モルモニズムの情報源、主要な主題を扱うサイト。目次を最新月1日に置きます。カテゴリー、本ブログ左下の検索も利用ください。
NJWindow(J)



  [左上使徒行伝 1:13で brother が斜字体]

 末日聖徒は欽定訳聖書(英文)を用いるが、欽定訳聖書は所々斜字体(italic)になっている。その意味について簡単に記してみたい。(以下、やや専門的。Facebook 「聖書を原語で学ぶ会」と二重掲載)

  斜字体が用いられている理由は、第一に言語の問題であって、原語のヘブライ語やギリシャ語になくても、英語では補わなければ読者が理解に困難または不自然さを感じることにある。第二に聖書の本文に欠損があるか、壊れていてそのままでは文をなさないか、文意が成り立たない場合、それを補うためである。

 1 言語の問題。

 ・創世 1:2  「闇が深淵の面にあり」; darkness was upon the face of the deep

 ・列王下5:21「平安(ですか)」「平安(です)」;”Is all well?” “All is well.”

 ヘブライ語は be 動詞がなく、翻訳に当たっては補わなければならない。ギリシャ語には be 動詞があるが、時折使われない場合がある。(例 ヨハネ 4:24 God is a Spirit.)。

  ・マルコ5:20 「人々は皆驚いた」; all men did marvel

  ・マルコ5:23 「どうか、お出でになって手を置いてやってください。」

         I pray thee, come and lay thy hands on her

これは説明文にあったのを、請願の言葉に移して自然な英語にしたものである。

 

2 本文の問題

 ・I ヨハネ 2:23b 「御子を告白する者は、御父を持っているのです」

    [but] he that acknowledgeth the Son hath the Father also.

  この節の前半「御子を否定する者は父を持たず」の部分だけでは、未完の感じを免れないため、後半を補ったもの。

 

  欽定訳聖書の斜字体など、些細な問題かもしれないが、ジョセフ・スミスはこの斜字体に注目して聖書の改訂を行なった形跡があり、現代の熱心な聖書研究者の中には、最近の聖書翻訳が斜字体を全く取り入れなくなり、原文と参照する手がかりが見えないため物足りないと残念がる人もいる。

 上にざっと斜字体使用の背景を記したが、実際は英語聖書における斜字体使用は一貫した原則に基づいているわけではなく、大変複雑で、歴史的に検証した詳細な研究がある。

・THE USE OF ITALICS IN ENGLISH VERSIONS OF THE NEW TESTAMENT,  WALTER F. SPECHT, Andrews University, Berrien Springs, Michigan, 1968.

・Thomas A. Wayment, "The Joseph Smith Translation and Italicized Words in the King James Version," in Religious Educator 6, no. 1 (2005): 51-64.   

 



コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )



« 「罪は赦され... 聖典研究(釈... »
 
コメント
 
 
 
日本語聖書で一番良いのは? (オムナイ)
2019-03-11 23:17:27
>ジョセフ・スミスはこの斜字体に注目して聖書の改訂

いつもながら興味深い記事です。

より正確な聖書翻訳は必要なのでしょうが、それでも個人的には、モルモン書との相関を考えると欽定訳聖書の日本語版が欲しいところ。

色々検索していたらこんなの見つけました。

http://files.njwindow-j.webnode.jp/200000149-49a494ad33/欽定訳聖書と口語訳聖書の異同リスト.pdf
 
 
 
更新しなければならないですが (NJ)
2019-03-12 11:04:13
見つけていただいて、有難うございます。
 
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。