29兆9000億円、2015年度
「医療費の伸び鈍化」と厚労省
m3.com 2015年1月14日(水) 池田宏之(m3.com編集部)
政府は1月14日、2015年度の予算案を閣議決定した。厚生労働省関連の予算の総額は、29兆9146億円で2014年度から3.0%、8963億円の増額となった(2015年度から保育所運営費等1兆6977億円が内閣府に移管されることを考慮した金額)。医療費は11兆4891億円で、前年度から2.6%増えた。30兆円近い社会保障費を要求していた概算要求の時点では、社会保障費の自然増について、8174億円を見込んでいたが、2400億円程度圧縮された。理由の一因として厚労省大臣官房会計課長の橋本泰宏氏は「医療費の伸びが鈍化している」との認識を示した。
社会保障の充実に向けては、消費税率10%にした際の増収を14兆円、消費増税の先送りで2015年度は8.2兆円と試算した上で、1.36兆円が充てられる。うち安倍政権が力を入れる子ども・子育て支援については4844億円、医療と介護の充実分は合計で8410億円となっている。金額は、政策などの見直しで効率化できた金額分などは含まれていないという。
医療関連では、地域医療提供体制に向け2014年度に新設された「新たな財政支援制度」(新基金)は、医療について国庫負担分で602億円、地方分との合計で904億円となり、2014年度と同額を確保。介護提供体制整備に向けた基金は地方分との合計で724億円を確保した。
注目されるのは、介護報酬改定。今回の改定率は、マイナス2.27%で、9年ぶりの引き下げとなった(『医療の新基金、900億円確保、2014年度と同額 』を参照)。特別養護老人ホームなどをターゲットとした「収支状況などを反映した適正化等」ではマイナス4.48%が大きな要因。一方で、介護職員の処遇改善に使途を限定した上で、1051億円(うち国費531億円)が充てられた形となっている。さらに、新基金は、都道府県ごとにアイデアを集め、良いアイデアに資金を振り分ける仕組みで、事業者の意思で請求できる報酬とは別枠になっている。社会保障費の削減圧力が続く中、従来の報酬体系から外して資金を競争的にしたり、報酬体系の中でも、使途を限定することで、事業者の自由度をコントロールする流れがうかがえ、診療報酬も含め、医療提供体制への財政措置の議論も注目される。
社会保障費の自然増は今回2400億円程度が抑えられた形となった。理由について、橋本課長は「医療費の直近の伸びが鈍化している」との認識を示したほか、介護報酬がマイナス改定になったことなども含めて説明した 。 来年度以降については、厚労省は「高齢者人口動向や給付費動向見ながら検討していく」と説明し、自然増の動向の見通しには言及しなかった。
「医療費の伸び鈍化」と厚労省
m3.com 2015年1月14日(水) 池田宏之(m3.com編集部)
政府は1月14日、2015年度の予算案を閣議決定した。厚生労働省関連の予算の総額は、29兆9146億円で2014年度から3.0%、8963億円の増額となった(2015年度から保育所運営費等1兆6977億円が内閣府に移管されることを考慮した金額)。医療費は11兆4891億円で、前年度から2.6%増えた。30兆円近い社会保障費を要求していた概算要求の時点では、社会保障費の自然増について、8174億円を見込んでいたが、2400億円程度圧縮された。理由の一因として厚労省大臣官房会計課長の橋本泰宏氏は「医療費の伸びが鈍化している」との認識を示した。
社会保障の充実に向けては、消費税率10%にした際の増収を14兆円、消費増税の先送りで2015年度は8.2兆円と試算した上で、1.36兆円が充てられる。うち安倍政権が力を入れる子ども・子育て支援については4844億円、医療と介護の充実分は合計で8410億円となっている。金額は、政策などの見直しで効率化できた金額分などは含まれていないという。
医療関連では、地域医療提供体制に向け2014年度に新設された「新たな財政支援制度」(新基金)は、医療について国庫負担分で602億円、地方分との合計で904億円となり、2014年度と同額を確保。介護提供体制整備に向けた基金は地方分との合計で724億円を確保した。
注目されるのは、介護報酬改定。今回の改定率は、マイナス2.27%で、9年ぶりの引き下げとなった(『医療の新基金、900億円確保、2014年度と同額 』を参照)。特別養護老人ホームなどをターゲットとした「収支状況などを反映した適正化等」ではマイナス4.48%が大きな要因。一方で、介護職員の処遇改善に使途を限定した上で、1051億円(うち国費531億円)が充てられた形となっている。さらに、新基金は、都道府県ごとにアイデアを集め、良いアイデアに資金を振り分ける仕組みで、事業者の意思で請求できる報酬とは別枠になっている。社会保障費の削減圧力が続く中、従来の報酬体系から外して資金を競争的にしたり、報酬体系の中でも、使途を限定することで、事業者の自由度をコントロールする流れがうかがえ、診療報酬も含め、医療提供体制への財政措置の議論も注目される。
社会保障費の自然増は今回2400億円程度が抑えられた形となった。理由について、橋本課長は「医療費の直近の伸びが鈍化している」との認識を示したほか、介護報酬がマイナス改定になったことなども含めて説明した 。 来年度以降については、厚労省は「高齢者人口動向や給付費動向見ながら検討していく」と説明し、自然増の動向の見通しには言及しなかった。