、1年に1回詳細な報告書を提出しています。
いちいち説明しなくても従前の記録を見て、相続人が不存在だから、こいつが管理人選任の申立をするんだろう、と分かってくれてるだろう、と思っていましたが、そういうことは一切ないようです。

報酬は、実際の業務内容より、説明書の書き方がものを言う。

当たり前と言えば当たり前ですか。
いちいち説明しなくても以前の記録を見て判断してくれるだろう、という考えは甘ちゃんでした。
今後は何よりも、報酬付与事情説明書にたましいを吹き込みます。

とまあ、こんな感じです。

ただ個人的感想ですが、後見業務は、稼げる仕事ではありませんが、やっておいて損はない、と思います。
後見業務をやっていると、その親族や福祉関係者、金融機関の方々、他士業の方、色々な人たちと繋がっていきます。

もちろん、後見人となっている間は様々な制約がありますが、被後見人が亡くなった後も関係が続いていくケースがあります。

そういった観点から見ると、後見も捨てたもんじゃない、と思います。
相続財産管理人選任申立報酬がなくったて、ぜんぜんかまいません。


ちなみに、本件とは関係ありませんが、

1 後見より保佐の方が、保佐より補助の方が、より報酬算定額は低い。
2 事件化した方が、報酬算定額は高い。

ようだ、ということをご存じでしょうか。
後見制度の崩壊かっ?!
これについては、後日説明しようかな~と思います。そのうち。機会があったら。